【4/6更新】コロナショック後の新規事業プロジェクトの行方

今回は2020年の新規事業界全体が確実にこうなるであろうという私の予想を、キーワード順に解説していきます。

※この記事は2020年1月15日に更新したものに、その後のコロナショックの影響を加味し、4月3日に内容をアップデートしました。

①一巡

まず、現状として、新規事業ブームの当初から取り組んできた企業も近年取り組み始めた企業も、なにか一度は行った(一巡した)状態です。

たとえば、予算をとってアクセラレータプログラムをしたり、アイディエーションをしたり、イベントを開いてどこかのと一緒におこなうなど、一巡した状態になり、多くの企業が「この後どうすべきか」と悩んでいるのです。

とくに、さまざまなプレイヤーと組んでみた人たちは「本当にこの組み方でいいのだろうか」という意識がとても強くなっているはずです。

そこで重要になってくるのが、どんなビジョンでどんなところと組んでいくかという、自社のオープンイノベーションシナリオです。新規事業やオープンイノベーションをおこなっている組織こそ、ビジョン、ミッションを見つめ直しつつ、次のチャレンジをしようというフェーズに入ってくるでしょう。

また、社内で新規事業コンテストやアクセラレータープログラムを何度も回してきた企業は、どんなビジョンでどのように組んでいくか、よりよい支援の方法についてなど、煮詰まってきています。

 

一方、新規事業の応募のプログラムをしている企業からは、ある程度アイデアは出たという実感はありつつも、やはり自分たちだけではやりきれないという声が多く寄せられます。

今後ますます、個別の具体的案件に伴走してほしいというニーズは高まっていきますし、PoC、PoBの概念も浸透してきているため、まさに実装、実行支援という部分に各社お金をかけ、PoBまでしっかりおこなってから会社設立という流れは進んでいくでしょう。

このあたりが、いわゆる新規事業部の人の2020年のテーマとなります。

 

(※追記:2020年4月3日)

前提認識としては一巡という考えで間違いありませんが、そもそも新規事業の成功確率はどこの企業でも低いものです。

コロナウイルスの影響を受け、「今は新規事業をしている場合ではない」と本業の立て直しが優先され、かなりの勢いで新規事業の中止やサイズダウンの可能性が高くなります。

このときに、新規事業部の人たちがどう対応すべきかについて解説します。

 

ひとつは上司や役員に対する、冷静な認識の共有が必要です。

たとえば、識者の間でもコロナウイルス収束までに半年、一年、一年半…というように意見が分かれ、アフターコロナではなくウィズコロナという風に、今後ずっとゆるやかな管理社会が続くのではないかという意見も出ています。

このとき、自社としてどう認識するのかを整理し、共有しておくことが重要です。

業種によって自社の景気は多少変わってきますが、収束までにどの程度の期間がかかるかに関わらず、非常時的なリセッションが起き、確実に世の中の景気は悪くなります。

つまり、収束までにかかると思っている期間(一年~二年半?)が例外的に景気が悪く、そのあとにも好景気になるとは考えにくいため、ゆるやかに不景気が続く可能性があります。

 

また、冷静になって考えてほしいのが、ある程度落ち着いた段階で「何も新しい玉を持っていなくていいのか」ということです。

今ここですべての引き出しを捨ててしまった場合、この困難が去ったあとに引き出しの中は空っぽになります。それだけは避けなければいけないという前提で、先手をうち新規事業部から上層部に提案していく必要があります。

焦ってすべてを中止にして引き出しの玉をゼロにするのではなく、予算やプロジェクトをゼロや中止にするのではなく、数を減らすなどダウンサイジングの提案をしていく必要があります。

緊急事態ということもあり、SEEDATAもオンラインで相談に乗ることができますので、遠慮なくご相談ください。

②スモールM&A

スモールM&Aをオープンイノベーションで活用するという流れは今後確実に訪れると私は考えていますが、まず、多くの人が「絶対いける」と思うような著名なベンチャーは当然すでにお金も集まっているため、そこに新規で自分たちが入り込むのは困難です。

しかし、自分たちでゼロから立ち上げるとなると、われわれのようなビジネス・アクセラレーターの伴走がなければなかなかうまくいかないという現実があります。

そこで、0→1まではいっていないが、0→0.5や0.7くらいまで立ち上がりつつあったり、0→1まで立ち上げたが1→10までいかず、0.7くらいまで弱まってしまったような、とんとんから赤字、または開発は好きだが経営は好きではないから拡大しないという法人に注目しましょう。

そういったプレイヤーとの資本提携ないし買収を通じて新規事業にし、自社の技術を入れていくイメージです。スモールМ&Aからのオープンイノベーションや、スモールM&Aからの新規事業開発は2020年以降トレンドになるでしょう。

SEEDATAもすでに取り組んでいますし、それに伴い小規模M&AならではのPMI(Post Merger Integration=経営統合後に文化やビジョンを伝えて組織をならしていくプロセス)がますます求められていきます。

(※追記:2020年4月3日)

コロナウイルス以降、とくに売り手側の緊急度は高まるため、事業承継を急ごうとする企業が増えます。

一方、買い手側は今すぐ買うとはいかずとも、引き出しが空にならないよう、大きなM&Aではなく、スモールM&Aから取り組み、玉を仕込んだり、中止した新規事業プロジェクトの代わりにスモールM&Aをおこなおうとする企業は増えていくので、この流れは前倒しで加速していくでしょう。

