サービスデザインとは?

当ブログではこれまで9回に渡りサービスデザインのプロセスについてお届けしてきましたが、「サービスデザインについて簡単に知りたい!」という方もいるのではないでしょうか。

サービスデザインの解釈は本や人によってもさまざまですが、一言で説明するのであれば、


サービスデザイン=体験を設計し、新たな価値を生み出すための手法

といえるでしょう。

サービスデザインとはその名前のとおり、「サービス」を「デザイン」するということです。

ここでいうデザインとは見た目のグラフィックだけでなく、中身、コンテンツのデザインの設計、開発なども含まれています。

また、「サービス」という言葉からはITサービスや接客サービスなどを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、本連載では分かりやすいように、サービスを「体験」と定義し、サービスデザインとは「体験を設計し、それを通して新しい価値を生む手法」と定義しています。

では何故今、このサービスデザインがこれほどまでに注目されているのでしょうか?

近年、「モノ(製品)からコト(サービス)へ」と消費者の求めるものは移行し、「体験」にフォーカスした商品、サービスがヒットをしています。Amazonprimeをはじめとするサブスクリプションサービスや、クラウドファウンディングでの応援消費の増加はまさに、人々が「モノ」ではなく「コト(体験)」を求めているからにほかなりません。

多くの企業のみなさんがこの「モノからコトへ」の大切さを理解しているものの、どのように実装すればよいのかが分からない、というご相談を受けることが増えてきました。

そして、「モノからコトへ」を実践するためにできたのが「サービスデザイン」という手法なのです。

 

サービスデザインが求められている背景としては、以前はいかに良いものを作るかという「モノ(商品)」にフォーカスされていましたが、技術が発達し、モノ自体はどんどん使いやすくなり、モノを通してどんなことが達成できるのかという、より高次な目的、つまりどういった成果が得られるのかということをユーザーは求めるようになってきています。


また、昨今、デザイン思考という考え方は非常に注目を集めていますが、デザイン思考をすれば必ず良い新規事業や新商品開発ができるというような風潮は誤解を孕んでいます。

デザイン思考というのは名前のとおり、 デザイナーのマインドセットやスタンスなどを表すものです。

一方、サービスデザインはもっと大きな概念であり、サービスデザインの中にデザイン思考的なマインドセットを内包しています。

サービスデザインには、ほかにもデザインツール、デザインプロセス、サービス実現のためのマネジメント、または顧客、デザイナー、クライアントなどとの間のコミュニケーションなども含まれています。

 

また、サービスデザインで実現する「体験」は、ミクロなものからマクロなものまで様々な意味を含んでいます。

例えばミクロな体験としては、UI、UXの使いやすさなどがあげられます。またマクロな体験としては「ユーザーの人生全体を豊かにするためにどんなものが必要か」といったことまでが考えられます。この両方の観点を兼ね備え、魅力的な体験を設計していくのが、サービスデザインの特徴です。


↓デザイン思考、サービスデザインの本質について解説しています↓

 【ビジネスのためのサービスデザイン① 】製品のサービス化を実践していくためには?


みなさんの身近にもサービスデザインの優れた事例は数多くあります。

たとえばスターバックスはモノ(コーヒー)以上にサードプレイスというコンセプトのもと、スターバックスという場所をいかによくするかという体験にフォーカスしています。

ユーザーはとくにスターバックスのコーヒーが飲みたいわけではなく、あの空間にいたい、あの空間で仕事をしたい、あの空間で人と話したいという、より高次の目的を求めて集まってきているという点もサービスデザインのポイントです。

また、「コーヒーを飲みながら仕事をしたい、カフェで仕事を効率よく進めたいという人がいるのではないか」という新しい課題や欲求を見つけ、いち早くWi-Fiを導入したのもまさにサービスデザイン的な考え方といえるでしょう。

また、スポーツジムはこれまで、単に筋トレやランニングをする場所だけを提供していました。これをサービスデザインの文脈にする場合、筋トレやランニングをする目的は、「痩せたい、筋肉をつけたい」ということです。

そこで登場したのが、ジムの設備だけではなく、トレーナーをつけて結果にコミットするというサービスを作ったライザップです。「痩せたい、筋肉をつけたい」というゴールに対して、トレーナーとプログラムを提供するというダイレクトな価値を提供し、サービスデザインとして成功を収めています。


これまでサービスデザインの連載では、マインドセット、プロセス、ツール、具体的な手法について事例を交えながら解説してきましたが、ひとりでも多くの方のお役に立つべく、1冊のホワイトペーパーにまとめたものが2月中にリリースされます!こうご期待ください!


↓サービスデザイン思考に必要な6つのマインドセットについてコチラ↓

【ビジネスのためのサービスデザイン②】サービスデザイン思考の6つの考え方

↓サービスデザインのプロセスについてはコチラ↓

【ビジネスのためのサービスデザイン③】サービスデザインのプロセス「ダブルダイアモンド」とは?

↓サービスデザインのツールについてはコチラ↓

【ビジネスのためのサービスデザイン④】カスタマージャーニーマップの活用法

↓バックステージの設計に重要なブループリントについてはコチラ↓

【ビジネスのためのサービスデザイン⑤】サービスブループリント

↓サービスデザインをおこなう上でのコンテクストの重要性についてはコチラ↓

【ビジネスのためのサービスデザイン⑥】サービスデザインにおけるコンテクストデザインとは?

↓サービスデザインが何故儲かるのか、1回きりの購入で終わらせないサービスの作り方↓

【ビジネスのためのサービスデザイン➆】サービスデザインはなぜ儲かるのか?

↓サービスデザインの中でももっとも難しいデリバーフェーズの考え方はコチラ↓

【ビジネスのためのサービスデザイン⑧】サービスをヒットさせるためのデリバーフェーズとは?

↓デリバーフェーズで必要なPoC、PoB、PoCAについてはコチラ↓

【ビジネスのためのサービスデザイン➈】サービスの実現に必要なスタートアップの考え方



製品を売るだけでは売り上げが頭打ちしている、新規事業、新市場を創造したいという企業のご担当者さまはinfo@seedata.jpまで、件名に『サービスデザインについて』、御社名、ご担当者名をご記名いただき、お気軽にお問合せください。


【この記事の監修者】

佐野拓海。SEEDATAアナリスト。

株式会社SEEDATA(博報堂DYグループ)設立とともにプランナー兼アナリストとして参画。

主に生活者リサーチ、商品開発、新規事業開発、サービスデザインなどの業務に従事。


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