【8/12更新】アフター(orウイズ)コロナ時代のヒントになるニュースクリップ5選

この連載ではコロナウイルスの影響による現在の情勢とアフターコロナを見据え、これまで生活者調査をおこなってきたSEEDATAが、生活者の価値観や行動の変化や、これらを反映した新商品・サービスなどのニュース5選を紹介し、解説していきます。

当連載では毎週、以下のテーマごとにお届けしていきます。

購買・所有/美容・ファッション/健康・医療/娯楽・エンタメ/仕事・働き方/IT・メディア・コンテンツ/家事・家族/人間関係・コミュニティ/飲食/学習・教育/居住・暮らし方/金融・保険/移動/地域・社会活動

アフターコロナでは以上の14カテゴリがメインの変化になっていくため、このテーマに即していくことで、ほぼ全ての生活者起点での社会変化をとらえることが可能であると考えています。

アフターコロナの働き方事例として、これまで「プライベートと仕事の一体化」や「仕事と家事のグラデーション化」はご紹介してきましたが、最近の事例から働き方とエンタメがミックスされてきていることが伺えます。
テレワークでオンオフの切り替えのために、アロマなどの香りを利用したり、食事作りをおこなったりする生活者は増加していますが、エンタメ空間は家の中では再現不可能だと考えられてきました。しかし、いまだに外出には思うようにできない現状があります。
そこで、今回は、働き方とエンタメをうまく組み合わせた事例という切り口で5つの事例記事をご紹介し分析していきます。

【4/6更新】アフターコロナ後の新規事業プロジェクトの行方
今回は2020年の新規事業界全体が確実にこうなるであろうという私の予想を、キーワード順に解説していきます。 ※この記事は2020年1月15日に更新したものに、その後のアフターコロナの影響を加味し、4月3日に内容をアップデートしました。...

①作業空間としてではなく、コミュニケーション空間としてのオフィス

曜日で借りられるオフィスレンタルサービス「WEEK(ウィーク)」をリリースしました。 「WEEK」URL: https://week-office.com 1曜日から借りられる柔軟な契約形態で自社オフィスを持つことを可能にし、週に1,2回だけオフィスに集まるという新しいワークスタイルの構築をサポートします。
<出典:1曜日から借りられる新しいオフィスサービス「WEEK(ウィーク)」をリリース https://ascii.jp/elem/000/004/016/4016906/>

こちらは週1日から借りられるコワーキングスペースのようなサービスの事例です。テレワークが浸透したことで、オンラインやチャット上でフラットに発言しやすくなったり、大事な発言が記録に残るといったメリットがありましたが、一方でリアルでのコミュニケーションでしか生まれないセレンディピティやコミュニティ感が損なわれつつあるという問題が発生しています。
大企業では今後もテレワークが浸透していき、オフィスは働く場所という意味ではなく、リアルなコミュニケーションや人と会うコミュニケーションツールの箱として、週1回でも出社すること自体が価値になっていくのではないでしょうか。
そうなったときに、求められるオフィス設計も変わってきます。たとえばワーキングスペースを縮小化し、コミュニケーションスペースを広くとることも重要になっていくでしょう。

ITOKI TOKYO XORK
「ITOKI TOKYO XORK」は、イトーキが考える新しい働き方とそれを実現する為のオフィスとしてデザインされました。社員自ら体現しながら、皆さまにご提案してまいります。

テレワークで誰にも会わない日々が続くことで「リアルなコミュニケーションをとらなければいけない」と、人びとの意識は変化していきています。
しかし、一方で外出や出社の際、どこまで徹底して対策をすれば安心かという判断基準が可視化されておらず、結局個人レベルで徹底的にやるしかない現状に、ネットでは「除菌疲れ」というキーワードも話題です。そんな中での出社に対する不安を払拭できなければ、コミュニケーションをとるためのオフィスという価値は発揮できません。
その際に企業が考えなければいけないのは、コミュニケーションスペースの取り方や、空気清浄機や換気を徹底するということだけではなく、従業員が「リアルでのコミュニケーションをとっても大丈夫」という安心感を持てるオフィス空間の設計です。
これらの示唆は、家電メーカーや空調機器などの商品開発やサービス開発に使用できるのではないでしょうか。

②ラグジュアリーな避難場所としてのホテル

実際は旅ではなくただホテルでひらすらダラダラ過ごすという目的のない宿泊なのですが、今この外こもりを「ホカンス(HOCANCE)」と言うオシャレな言葉でブームになりつつあるそうです。
<出典:【ホカンス】外こもり本当に何もしない時間をひとりで過ごしてきた【給付金】
https://note.com/akmima7/n/n8f7c518db388

