失敗しない新規事業部の立ち上げ方②新規事業と新商品・新サービス開発の違い【前編】

SEEDATAではこれまでも、新規事業を進めている企業からご相談を受けて参りましたが、近年さらに、新規事業、新価値を創造したいという企業が増え、その際の新規事業部の進め方や制度の設計方法について質問される機会が増えてきました。

当連載では、これまで多くの新規事業創出に関わったSEEDATAだからこそ見えてきた、新規事業を立ち上げる際に担当者が陥りがちな失敗や、不安点などから、新規事業立ち上げのポイントを項目ごとにまとめ、イノベーションを進めていきたいみなさんの一助になればと考えています。

前回は、新規事業の進め方の中でも社内事業提案制度に焦点をしぼり、新規事業を起こす場合、新しい市場に挑戦したほうがいいということ、実際に手を動かすメンバーは経験のある外部の人間を入れること、情報収集に時間をかけすぎないこと、1、2年は組織づくりをメインに考えたほうがいいことなどをお伝えしました。

→失敗敗しない新規事業部の立ち上げ方①「アイデアも人材も経験豊富な外部の人間を入れて新規事業を回していくべき」

第二回の今回は新規事業と新サービス開発の違いと、それぞれを進める際に気を付けるべき点についてSEEDATA代表の宮井氏にお話をうかがいました。

既存のビジネスモデルに新たな商品、サービスを乗せるのが新商品・新サービス開発

「新規事業、イノベーションの進め方の中で、ビジネスモデルを創造する事業創造型のイノベーションと、すでにあるビジネスモデルの上に新しいサービスや商品を乗せるパターンがあります。これはどちらもイノベーション推進と呼ばれるため、進め方や考え方がややごっちゃになってしまうことがあります。

まずは、すでにビジネスモデルがあり、新商品や新サービスをのせる場合に気をつけるべき点について説明します。

 

SEEDATAでは新商品、新サービス開発と、新事業開発とはわけて考えています。

たとえば、流通企業の場合は店舗にお店にお客さんが来るわけですが、ここに今までとは違う商品を仕入れて売ったり、違うサービスを売ったりすることでも、イノベーションは生まれますが、「既存のビジネスモデルの上に新しい商品やサービスを乗せている」ということになります。

また、製造業の場合、商品を卸しに納入して小売りで売るというビジネスモデルがあり、そこに乗せる新しい商品を考えるというのは、これも新商品開発と考えられます。

 

このときにもっとも重要なのは、アイデアを考えるプロセスです。イノベーションを進めるときに、新商品開発、新サービス開発、ビジネスモデル創造を全てやるのが一番大変ですが、すでにビジネスモデルがある場合は、ビジネスモデル創造に割く力はセーブできるので、アイデアそのものがしっかりしていなければいけません。

この場合は発想や企画に力を入れるべきで、「ビジネスモデルも一緒に作ろう」とか「スタートアップと組もう」とか、ベンチャー系のことをやっているコンサルタントに相談してしまうと、混乱しやすいので注意が必要です。

ビジネスモデルがすでに固まっているときは、まずは企画を通じて顧客価値をきちんと設計することをオススメします。

 

新商品・新サービス開発は調査に時間をかけすぎないこと

次に重要な点は、実際によくありがちな失敗ですが、新商品、新サービスを開発するときに、市場調査とその分析に時間をかけすぎてしまうということ。

私が過去に関わったプロジェクトでも、新しいことをやるからと、3か月のプロジェクトのうち1.5か月くらい調査にかけてしまったということがありました。しかし、アイデア出しの前段階に時間かけすぎてしまうと、アイデアを出したりアイデアを磨く時間がなくなるということがよく起こります。

 

このときSEEDATAを使ってもらえば、既にあるトライブリサーチのデータを活用するので、プロジェクト開始から早い段階でアイデア創出を実現することが可能です。これを私たちは「アイデアファースト」と呼んでいます。

対して調査に時間をかけることを「アナリティクスファースト」と呼んでいるのですが、新商品、新サービス開発の場合は、アナリティクスファーストだと時間がかかりすぎてしまうんです。

プロジェクトを設計する際は、早い段階でアイデアを出すということにフォーカスして考えましょう。初期のアイデアはいずれにしろ完成度が低いので早めに創出を終わらせ、磨き込みに時間をかけたほうが良いです。

具体的には3か月くらいと期間を決め、最初の2週間くらいで情報収集と考えます。間違っても1か月も調査に費やすということはしないこと。この期間を決めることも情報収集のフェーズで大事なことです。

 

次に集めた情報を分析してアイデアを出すのですが、やりがちなのが全員集合ワークショップや、色んな部署から色んな人のアイデアを集めようというもの。そこでチームでアイデアを1つ作るという方法をとりがちですが、これもよくありません。チームの目線をそろえたり多様な視点を獲得するためにはワークショップは重要ですが、それ以外の目的をあまりワークショップに負わせないことが大切です。

