【トライブレポート紹介13】教育系サービス開発、新規事業アイデアのヒント(早育ママ)

はじめに~トライブレポートとは

SEEDATAは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。

トライブレポートの詳細と読み方については、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。

トライブレポートの読み方


今後日本でもエビデンスドベースの教育が求められてくる

いい教育を受け、いい人生を送ってほしい。子どもにそう考える親の愛は古来から普遍的といえるでしょう。それに応えるように、教育産業もまた持続的な発展を遂げてきました。教育の中でもできるだけ早く教育的配慮を子どもに図ることで、その人生を豊かなものにしようとする親たちが「超早期教育する親(早育ママ)」です。

この世に子どもが生を受ける前の教育として胎教が一部に定着しているのは既知の通りですが、生後の教育の早期化も著しく、乳幼児向け知育は、生まれて数か月の赤ん坊すらその対象にし、たとえばスマホを使ったアプリによる知育など、その方法の中にはITを用いた先進的なものも多く存在します。

また、英語で幼児保育・教育を行う施設は「プリスクール」という通称を得て、2000年代後半からポピュラーになりつつあります。このような施設では、早いところでは1、2歳から子どもを受け入れ、将来のバイリンガルを目指して英語を用いた保育・教育を行うといいます。彼らは子どもの将来のためなら際限なくリソースを割きたいという考え方を持ち、その世界観も国際的に開かれています。

彼女らを深く知ることで、今後の教育系ビジネスの大きな示唆を得ることができるでしょう。


このトライブのセグメントについて説明すると、「未就学児から実年齢よりも早い教育をほどこすことが、子どもの可能性を最大限に広げることにつながる」という価値観は同じで、それぞれ失敗克服型、成功体験実践型、不安脱却型という動機の違いで分類しています。

基本的にこれまでのトライブレポートのセグメントは、ソロ介護のように、だんだん状態が発展していく中でどういう風に価値観や行動が育っていくのかを見るパターンと、まったく同じ価値観でアプローチが違うのが定番ですが、早育ママのトライブレポートのセグメントは、早期教育をする動機別になってしまっているため、これを使ってサービスデザインをする場合は、ここからさらにアプローチがどう違うのかという読み解きが必要です。


まず、調査前は語学的なところに力を入れていることを予想していたのですが、「日本語だけでなく英語も」という知識先行型ではなく、みなさん「子どもの興味関心をどれだけ引き出してあげられるか」という点を最も重視していました。

どのお母さんも「子どもの自己肯定感を高めてあげたい」という言葉を口にしていて、成功体験から、「自分はやればできる」というメンタルを育ててあげたいという思いが強いことが分かります。よい環境を与えて「あなたはできる子なんだよ」ということを伝えたい、そういう場や体験を用意してあげたいと考えているのです。

ただ、この「人間力」というのは点数で測れるものではなく、言語化できないので、親の皆さんも何が正解かわからなくなり、さまざまな習い事に通わせているのではないでしょうか。


こういった動きには、社会的な背景が大きく影響していると思います。センター試験がなくなり、従来の詰め込み型教育では通用しない、AIが出てきて誰も20年後の社会を想像できない過渡期に子育てをしているわけですから、ある種、保険的な意味も強いのかもしれません。勉強や運動がダメでも、別のところで勝負ができる、どんな状況でも自分を肯定的に捉えられるメンタルを作ってあげたいというのが、保護者のみなさんの思いです。


次に、これだけ最先端のことに取り組んでいる彼女たちですが、「先人の知恵」のようなものを一番信用しているということが、実際にインタビューで明らかになりました。教育にしろ子育てにしろ情報が溢れすぎていて、その質もさまざまです。だから情報サイトよりも、経験や知識のある「先輩ママ」や近所のおばあちゃんに「これで大丈夫」と言われると安心するというのです。

今の母親たちは常に過剰な不安を抱いていて、それを軽減したり解消したりするために早育を行うわけですが、一方で心のよりどころとしてメンターを求めているように感じました。


現在の子育てビジネスの多くは、短期的に成果が見えるサービスが溢れているように感じます。数値化できないようなものの場合、それをどう見せるか、実感してもらえるかは大きな課題といえます。

また、早育ママの方たちは子どもにかける時間がとても多くて、「〇〇を身に着けるために、〇〇を〇時間やる。そのためには自分の〇〇の時間を諦める」という風に、タイムマネジメントと、タスクマネジメントをかなりしっかりとやっています。

短い時間をどれくらい濃密に過ごせるかということをすごく重要視しているので、集中して取り組めるテキストなどにはお金を払うのです。


まず、親の希望としては、単に「知識や技能」を身に着けさせたいわけではないという点を教育系の新規事業、新商品・新サービスを開発する側は理解しなければいけません。

「早育ママ」というと、一見一部の教育熱心な方だけにしか当てはまらないように思われるかもしれませんが、広く子どもを持つ親の根本的な思いや、どう育てていきたいか、どういった人生を送らせたいのかということがよく分かるレポートになっています。


さらに、これはすでに米国では出始めているのですが、エビデンスドベースという教育が今後日本でも主流になっていくでしょう。

これまでの早期教育は、具体的にどの勉強がどのようにに効果があったのかまで確かめようがありませんでした。

そのため、自分の成功体験や、逆に自分の抱える不安や失敗経験から二の轍を踏ませたくないという思いと、世の中に数多あるメソッドとの掛け算で何をするか決めてきたのです。

