起業・新規事業アイデアの出し方フレームワーク

SEEDATAではこれまでも新規事業の進め方やアイデアの出し方について詳しく解説してきましたが、今後新商品、新サービスを開発していったり、イノベーションを起こしていくには、「ニーズを発見さえすればいい」という考え方からいかに脱却できるか(アンラーンできるか)がポイントになってきます。何故なら、現代では生活者のニーズはほとんど出きってしまっていて、それを確認することは無意味だからです。

そこで今回ご紹介するのは、義憤発想というSEEDATAのアイデア発想のためのアプローチ方法です。

現代のヒット商品やサービスはマイナスをゼロにする(つまり明示的な不満や不足の解消)のでなく、ゼロからプラスにしているように見えます。従ってSEEDATAの定義するトライブをリサーチすると、何かをゼロからプラスにしているように見える形で新しい商品やサービスについて語ったり、自分でカスタマイズしているライフスタイルをポジティブに紹介をしてくれます。

ところが、プランニングの初級者の方がこのトライブの言い方をそのまま真に受けると「トライブレポートをうまく使いこなせない」と感じ、アイデア開発がやりにくくなることがあります。

その理由として、商品やサービス開発をする場合のコツは、「**しなければならない」のような課題型の言い方にしないと開発者が仕様に落としにくいということがあげられます。トライブの発言と表現形式として課題型にする間にプランニングの溝があります。そこで、トライブレポートを活用している上級者の人たちは、そこを「解決しなければならない課題(ジョブもそのひとつ)」に置き直すことによってアイデア開発をしているのです。

そこで、イノベーションプランニングや新規事業やサービスの企画にまだ精通してない方でもトライブのような先進的なユーザーの発言から課題型のコンセプト表現を獲得するコツとして、「義憤」という概念を紹介します。

トライブはもともとポジティブな価値観を持っていますが、ある文脈においては「何故今これができていないのか」という憤りを感じています。ただし、勘違いしてはいけないのは、義憤は単なる怒りや不満、不便、不足ではないということです。単なる「不」は旧来型マーケティングで言うところの「ニーズ」です。(アカデミックには「未充足のウオンツ」というほうが正確です)

怒り、不満、不便、不足というような感情からきたものは「これが欲しいのにない」というニーズからウォンツに該当します。旧来のマーケティングでは、不満、不便、不足があって、背後にあるニーズのレベルでそれらが満たされていないから、自分たちの商品・サービスでそれをウォンツからデマンドに変えていこうと考えられていました(詳しくは消費者行動の記事をご覧ください)。

一方、現代では不満、不足、不便ばかりではなくなり、この旧来のフレームワークが、活用できなくなってしまったわけです。その中でもトライブは、もっと生活をよくしたい、進化させたいというゼロからプラス方向の価値観から行動しています。従って一見話している内容から明示的に義憤を感じることができません。ここでプランナーが補助線を引いてこの話を一般の人に適応させるとしたら、どんな義憤なのかと置き換えることで、課題っぽく捉えられたり、ジョブが出しやすくなったりします。

たとえば、トライブレポートを読んでも、ニッチすぎて自分や一般の生活者には関係ないと考えてしまいがちですが、義憤として捉え直すことで、どんなものが解決しなければならない課題なのかを発見でき、新規事業のアイデアがかなり出やすくなります。(専門的には論理でなくて感情にアクセスをして発想するという発想方法の部類になります)

実際にSEEDATAのアナリストやビジネスデザイナーはそのようにしてアイデアを出しています。この方法を試してみたい人はぜひSEEDATAにご依頼ください(コンタクトフォームに移動します)。

ここで義憤発想の事例を簡単にご紹介します。

義憤①なぜステーキは高級品で パッと食べれないのか?

いきなりステーキ

立ち食いと圧倒的な安さですぐにステーキが食べられる飲食店 (株式会社ペッパーフードサービス)

義憤②なぜAカップ用のブラは こんなにも少ないのか?

feast(フィースト) シンデレラバスト

(Aカップ~AAAカップ)専門の下着ブランド (株式会社ウツワ/ハヤカワ五味氏)

当然ですが、もともと自分なりにAカップを受け入れているポジティブな人は別に義憤を持っているわけではありません。それを解決しなければいけない問題として、「何故Aカップのブラはこんなにも少ないのか」と置き換えられるかどうかがプランニングのポイントです。解決しなければいけない課題と捉え直すことで、どのように仕様を考えるか、どういうスペックにしようかというところまで考えることができます。

いきなりステーキも同様で、「ステーキは高級品で時間をかけて食べるもの」というこれまで常識とされていたことを、「何故ステーキを手軽に食べることができないのか?」と課題として捉え直すことで、今日のスタイルを生み出し、多くの生活者に受け入れられているのです。

宮井 弘之
Written by
宮井 弘之(Miyai Hiroyuki)
SEEDATA 代表