失敗しない新規事業部の立ち上げ方①「アイデアも人材も経験豊富な外部の人間を入れて新規事業を回していくべき」

SEEDATAではこれまでも、新規事業を進めている企業からご相談を受けて参りましたが、近年さらに、新規事業、新価値を創造したいという企業が増え、その際の新規事業部の進め方や制度の設計方法について質問される機会が増えてきました。

当連載では、これまで多くの新規事業創出に関わったSEEDATAだからこそ見えてきた、新規事業を立ち上げる際に担当者が陥りがちな失敗や、不安点などから、新規事業立ち上げのポイントを項目ごとにまとめ、イノベーションを進めていきたいみなさんの一助になればと考えています。

いくつかある中でよく質問されるのが、「社内からアイデアを募って新しい事業を構築する社内事業提案制度をやっていきたいが、どういう考え方、進め方をすればいいのかわからない」というもの。

そこで今回は、新規事業の進め方の中でも社内事業提案制度に焦点をしぼり、SEEDATA代表の私が解説していきます。

新規事業部・制度を創ったらまずはまったく新しい市場に挑戦するほうがよい

特に大手企業の場合顕著ですが、新規事業の提案制度をやることになると、既存の事業のように何十億、何百億という目標を平気で掲げることが多いんです。そして結局、新規事業を始めても、こんな小さい規模では意味がないからとやめてしまうというパターンがあります。

2つめは、既存の何百億という事業は、当然品質管理もしっかりしていているわけですが、一方新規事業は、ゼロからたちあげているため、すぐには高い品質にならず、「こんな品質では外に出せない」と永遠に外に出せないで終わってしまうというパターンです。

3つ目は社内に経験者がいないため、評価する立場の人もどこを評価すればいいかがわからないというパータン。

社内公募で事業案を募ってもそもそもどのくらいの期間、どのくらいのお金かければ花開くのか、適切な審査ができないという問題にぶちあたるんです。

過去に新規事業をやろうとしてダメになった企業は、以上の3つのパターンのどれかが多いのではないでしょうか。

そんな中、多くの企業で今あらためて新規事業を立ち上げようという動きがみられるのは、今は昔より起業のコストが下がり、新規事業が立ち上げやすくなったのではないかという認識や、市場の変化スピードに対応するため次の柱を見つけていかなければいけないという風潮が強まっているためです。

そこで、今の時代に合った新規事業の立ち上げ方を意識して進める必要があります。

社内提案制度の場合、重要なのは最初から10億、100億という大きな売上を目標にしないということ。売上を目標にすると既存事業の方がどうやったって強いですから、結局既存事業の内容違いになってしまい、新しいビジネスモデルの創造にはならないんです。

そこで、SEEDATAでは「飛び地」と呼んでいるのですが、まったく新しい市場に挑戦することをオススメします。新規事業部を始める当初は「今までとはまったく違ったビジネスモデルにチャレンジする」と決めたほうがいいですね。

たとえば、これまでBtoBしかやっていない企業ならBtoCに挑戦するとか、オンラインでしかやっていない企業ならリアル店舗の事業やるなどの方法が考えられます。

あえて、今の社内で誰もやっていない未踏領域なら、誰からも口出しもされないし、完全に新しいことだから、小さくても取り組みやすいというメリットもあります。

あとは、経営者人材や、ベンチャースピリッツをもった風土作りといった、人材や組織を育てる意識でマネジメントと当初1〜2年の期待成果を握ること。新しい事業の立ち上げで直面する経験と課題を組織で積みあげていくことで、徐々に自社事業に近いことや、本業に近いところを変革するようなアイデアにチャレンジする準備ができていくのです。

まずは組織や人を育てるという意味合いで飛び地のもので始める、むしろ飛び地をやるとしておいて、やりやすい環境づくりを第一にするべきです。

経験のある外部の人間が手を動かすことで新規事業をスムーズに進めることができる

実際に提案制度を社内で立ち上げても、すぐに応募してくる人は少ないという問題があります。

大きくは、

・アイデアはあるが実行する勇気がない

・今の仕事で手一杯で難しい

・すぐにでもやりたいがアイデアに自信がない

というような理由により、なんとなく募集しても、なかなか集まらないのが実情です。

いい加減なアイデアではスタートしてから苦労しますが、とはいえ、アイデアにあまり時間をかけても先に進みません。そこで、手前味噌ですが、例えばSEEDATAのようなイノベーション支援をしている企業と一緒に行うことで、アイデアも作りやすくなり、新規事業をスムーズに進めることができます。

