ジョイントベンチャー(JV)とは

ジョイントベンチャー(JV)とは


ジョイントベンチャー(JV)は二社(もしくはそれ以上)で資金を出し、新会社を作ることを意味し、合弁会社とも呼ばれます。
お互いに不足している技術やノウハウを補完し合い、自社の強みを伸ばすことに集中できるため、自社のみで新規事業を立ち上げる場合と比較して飛躍的な成果を期待できます。

ジョイントベンチャー(JV)の定義と特⻑


ジョイントベンチャー(JV)の定義


二者以上の相互に独立した法人企業体(親会社またはパートナーという)が、共同してある一定の事業を営むために、共同で物的資本および人的資本を実質的に拠出し、パートナーから独立した法人格を有する事業組織として設立した会社(合弁会社)であり、パートナーが単なる金銭的出資者にとどまらず、自ら合弁事業の経営に関与する企業間提携形態(合弁事業)

ジョイントベンチャー(JV)の特徴


・投資コストやリスクをパートナーとシェアできる
・自社のビジネスから遠い新規分野に対応する場合や、自社にケイパビリティがない際に有効な形態となる

ジョイントベンチャー以外のアライアンスとの違い


ジョイントベンチャーはアライアンスや企業提携の形のひとつですが、アライアンスの形にはおもに以下の5種類があります。

・業務提携
・資本提携
・MAのマジョリティ出資
・MAのマイノリティ出資
・JV

単なる業務提携であればナレッジを出すだけで物的資源や人材を出さない場合もありますが、各社が物的資源と人的資源、資金を拠出し、新しい会社を作り、新規事業を推進するのがJVの特徴です。

ジョイントベンチャーの形態


JVの法人形態には、合同会社と株式会社の二種類があります。

合同会社

低コストで会社を設立でき、出資比率に関係なく配分されるお金の割合を変えることができます。
例:個人で出資額は少ないが、コミットしてくれる人に対して、30%しか出資に対し70%の利益を配分し還元することも可能。デメリットは上場できないこと

株式会社

大企業同士のJVでは株式会社の形態をとることが一般的です。

ジョイントベンチャー(JV)をやるべき理由


ジョイントベンチャー(JV)は新規事業戦略のオプションのひとつです。

まず、大企業における新規事業開発の沿革について簡単におさらいしておきましょう。

新規事業開発の沿革と課題


オープンイノベーションの勃興


2015年はオープンイノベーション元年とも呼ばれていますが、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)、スタートアップ投資、オープンイノベーションプログラム、アクセラレーションプログラムなど、外部から取り入れるスタイルの新規事業が大企業で取り入れられ始めました。

しかし、結局ベンチャーに投資しても、

1.事業の主導権を握れない

2.オペレーションの難易度が高くなる

3.本来の目的と事業の方向性が変わる

以上のような理由により、シナジーが生まれにくいという課題がありました。

このような課題意識から、自社内で新規事業開発部署や新規事業開発制度を作る社内ベンチャーがトレンドに。

外部から社内、そしてジョイントベンチャーへ


しかし社内での新規事業開発にも課題がありました。

新規事業開発には資源の獲得や体制構築などが必要ですが、そもそも新規事業開発のケーパビリティが社内にないため、大幅な時間とコストがかかるが結局失敗するというケースが散見されました。