もしかすると、この早育ママをアプローチ別にセグメントできなかった理由も、まだアプローチ自体が確立していないことが原因なのかもしれませんが、今後出てくるアプローチとして「科学的定量データによる子育てサポートのデザイン」という機会領域に注目すべきです。

すでに海外の先進層の親たちの中では、科学的エビデンスに基づいて早期教育、幼児教育、中等教育などを支援していくということは、ひとつのアプローチになってきています。

日本では、教育ビジネスは労働集約的な事業構造と捉えられており、ビジネスとしては儲からないといわれていた時期が長いという経緯があります。一方、先進的なビジネスをやっている人たちの間では教育はむしろ成長産業で、今後もスケールするビジネスといわれていますし、エビデンスドベースによって子どもたちの教育が科学的にデザインできるのではないかと期待されています。

エビデンスドベースの教育事業の事例としては、アメリカのある幼児教育を行っている園では、園児たちにデザイン思考を教えています。学費は年間500~700万程度かかりますが、たとえば彼らに「新しい幼稚園をデザインする」などのプロジェクトを与えて、その一挙手一投足を記録します。記録は全てデータ化され、親に渡されるので、先生が通信簿をつけるという概念はありません。

「こういうことをしました」「こういう判断をしました」という一挙手一投足をエビデンスデータとして残していくという方法が、日本でもひとつの教育の主流になっていくのではないでしょうか。


また、ある米国の通信教育の大学では、オンラインで何時何分に、誰が、どのコンテンツを、どのような目の動きで、どの程度集中して受講したら、その後の成績がどのように変化したかをすべてデータとして出せるようになっています。

このような技術が進むと、リアルな授業で良い先生に教わるよりも、通信教育で教わるほうがよいということになり、今まで人手がかかると思われていた教育産業が一気に装置産業になっていきます。実際に英語の分野では既にかなり出てきていますし、今後、早期教育も含めて、ありとあらゆる分野で確立されたアプローチが出てくることでしょう。

SEEDATA的には教育ビジネスで新規事業を始める場合、このジャンルしかないと考えています。

この通信教育を支えているのは、MOOC(Massive Open Online Courses )という技術で、大規模公開オンライン講座と訳されています。

ネット動画で良い授業を受けられるという流れは日本でも既にきていますが、今後はその学習効果を科学的なデータとしてどう測るかに人々の興味は移っていくはずです。そうなれば、これまでのようにコンテンツの数は重要視されなくなり、みんないちばん効果のある先生の授業をオンラインで聞くことが一般的になり、学校の先生の役割も変化していくでしょう。


記事ではこれ以上はご紹介できませんが、ほかにもトライブレポートにはおもしろい機会領域が数多く掲載されているため、お問い合わせの際は、まずは気になるトライブレポート名と「〇〇ビジネスをやっています」ということをお伝えしていただければ、我々がトライブレポートをもとにビジネスアイデアをいくつかご提案し、コンサルティングさせていただきます。

あとは皆さんの会社がすでに持っているリソースと掛け合わせて、新規事業の場合はビジネスモデルを変える、または新商品・新サービスを生み出すなど、それぞれの課題に対応いたします。

たとえば、新商品を作りたいという会社の場合、SEEDATAが提携している会社とこのトライブが世の中に何万人いるかを調査し、その人たちにテストマーケティングしてみて伸ばしていくことも可能です。また、サービス開発の場合もプロトタイプを作ることができますし、ビジネスモデルの場合でも、ビジネスモデルに関する検証された知識を手に入れるPoB(Proof of Business)のプロセスに入ることも可能です。


SEEDATAへのお問合せはこちらから(コンタクトフォームに移動します)。


【この記事の監修者】

宮井弘之。SEEDATA代表。


【関連記事】

記事ではこれ以上はご紹介できませんが、ほかにもトライブレポートにはおもしろい機会領域が数多く掲載されているため、お問い合わせの際は、まずは気になるトライブレポート名と「〇〇ビジネスをやっています」ということをお伝えしていただければ、我々がトライブレポートをもとにビジネスアイデアをいくつかご提案し、コンサルティングさせていただきます。

あとは皆さんの会社がすでに持っているリソースと掛け合わせて、新規事業の場合はビジネスモデルを変える、または新商品・新サービスを生み出すなど、それぞれの課題に対応いたします。

たとえば、新商品を作りたいという会社の場合、SEEDATAが提携している会社とこのトライブが世の中に何万人いるかを調査し、その人たちにテストマーケティングしてみて伸ばしていくことも可能です。また、サービス開発の場合もプロトタイプを作ることができますし、ビジネスモデルの場合でも、ビジネスモデルに関する検証された知識を手に入れるPoB(Proof of Business)のプロセスに入ることも可能です。


SEEDATAへのお問合せはこちらから(コンタクトフォームに移動します)。



【この記事の監修者】

宮井弘之。SEEDATA代表。


【関連記事】

新規事業、新商品・新サービス開発のアイデアまとめ

【トライブレポート紹介①】メディア系新規ビジネスアイデアのヒント(ミックスチャネラー)

【トライブレポート紹介②】マッチングビジネスのサービスデザインのヒント(ノンラブティンダラー)

【トライブレポート紹介③】リテール系フィンテックサービス開発では支出管理に注目(フィンテッカー)

【トライブレポート紹介④】ヘルスケアビジネスのアイデアのヒント(ドクターシューマー)