また、実行の際も、飛び地の事業をやるのであれば、既存の部署とは違う別の組織で自由にやれるので、最初は飛び地の事業を許容すると、アイデアも集まりやすく、背中も押しやすくなるというメリットがあります。

 

次に審査のやり方についてですが、これも社内メンバーだけだと審査基準がわからず評価できないので、半分は外部の人間を入れたり、有望なチームに起業経験のある外部の人間をメンターとしてつけるという方法がオススメです。

 

社内提案制度でもうひとつ重要な点は、失敗したときの撤退の基準を最初に決めておくということ。

これを先に決めておかないと、今ひとつなものをダラダラと続けることになり、そんな状態で続けるくらいなら、その担当者は本業で活躍したほうがいいといいう話になります。

あとは新規事業で失敗した人をその後のポストで厚遇するということ。社内新規事業制度は個人で起業したときのようなダウンサイドがないことで、普通なら起業しない人からも頑張りを引き出せるチャンスなので、失敗してもその経験を活かし、重要なポストにつける意思があることを会社として宣言し、それを守ること、これがとても重要ですね。

 

よく、「モチベーションを上げるために本人にも株をあげて頑張らせる」という意見もありますが、その方法はあまりオススメしません。

理由として、私の身近なイントレプレナー(社内起業家)たちは、一攫千金したいというより、会社の資金やネットワークを活用して100億、200億単位の事業を回していきたいと考えているんです。

企業の力を借りて大きなインパクトを社会に与えたいというような人が多いため、むしろそちらを焚き付けてあげたほうが効果があるでしょう。

つまり、新規事業に失敗しても元の仕事には戻れるし、うまくいけば会社として第二の事業の柱にもなり得る、それを社内のリソースを使って応援すると宣言したほうが、イントラプレナーたちはモチベーションがあがるんです。

 

新規事業部立ち上げ後は情報収集に時間をかけず、まずは経験者と事業を回してみるべき

 

新規事業を行う際、場合によっては顧問のような人を置く会社もありますが、顧問をつけても実際になにも動かずうまくいかないという現実があります。顧問が必要ないという意味ではありませんが、なんのためにつけるかをよく考えた方がいいですね。

全員未経験者ばかりという中では、顧問よりもいかに手を動かしてくれるかのほうが大事なので、まずは実際に新規事業の立ち上げを経験している人を連れてきて、動いてもらうことに時間とお金を使った方がいいでしょう。アドバイスをもらうのではなく、動いてもらうことが重要です。

そういった意味でも、SEEDATAには経験豊富な人材がそろっているので、週2、3回くらいうちのスタッフがお邪魔して、事業部運営を回すということも可能ですし、これまでも実際そのように企業の新規事業をサポートしています。当社ももちろん経験に基づいたアドバイスをしますが、口より先に手足を動かしてくれる人材のほうが良いでしょう。

たとえば自社から管理職1人、現場でプロジェクト回すのが多くて2人か1人、あとは外部の人で固めるという風にして、1周目は経験者を連れてきてチームアップします。

とくに立ち上げ期は人数が必要なので、事業が実際に回り始めて落ち着いてきたら、自社の人員だけで回すという組み方に移行していけばよいのです。

よくないパターンは、例えば5人くらいの未経験者の自社人材で部署を立ち上げ+週1回アドバイスをくれる外部の顧問をつけるという方法。これではアドバイスをもらえたとしても結局動き方を見せてもらえないので、うまく進められません。

「経験のある外部の人間の方がよい」というのは審査する人に関しても同様です。

とにかく、社内提案制度は計画に時間かけるよりも、実行。まずは経験のある人を入れて一回回してみるということが重要です。

 

初年度から2年目くらいは、人や組織を育てるというような定性的目的で始めて、3、4年目くらいから、利益を重視するのか、または本業とのインパクトを重視するのかは会社ごとに決めて、本格的にビジネスとしてものになるのは5年目くらいからが一般的です。

1、2年でやめると制度自体が根付いていかないため、新規事業を始めるなら5年くらいは諦めずにやるつもりで始めなければいけません。

このように全体を考えて設計すると、あとあとうまくいきやすいでしょう。

 

 

当連載をまとめた無料ホワイトペーパーができました!↓

失敗しない新規事業部の立ち上げ方(ホッキョクグマ)

新規事業を立ち上げの際に担当者が陥りがちな失敗を項目ごとに解説(全25ページ・493KB)

※弊社提携の調査会社様・コンサルティング会社様以外の同業他社様には資料をお送りできませんので、あらかじめご了承ください。提携をご希望の方はまずはコンタクトフォームよりお問合せください。

 

 

宮井 弘之
Written by
宮井 弘之(Miyai Hiroyuki)
SEEDATA 代表