自社だけでは不可能な、早期の市場参入やスピード感のある事業推進を解決するために、外部との共創、自社開発の両刀の経営がトレンドになりつつあります。

たとえば、AとBという2つの事業案があったとき、

・ケーパビリティのあるAは自社で内製

・ケーパビリティのないBは外部と手を組んで共創

という風に、柔軟に新規事業開発をおこなう企業が増えつつあります。

このように、JVは新規紙事業開発テーマの戦略オプションのひとつとして、今後も注目を集めていくでしょう。

ジョイントベンチャー(JV)のメリットとデメリット


続いて、ジョイントベンチャーのメリットとデメリットをみていきまょう。

ジョイントベンチャー(JV)のメリット

ジョイントベンチャーの特徴でもあげましたが、

・投資コストやリスクをパートナーとシェアできる
・自社のビジネスから遠い新規分野に対応する場合や、自社にケイパビリティがない際に有効な形態となる

以外にも、以下のようなメリットがあげられます。


図にあるように、

・市場参入スピード

・事業推進スピード

・投資額

・撤退コスト

・持続性

という5つの指標において、業務提携やM&Aなどのアライアンスや自社開発などと比較して、もっとも優れているのがJVといえるでしょう。

ジョイントベンチャー(JV)のデメリット


ジョイントベンチャーのデメリットは、

・二社間(もしくは複数社間)の合意が必要

・そのために事業スピードが落ちる

ことがあげられます。

ジョイントベンチャーのゴール


合弁会社のゴールのパターンはいくつかありますが、5~10年で合弁解消するのが一般的です。

目的達成による解消


JVは事業戦略上の一つのため、目標を達成できたら解散するのが一般的です。

たとえば、海外進出するにあたり現地の知見や免許を持つ企業とJVをおこなった場合、自社で免許を取得するなどの定性目標を達成して解散するケースがあります。

一方、富士ゼロックスのように、成功しても事業継続するパターンもあります。

ジョイントベンチャー(JV)がデッドロックしてしまう理由


ジョイントベンチャーがうまくいかないおもな理由として、デッドロックがあげられます。

デッドロックとは


デッドロックとは、両者の事業判断に関して双方の合意が得られず、経営が膠着する状態を指します。

出資比率が5対5で、一方は推進したいが一方は推進したくない場合、結局合意ができず、事業が完全に停滞してしまうことがあります。

もちろん、出資比率に関係なくデッドロックは起きますが、51対49の場合、51に決定権があるため、メインで推進することが可能になります。

(※ただし、テーマごとに拒否権の可否を事前に決める場合は、出資比率が少なくても決議を拒否することが可能)。

文化の違いによるデッドロック


JVがうまくいかない理由として、A社はハイリスクハイリターン、B社はローリスクローリターンを取りに行く場合など、企業間の文化の違いもあげられます。

こうなることを防ぐために、JV設立前には各社からチームの人員を選出し、チームビルディングには1年近くの時間をかけ文化の違いを見極めます。

ただし、現場のメンバー同士の相性がよくても、決定権のある上層部の意見が合わない場合もあるため、100%デッドロックを防ぐことは困難です。

親会社に主導権がうつることによるデッドロック


たとえば、製造業のメーカー同士でJVをおこなった場合、どちらかの親会社が持つ製造工場を利用するためには、親会社での稟議が必要になります。

事業の主導権がJVから親会社にうつった結果、ロットの問題などで稟議が下りないなど、停滞の原因となります。

これを防ぐために、ある程度のテーマごとにどのように決めるかを事前に決定しておきますが、それでもイレギュラーなテーマの際にはデッドロックに陥りがちです。

出資比率によるデッドロック


出資比率が50:50の場合、どちらにも決定権がないため平行線をたどってしまいがちです。

出資比率には、普通決議と特別決議があります。

普通決議…51%以上の持ち株で「取締役を解任」など単独で決定権がある

特別決議…2/3以上(67%)の持ち株で単独で決定権がある

このため、JVでデッドロックを防ぎ、かつ自社がオーナーシップを持ちたい場合、出資比率を多く持つことが重要です。

ただし、対外的にどちらかが下に見えてしまうことを嫌がり、同等に設定されることが多々あります。

決算への反映


JVはスタートから3年ほどは赤字になることが多いため、必ずしも出資比率が多ければいいというものではありません。

JVは51%以上出資で子会社扱いになり、利益が連結決算に反映されますが、49%以下だと関連会社扱いになります。

関連会社の場合、連結決算ではなく当期の利益として計上されます。

19%以下の場合、投資利益となり、不動産投資などと同様の扱いとなります。

株主への利益の出し方は、連結決算の連結利益、当期利益(グループ全体の利益)の二種類があります。

連結決算の利益がJVで赤字になる場合、出資比率を50%以下にしてほしいと言われる場合もあります。

基本的に、出資比率は、

・事業に対するコミット度

・連結への反映

・出資金額をいくら出せるか

で決まります。

 

SEEDATAでは、これまでの新規事業開発支援のスキルをJVに応用し、企業間のJVを推進する支援をおこなっていきます。

詳しくはinformation@seedata.jpまでお気軽にお問合せください。

溝口世史紀
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溝口世史紀(mizoguchi)