ホカンスとはホテルでバカンスの略で、リゾート地ではなく、近場のホテルに宿泊し、大きなスクリーンでテレビを見たり、少しリッチな朝食を食べるなどしてプチバカンス気分を味わうという行動で、ネットを中心に話題になっています。
これまでもホテルはテレワークの場所として活用されてきましたが、旅行に行きたくても行けない状況の中で、少しでもリゾート気分を味わえる場所としての価値を感じ始める生活者が増えています。
自宅とはまったく異なる環境に身を置くことができます。テレビや映画鑑賞といった自宅と同様の体験も、ホテルは旅行の気分が損なわれないような非日常的な設計となっているため、場所をホテルに移すだけで観光やリゾート気分を感じることができるのです。
不特定多数の人のいるリゾート地に赴くことが難しい中で、避難兼バカンスとしてホテルを利用する生活者は今後も増加していくでしょう。
今後のホテルは、長い自粛生活で抑圧され、自宅だけではオンオフができなくなったとき、大きくスイッチングができる場所として、空間デザインや気分をデザインしていくことが求められているのではないでしょうか。

➂移動に適しているだけでなく、作業 / エンタメ空間としての車内空間のデザイン

新型コロナの影響で映画館が営業できなくなり、観客が自動車で隔てられるドライブインシアターがにわかに注目を集めるようになり、日本でもドライブインシアターに対するイメージが少し変わりつつある。

山梨のショッピングモールラザウォーク甲斐双葉では、今月4日・5日に野外駐車場でドライブインシアターが開催された。地元の映画館「塩山シネマ」などが主催したもので、料金は500円と格安で、子供から大人まで楽しめる映画「ペット2」が上映されたという。時間帯も18時半に上映を終了するところを見ると、ショッピングを終えて、または鑑賞後外食をして帰ってもらおうという企画意図かもしれない。「ロマンチックな大人のエンタメ」ではなく、「家族みんなで気兼ねなく映画鑑賞」という印象だ。

また、野外映画上映のプロ集団Outdoor Theater Japanは、SNSを通じ、47都道府県でドライブインシアターを行うと発表し話題を呼んでいる。イベントといえば都市部に集中し地方では開催されないことが多いが、全国で行われるとなると日本中で盛り上げてほしい企画である。
<出典:新型コロナウイルスで休業の映画館に代わり脚光 日米韓それぞれのドライブインシアター
https://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2020/04/post-93173.php

日本では馴染みのなかったドライブシアターですが、コロナを機に新たなエンタメとして広がりつつあり、広島ではドライブインライブという新しい形のライブ体験を提供するサービスも登場し話題です。

夢番地

SEEDATAではこれまでも車で全国を移動しながら生活をする生活者などを調査してきましたが、車内空間は今後さらにデザインの余地があると考えています。今回の事例は、ライブやスポーツ観戦が難しい中、車を「移動とエンタメをひとつにしたパッケージ」として展開していくヒントのひとつといえるでしょう。
車内で仕事をする人びとは、ホテルのように完全にひとりになれる、かつ外気に触れなくていい場所として車を捉えているように、「移動、エンタメ、働き方」という文脈で車を使用する生活者は今後も増加していくと考えられます。
アフターコロナ以降、車の価値が移動手段以上にひとつの箱として機能していくようになった際に求められるのが、車の中デザインや衛生状態です。
今後、ドライブインシアターなどのエンタメ消費や、長時間働く場所といった機能を持つようになったとき、用途に合わせて車の空間デザインをしていく必要があります。
たとえば、既存の車用フレグランスは車特有の匂いを消すためのものでしたが、室内のように車を使用する目的に応じて香りを変えたり、時間帯や仕事で切り替えたいと考える生活者も現れていくと考えられます。
車が仕事とエンタメの両面で機能する場所になっていったとき、仕事をするため、みんなで映画をみるため、ひとりでリラックスするためなど、用途に合わせて変化できるシートの設計なども必要となっていくでしょう。

④テレワークが進む中で、半強制的に作業に取り組む空間の需要が増加

一般的なホテルのテレワークプランは、ベッドが常に視界に入るために仕事に長時間集中できないというデメリットがあった。そこで「ベッド」を客室から取り払い、ストイックに仕事に集中できる環境を整えた。
<出典:ホテルなのにベッドを撤去したテレワーク専用ルームオープン https://ignite.jp/2020/05/200061/>

