事業承継のポイント

当ブログでは以前も事業撤退について解説しましたが(【DNVBの事例④】事業承継をお考えになられている小規模企業とSEEDATAの提携について)、今回はSEEDATAが事業承継をするパターンについて解説します。

事業承継の際にもっとも重要なノウハウの形式知化

【ある食品の定期配送サービスのケース】

この企業にはコアとなる数百人の顧客がいて、売り上げも1億程度あり、しっかりとした哲学もあります。しかし、その哲学に基づいて丁寧に事業を進めた結果、10年ほど赤字が続き、社長はM&Aで事業承継をしたいと考えています。(特定を防ぐために一部情報を変えています)

まず、事業承継とひと言でいってもさまざまなパターンがありますが、SEEDATAが直接引き受けるのではなく、業務提携しているSD/Vでいったん引き受けるのが一般的です。

その場合、おもに以下の3つのケースがあります。

①PoCは終わり、サービスの形はある程度見えてきたが、PoBまでいかないパターン

②1~3年ほどやってみて、トントン、もしくは赤字でこれ以上続けるのはつらいというパターン

③黒字化していて、0→1のPoC、PoBまではできている状態。たとえば、1店舗目は出せたがこれ以上組織化し、2店舗目、3店舗目と広げていくのは難しいため引き継いでほしいというパターン

以上のどのパターンでも可能性はありますが、事業承継を考えている状態のとき散見されるのが、「誰かに引き継ぐつもりなので今はあまり力を入れていない」というパターンです。ECサイトであれば、「手放すつもりなのでSEOなどには力を入れず売り上げが下がっている」状態などをよくお見掛けしますが、これは大きな間違いです。

当然ですが、手を抜くことにとにより、この事業はさらに魅力のない状態になっています。

事業を承継したいのであれば、これまで以上に熱心に取り組み、これまでの集大成と呼ぶにふさわしいくらいの気持ちで取り組む必要があります。そうすることで、買い手側も事業をより魅力的に感じられますし、当該事業をもっと伸ばせるアイデアを持った買い手も現れてくれるでしょう。

事業承継の際にはPLなども当然重要ですが、事業をおこなっている本人が事業譲渡する前以上に熱心にその事業に取り組むというモチベーションがもっとも大事です。

実際の事業承継の交渉は、大手のM&Aの場合はさらにしっかりとおこなう必要がありますが、SD/Vの場合、相手が個人や起業家の場合が多いため、まずは以下のような顧客の情報を元にクイックに進めていきます。

たとえば、基本的な質問として、顧客が600人いたとして、

・毎月の新規顧客数

・顧客のリピート数

・リピーターの継続期間(平均〇カ月)

・リピーターの継続期間の最短と最長

・客単価

・人気の商品、人気のない商品

以上は最低限把握している必要があります。

それに加え、実際に自分がお客さんにインタビューしたことがあるのか、そこでどんな声があったのか、ないのであればインタビューしてみて初めて、「顧客を把握している」といえます。

プラス、個人でやっている場合は確定申告や、簡単な売り上げが分かるものが必要です。

さらに、SEEDATAが事業承継の際にいちばん大事にしているのは、その人が一生懸命作ってきたノウハウの形式知化です。

個人で事業をしている人にとっては意識せず暗黙知のうちにおこなっている行動を、ひとつひとつ自分で分解するのは至難の業です。そこでSD/Vが事業承継をする場合は、店舗オペレーションであれば、お店側とお客側の動きを30秒から1分単位で一挙手一投足を観察し、どんなオペレーションをしているのかを数日間かけて形式知化します。

その後にインタビューをおこなうことで、最初に聞いたときには出てこなかった、その事業を進めるうえでの重要なポイントが見えてきます。それはジョブの場合もあれば、ビジネスモデルの場合、IT化など技術開発の芽の場合もあります。

SEEDATAとSD/Vのインサイト能力を活用して、企業なり個人のビジネス活動を構造化し、短期間でノウハウ化することで、赤字を黒字化したり、新しいビジネスモデルを提案したり、スケールするためのマニュアル化など、個人では成しえなかったことが見えてきます。

まとめると、SD/Vが事業承継をおこなった場合、

・赤字を黒字にする

・PoBを実行する

・もしくはスケールするような体勢を作る

この3つのうちのどれかが見つかります。そのためには当然、前述した本人のモチベーションが欠かせません。

これらが見つかれば、事業譲渡以外にも、ジョイントベンチャーでわれわれと一緒にもう一度新しく法人を作り、そのまま残って経営することも可能ですし、SEEDATAのメンバーがアドバイザーとして関わるなどさまざまな方法が可能です。

逆に事業承継で引き継ぎたい側がとくに気をつけることは、PLやBS、CFだけでは決めないということです。顧客、取引先を含めた一挙手一投足や実際の起業家の行動をつぶさにみることで、PLやBSには表れない、この事業の本当に承継しなければいけない部分が見えてくるので、それらをしっかり検討して承継するかどうかを決めましょう。

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宮井 弘之
Written by
宮井 弘之(Miyai Hiroyuki)
SEEDATA代表