③D2C、DNVB

くどいようですが、やはりD2C、DNVBはきています。

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とくに製造業、FMGC(fast moving consumer goods=日用品)の新商品開発やブランディングは大概念としてのD2CやDNVBに吸収されていくのではないでしょうか。新しいDNVBやD2Cのビジネスモデルをともなった新商品開発が必須になってくるでしょう。

店販流通モデルの商品開発は粛々とやりながら、これからはDNVBの形で新商品開発を目指していくという流れが圧倒的に強まっていきますし、2020年のSEEDATAはこの時代の流れを先読みし、DNVBのプランニングから、受容性調査、運用体勢まで整えていきますので、極論はキャンペーンを一括発注するようなイメージでご依頼していただくことも可能です。

(※追記:2020年4月3日)

コロナウイルス以降、D2C、DNVBの流れもさらに加速します。

世の中全体が不安に陥っても、生活者は何も買わないわけにはいきません。たとえば、歴史を紐解くと、大きなテロや混乱が起きた際には小売での略奪行為が起きますが、生活必需品だけでなく、口紅が略奪されたという事例があり、これをリップスティック・エフェクトといいます。つまり、人間は不安なときこそメイクを施し、自分らしさを保ちたい生き物なのです。「哲学を持つ」というD2CやDNVBの特徴から考えても、今後より人びとに浸透していくでしょう。

 

もうひとつは、有事の際の固定店舗のリスクがより表面化し、不可逆的にリアル店舗よりオンライン店舗が重視されていくということです。たとえば、今後はすぐに撤収できるようポップアップショップ中心に展開する企業も増えていくでしょう。

D2C、DNVBモデルは、コロナ後の新商品開発、新規事業開発のメインの取り組みテーマとなり、これをどう極めていくかが、製造業やサービス業にとって非常に重要になっていきます。各社、残りの予算をすべてつぎ込む勢いで重視した対応が求められていくでしょう。

④不景気

②のスモールM&A、③のD2C、DNVBの流れとともに、海外に進出していくというトレンドがありますが、これらに影響を与えるマクロ要因は、「不景気」といえるでしょう。

景気の後退は感じている方とそうでない方といらっしゃると思いますが、景気がよい時代は資金にも余裕があるため、ゼロからチャレンジをしようという流れが強くありました。

一方不景気になり、先行きが不安になると、堅いところや確実なところにいこうという流れが強くなっていくため、商品開発に近いD2C、DNVBや、確実に実体があるスモールM&Aなど、ある程度確実な一歩を進めながらやっていく流れが訪れます。

 

また、国内の総需要はもう下がり続けるため、改めて海外での実入りを増加させる必要がありますが、海外でどのように新規事業やアライアンスをしていくかが重要になってきます。その際に役立つのが、SEEDATAが調査している海外のトライブたちです。海外で新規事業や商品開発を進めていく場合、とくにB2C、B2B2Cであればぜひご相談ください。純粋なB2Bは扱っておりません。

 

以上が日本国内の新規事業の大きな動きになります。

 

もうひとつ、これは2020年にSEEDATAが行おうとしていることになりますが、世界中のトライブの研究をしていると、やはり欧米圏のライフスタイルに先進性を感じます。

もちろんアジアも、中国を中心に面白い要素はありますが、欧米圏とアジア圏のビジネスデザインの違いを見ると「未来思考」ではなく「今思考」だということです。

そこで、2020年のSEEDATAはSD/SAを強化していきます。具体的には、東南アジアの大手企業に対し、「もっと未来思考でビジネスデザインをしていきましょう」という啓蒙活動に取り組みます。

そうすることで、すぐには無理でも、未来志向の東南アジア企業と未来志向の日本企業の現地でのオープンイノベーションが実現するでしょう。

今後景気が悪くなり、海外に進出しようというときに、海外の未来志向の企業と組める形を作っていきたいと考えています。

新規事業やオープンイノベーションをおこなっている人は、長期的には日本だけではなく、海外での活動に本腰を移す準備をしなくてはなりません。SEEDATAも2020年はバンコクを中心にアジアでの活動をおこなっていきますが、ニューヨークでの活動も強化し、SD/G(Global)に力を入れていくことで、日本で新規事業を進めている方々に役立つ知見を提供できると考えています。

(※追記:2020年4月3日)

コロナウイルスの影響により、この不景気が前倒しで起きましたが、私が予想外だったのは世界同時だったということです。

これにより、前述している「国内総需要が下がる」ので「外貨獲得へ」という点は修正を余儀なくされ、業種によってはまず内需の中である程度生き抜く必要が出てきました。

歴史を紐解くと分かりますが、この手の疫病は必ず第二波、第三波がくるため、一度落ち着いたからといってすぐに海外進出は難しい状況です。新規事業に関しては、まずサービス業も製造業もD2CやDNVBとスモールM&Aを組み合わせて成長戦略を作り直すことが重要です。

 

もう一点、現時点ではすぐに海外に実態を作るような投資は非常に危険であり、逆にここはじっくりとリサーチや見極めに時間を割く必要があります。その際には、われわれが持つSD/Gのデータをぜひご活用ください。

この二点がコロナウイルスを踏まえた国内の新規事業で必要な動きになっていくでしょう。

不景気で先行きが不安になり、新規事業の引き出しの中に玉をこめておくという面、スモールM&A、D2C、DNVB化、このあたりを組み合わせて次の成長戦略を前倒しで作っていく必要があります。

SEEDATAにご依頼いただければ、より具体的なアフターコロナの成長戦略を立案させていただきます。

宮井 弘之
Written by
宮井 弘之(Miyai Hiroyuki)
SEEDATA 代表