ホテルでテレワークをする人が増えているのはもはや当たり前となりつつありますが、この事例では、いつでも休むことのできるベットを撤去することで、「強制的に仕事モードに自分を追い込む場所」としてホテルが機能しています。ベッドのほか、テレビもないため、完全個室でありながら誘惑が何もないことがポイントです。会社という「仕事をする」場所に行けない今、自宅ではすぐに休むことができてしまうが、カフェなどの利用はばかられ、漫画喫茶は誘惑が多い…という状況で、「自立して仕事に集中できる空間が限られている」という問題を解決してくれるサービスといえるでしょう。
今後も週の半分は出勤、半分はテレワークというワークスタイルは広がっていくことが予測され、そのためにはテレワークしやすい環境を整備していく必要があります。
また、アフターコロナが続く以上、これまでサードプレイスと言われてきたカフェなどは仕事目的では利用しづらくなり、代わりに通勤時間が長い人にとっての中間地点=サードプレイスとしてこれらの場所が機能していくとのではないかと考えられます。

⑤仕事とプライベートの境界の曖昧化が進み、従来は仕事から隔絶されていた空間も作業空間と捉えるように

「Office to go(オフィス トゥー ゴー)」とは、オフィスをキャンプ場に持ち出すアウトドアサテライトオフィスサービスです。キャンプ場内に、「働く」環境を整備し、キャンプ場という非日常の中で仕事を可能とすることで、新たな発見が生まれたり、オープンな雰囲気で自由に意見交換できたり、自然の中で気分転換することで集中の質をあげたり、様々な好循環が生まれる環境を提供します。

<出典:キャンプ場をサテライトオフィスにする【Office to go】ブランドのトライアルを開始、ワンコインでワーケーションキャンプが可能 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000049217.html>

これまでデュアルライフとは、たとえば週末2、3日は田舎に行きDIYや家庭菜園しながら生活し、平日は都内で生活して働くという2拠点、もしくは多拠点生活を意味していました。しかし、コロナの影響により、旅行や他人との密を避ける価値観が広がっていること、どこでも働けるため「東京にいる必要がない」という考え方が広がっていることで、単純に2拠点生活、多拠点生活がデュアルライフとはいえなくなっているのではないでしょうか。
コロナでテレワークが可能になり、デュアルライフをおこなう生活者がさらに増えていくといわれてきましたが、テレワークが浸透した今、完全に出社の必要がなくなれば、拠点ごとどこかに移動しようと考える生活者が増加していくと考えられます。
今後は働き方を軸として、「どこで働くか」という切り口でデュアルライフを唱える人が増え、完全に拠点を田舎に移す、もしくはごくたまのちょっとした贅沢としてデュアルライフは捉えられていくのではないでしょうか。自宅で働きつつ、週末や月一程度キャンプ場でチルワークをするのが新しいデュアルライフとなっていくでしょう。

この事例から読み解けるのは、仕事や作業に求めるものが「効率重視」から「快適重視」に切り替わり始めているということではないでしょうか。
これまでは、仕事とプライベートの切り替えをいかに効率よく行い、仕事の生産性を向上していくかがポイントでしたが、テレワークが進むにつれ、切り替えの境界線が曖昧になり始めています。これからのアフターコロナの世の中では、テレワークやワーケーション制度の整備、また地方からフルリモートでの業務など、自身が快適だと感じる空間で働くことが、作業のモチベーションを保ち結果として生産性の上昇が起こりうると考えられます。
このような動きを見据えていくと、例えばオフィス空間のデザインだけでなく、モチベーションを一定に保つために必要な要素とは何かを分析することで、飲食料品の開発のヒントにも活用することができるでしょう。

今回ご紹介したコロナクリップのまとめは、コロナウイルスの影響により、ひとりひとりの生活者行動の変化や新しく登場した商品・サービスをサマリーし、50~100ほどにまとめたものの一部です。

コロナの影響により現在はSEEDATAもリモートでの活動となっているため、リサーチもインタビューもオンラインでおこなうことが可能です。

業界別ごとにクイックに調べることはもちろん、簡単なレポートから本格的なビジネスモデル、商品開発に影響するカスタムレポートまで幅広く対応していますので、タイトルに「アフターコロナ時代のリサーチについて」と記載の上、tatsuma.sasaki@seedata.jp まで、お気軽にお問い合わせください。

佐々木健眞
Written by
佐々木健眞(sasaki)
アナリスト