たとえば4人のチームで1つのアイデアを作った場合、ワークショップの場では合意がとれるのですが、そのアイデアのオーナーが誰かわからず、その後推進する人が見つかりにくいという弱点があります。

また、ワークショップや会議を何度も行うと時間もかかるし、ワークショップのときはその場でまとめないと行けないので一旦収束するのですが、あとでよく考えたら違ったなとなったりして、失敗するパターンも散見されますね。

 

SEEDATAでアイデア創出ワークショップをする場合は、誰がそのアイデアに対するオーナーシップをとるのかを明確に決めて、オーナーが取捨選択し、ほかの人はサポートという風に決めてしまいます。

「盆栽」と呼んでいますが、みんなで話すと枝葉がつくので、それを取捨選択し、刈り込んで尖らせていくという作業をやっていきます。

 

ワークショップは大きな方向性や、ネタの数を増やす意味では有効なんですが、回数重ねたからといってアイデアが磨かれるわけではないというのはよく覚えておきましょう。

なので、やたらアイデアソンやワークショップをやりましょうという人が来たら気をつけたほうがいいですね(笑)。

 

定量データではなく、実際にこの商品にお金を出す人がいるかどうかを確かめる

 

最後に気をつけるべき点は、いいアイデアがいくつか出たら、そのアイデアがいけるのかいけないのか、どのように証明するのかということ。

実際にアイデアを出すまでは、個人、もしくはコアの人たちで「このアイデアはいける」と思っても、その後、会社組織なら上申したり、ベンチャー企業だとしても仲間を集めたり、投資家から資金を募らねばならないというフェーズがきます。

この時にデスクリサーチの結果、「これを買いたいと言ってる人が何人、何%いる」というような定量的なデータだけを使うのはよくありません。たしかに数字を出すと説得力はありますが、実際やってみたら違ったということがよくあるんです。

それをスムーズに進めていくためには、パッケージのスケッチを書くとか、手作りでもいいので実際に試作品を作って、それを想定する消費者に持って行き、買いたいか、買いたくないかという話を聞いてみるんです。

場合によってはプロトタイプを実際に売り込んでみたり、オークションやクラウドファンディングのサイトに出してみたり、フリマサイトに出してみるとかでもいいので、「オークションにプロトタイプを出したら〇円で売れました」というように、”実際に買った人がいる”という結果を調査として出してほうがよいでしょう。

 

新商品・新サービス開発を進める際は「この商品に本当に誰かがお金を出したかどうか」をしっかり確かめることをSEEDATAでは推奨しています。また、企業内部のルールでテストマーケティングがやりにくい場合はSEEDATAに相談してもらえれば適切にコンセプトの蓋然性をチェックするための企画をご提案します。

 

まとめると、

・期間はなるべく短め目に3か月くらいに設定する

・最初の1か月でアイデアを出し切る

・次の1か月で消費者にあててアイデアを磨いてみる

・最後の1か月で磨いたアイデアにお金を払ってくれる想定顧客が存在するのかを実証する

・同時に技術的に可能か製造部門と話して裏をとる

以上のようなスケジュール感で行います。

ダメな例のように時間をかけていると、調査からアイデアが出るまでに半年から1年くらい時間がかかった挙句、技術的に無理となったら話になりませんよね。

このスピード感を意識すれば、既にビジネスモデルが決まっているところに新商品、サービスを乗せる場合はスムーズにいくでしょう。このようなプロセスを年に3〜4回転させればどんどん筋肉質な企画部署になっていきます。

 

SEEDATAでは、実際に3か月程の期間で新商品・新サービス開発の支援を行っており、企業に合わせた上申ロジックづくりのノウハウもあり、資料作成のサポートも行っています。クライアント様のメンバーが人数・時間的にやりきれない部分に当社のアナリストが入り込んで実際に部署のメンバーのように手を動かしていきます。

単なる調査結果やアイデアを渡すだけではなく、上申して承認されるまでが企画業務であり、社内説得・社外説得までを新商品・サービス開発支援のプロセスと考えています。製造業の場合、流通商談の資料作成も重要ですし、業務用製品の場合も商談の資料を作り込む必要があります。こういった資料作成のノウハウも当社にはありますので是非活用していただきたいと思います。

 

失敗しない新規事業部の立ち上げ方③新規事業と新商品・新サービス開発の違い【後編】

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SEEDATAでは、独自に定義した先進的な消費者群(=トライブ)のリサーチを通じて、企業のイノベーション支援を行っています。

新商品・新サービス開発、新規事業のご相談はinfo@seedata.jpまで、件名に『イノベーション支援について』、御社名、ご担当者名をご記名いただき、お気軽にお問合せください。

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宮井 弘之
Written by
宮井 弘之(Miyai Hiroyuki)
SEEDATA代表