新規事業で破壊的イノベーションを生み出すために必要なアブダクションの手法とは?

新規事業や新商品、新サービスなどを作る際には仮説を作る必要がありますが、何かを推測し、仮説などを出すためには、大きく、帰納法・演繹法(えんえきほう)・アブダクションという3つの推論があるといわれています。

演繹法と帰納法はロジカルな方法、アブダクションは思考のジャンプを生み出す手法です。

今回はSEEDATAが新規事業案や新商品、新サービスを考える時にベースとなる、仮説を作り出す際に用いるアブダクションの手法と、アブダクションを活用するメリットについて解説します。

演繹法

演繹法は、一般的に知られていることや、特定の具体的な事象のふたつの掛け合わせで、ひとつの推論を出す方法です。

たとえば、

カレーは辛い

この商品にはカレーと書かれている

だからこの商品は辛い

人は賢い

太郎君は人である

だから太郎君は賢い

などといった風に、A=X、B=A、よってB=Xという3段論法のような手法をとります。

演繹法の特徴は大きな概念やルールから個別の事例を推測することです。「猫はかわいい、佐藤さんがかっているミミという動物は猫らしい、ということはミミはかかわいい」など、一般的なルール、通底する概念からひとつの具体的な事象の推論を出す方法です。

帰納法

帰納法は、幾つかを観察して得られたことから推論を導き出す方法です。

クロという猫はかわいかった

ミミはという猫はかわいかった

シロという猫はかわいかった

よって猫はかわいい

など、具体的なものを並べてひとつの大きなルールを導き出す、基本的には2個以上から共通点を見つけていくことになります。

演繹法、帰納法はロジック的に正しいとされることを導き出すものですが、個別の猫がかわいいというところから、猫全般はかわいいという推論、あるいはあの猫もかわいいかもしれないという推論で、ロジカルの範囲から出ることはありません。

発想のジャンプといわれるような破壊的な仮説や、予想外のところからの仮説は出てこない、つまり、知らなかったことが出てこないのです。

アブダクション

一方アブダクションは、一見全く関係のないふたつから仮説を導き出す方法です。

たとえば、

山の中で貝の化石が見つかった

このあたりの地名に海という漢字が入っている

つまり、このあたりは昔は海だったのではないか

といった風に、貝の化石が見つかるということと、土地の地名という一見全く関係ないふたつから、普通の人が思いつかないような仮説を導き出す方法です。

既存の考え方を超える仮説は基本的にアブダクションで導きだすべきとSEEDATAでは考えています。

SEEDATAではマイクロレポートでインサイトを導出する際にアブダクションの考え方を取り入れています。

演繹法、帰納法は10人が10人「そうだね」と納得することができるものですが、アブダクションの場合は全員が全員納得するものではありません。

アブダクションは必ずしも正しいわけではないので、もちろん検証する必要があります。しかし、仮説を考える段階から失敗や”間違い”を恐れていては良いアイデアは出てきません。そのため、SEEDATAではまずは切り口として仮説をたくさん出していき、正しいかどうかはディスカッションやその後のテストで確認していけばよいとと考えています。

すでに「知ってる」ことをたくさんやっても「知ってる」成果にしか結びつきません。知らなかったようなことをヒントにして、新しい商品やサービスを創造することで、一気に跳ねる事業や、商品、サービスを生み出すことができるのです。

もちろんアブダクションの結果が間違っている可能性もありますが、いわゆる破壊的イノベーションや一気に跳ねていくものを作っていくためには、アブダクションを使うことが重要だと考えています。

たとえば有名な事例としてバルミューダーのトースターがあげられます。バルミューダのトースターは、トーストを焼く時に少量の水を入れることで、ふっくらと焼くことが出来るという、今までになかったプロダクトになっています。

この仕様をひらめいた経緯として、土砂降りの中で行ったバーベキューで焼いたパンがいつもよりもふっくらと焼き上がり、あまりに美味しかった体験があると語られています。バルミューダのトースターの開発者たちは、どうすればこの焼き上がりを再現できるかを考え、結果、「食パンがおいしく食べられたこと」と「雨で水分が含まれた」という一見無関係な二つを結び付け、「湿度の高い状態で焼くことでふっくらと焼き上がるのではないか」という仮説を導き出し、今日の大ヒット商品が誕生したのです。

このように、世の中のひらめきと呼ばれているものの多くは、アブダクションが活用されています。

「自分たちの作った商品やサービスは消費者にこう使われているだろう」と思っていたら、実はぜんぜん違う使い方や理由で採用されていたという事例は枚挙に暇がありません。

その理由を消費者に定性的に聞くことで、作り手の想像の範疇から飛び出した消費者にとっての価値を見つけたり、あるいは、世の中のサービスがどう使われているのかなどを見て、何故それが受け入れられてるのかという仮説を導き出したりすることができるのです。

関係ないことを結びつけて考えると、一気に違う目線を持つことができるため、新規事業や新商品、新サービス開発のヒントは得やすくなるでしょう。

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