新規事業立ち上げに必要になスキルをデザインするためのフレームワーク

新規事業立ち上げに必要なスキルと一言でいっても、すべてを統合的に見るフレームワークは難しいため、今回はこんな見方もあるという一例をご紹介します。

コトバンクによればスキルとは一般的には「訓練を通じて身に着けた能力」とあります。

つまり、スキルは生まれ持ったものではなく、トレーニング可能なものということができるでしょう。今回は訓練可能な新規事業立ち上げスキルについて解説していきます。

自分はどのタイプかを見極めるフレームワーク

まず、新規事業の立ち上げを考えた際、自分はどちらのスキルを持ったタイプか考えるというフレームワークがあります。

①生産より

生産よりのスキルは、たとえば、特定の分野に関して何かしらのノウハウを持っている、パッと見て使える素材を見極めることができる、それに関する研究の学位がある、それに関する経験があることなどがあげられます。

自分がこれまで経験してきたことや訓練してきたことがこれらに当てはまる場合、生産よりであるといえるでしょう。

②販売よ

一方、販売よりのスキルは、特定の業界のネットワークがある、商談をした経験があるなどがあげられます。

また、スキルというのは訓練で得た認知的な能力を含むので、「これくらいで売れそうだ」と値付けできる分野があり、さらに具体的に、それを売る時のお客さんの中での上申のプロセスがわかる、外回りの営業ではなくネットを通じて販売した経験や、リスティング広告の経験、SEOの経験、というのも販売よりのスキルといえるでょう。

新規事業の立ち上げや起業を考えている人は、自分の訓練してきたことを振り返り、大きくどちらよりかを意識し、まずはどちらのスキルで勝負していきたいかを考ましょう。

さらに、生産より、販売よりの中でも以下の2種類のスキルに分類することができます。

①生産より

1.研究開発より

そもそもの技術やアルゴリズムなどを技術開発することができる

2.生産技術より

量産化するときに品質を保って作るにはどうするかなどが分かる

②販売より

1.知識経験より

ECのようなコンテンツを作った経験や、業界の人にネットワークを持っている、これくらいの値付けができそうなどが分かる

2.コミュニケーションより

純粋にコミュニケーションや話がうまいといったセールストークの経験などがある

最終的に自分はこの4つのうちもっともどこよりのスキルを持っているかを考えます。生産よりなら技術開発と量産の両方が分かっていたほうが、より強みになります。

自分はどのタイプかが分かったら、共同創業者は違うタイプの人を見つけてくることがポイントです。

以上が、新規事業立ち上げの際、自分がどのタイプのスキルを持っているかを整理するうえでの簡単なフレームワークです。

新規事業立ち上げに必要な3つのスキル

上記との別に、社内起業でも社外起業でも共通で身に着けなければいけないスキルがあります。

①会計系のスキル

最低限、PL、BS、キャッシュフローは避けて通れないので勉強しておくしかありません。

ファイナンスはやってるうちに覚えるため、最初から勉強する必要はありませんが、自分にあまり知識がない場合、ファイナンスの用語を駆使して騙そうとしてくる人がいるので注意が必要です。

②ビジョニングのスキル

ビジョニングは人に希望をいだいてもらうスキルです。

これは人によってスタイルが異なり、魅力的に話せたり、資料を作りこんだり、自分なりのやり方で希望をいだかせる必要があります。

たとえば、社員のキャリアパスにあわせて、「ここにいれば実現できそうだ」と感じてもらうことも希望をいだかせることです。また、社外の人なら、「アライアンスを組んだり一緒に商品を作れば目標が達成できそうだ」という嬉しさを感じさせることもこのスキルに含まれます。

そこをちゃんと伝えるというスキルは、販売よりでも生産よりでも必ず身に着けなければいけない大切なスキルです。

③細かさと鈍感さ

もうひとつ、認知的な能力として必要なのは、細かくみなければいけないところと鈍感なところのバランスです。

たとえば、商品を開発して売る場合、細かく把握しなければいけませんが、一方でそれをなんでも社員に細かく指示しているようでは会社は大きくなりません。

鈍感に人に任せるところと、細かく要所をしめるところの両方をバランスよく使い分けることがスキルとしては必要ですが、それを身に着けるためのフレームワークは実は明確には存在しないのです。

とにかく、経営者や社内起業、社外起業でも、細かさと鈍感さのどちらかではなく、必ず両方を使い分けなければうまくはいかないということを理解したうえで、あとはその時々によって細かくやったほうがいいのか、鈍感に過ごしたほうがいいのか経験してみるしかありません。

鈍感という面では、起業すると、とにかく人からいろいろと言われるため、取捨選択するという強い意志が必要です。社員含めて、人の言うことをいちいち聞いていては会社はいつになっても前に進みません。聞かないところは聞かないと判断できる心構えを持つことが重要です。

また、自分は判断することが苦手だという人が鈍感さと細かさのバランスのスキルを身につけるひとつの方法としては、「今日はこういうことを言われた」という日記をつけ、何日かして振り返り、「これは捨てる、これは捨てない」と取捨選択することです。

私はそもそも得意なので感覚的に判断して苦しくありませんが、週に1回、毎月1回でもよいので振り返り、「自分はどれを取りどれを捨てるのか」ということを意識して生きていくとスキル化できるようになります。

新規事業立ち上げ序盤はこういったスキルを意識しましょう。

社内起業に必要な上申のスキル

社内起業に限っていうと、上申のスキルがなくて苦労しているという人をよくお見掛けします。

社内起業を目指す場合、上司への説明が必要ですが、上司は基本的には起業したことがない人たちばかりなので、理解してもらうのは一筋縄ではいきません。

このときに必要なスキルは、言われたことに対して、大事なことは書き留めておき、解決ではなく1つずつ優しく説き伏せることです。

何故なら、社内の人は起業に関してはど素人なので、基本的に言うことを聞く必要はありませんが、その人たちの持つ疑問は素人ならもっともな疑問なので、一つ一つ返していくというルーチンワークは必要です。

具体的なアクションとして、2週に1回程度こまめに報告し、素人ならではの意見や質問を聞いたら、次の回には前回の質問に優しく返すことがいつしか上申資料のもととなり、あとはそれをまとめあげてやりたいことを説明すればよいのです。

これが社内起業家の社内政治の基本動作で、そうすると、社内の中でも大きなことがやれるようになります。

この上申を面倒くさがり怠った社内起業家はほぼいなくなっています。上司は起業したことのない素人だということを踏まえたうえで、コツコツ返していくことが上申スキルとしてはとくに大事です。

【関連記事】

新規事業、新商品・新サービス開発のアイデアまとめ

宮井 弘之
Written by
宮井 弘之(Miyai Hiroyuki)
SEEDATA 代表