失敗しない新規事業部の立ち上げ方⑤新規事業を進める際の予算の立て方【後編】

SEEDATAではこれまでも、新規事業を進めている企業からご相談を受けて参りましたが、近年さらに、新規事業、新価値を創造したいという企業が増え、その際の新規事業部の進め方や制度の設計方法について質問される機会が増えてきました。

 当連載では、これまで多くの新規事業創出に関わったSEEDATAだからこそ見えてきた、新規事業を立ち上げる際に担当者が陥りがちな失敗や、不安点などから、新規事業立ち上げのポイントを項目ごとにまとめ、イノベーションを進めていきたいみなさんの一助になればと考えています。

これまで、新商品・新サービス進める際に気をつけるべき点、新規事業と新商品・新サービス開発の違いなどについてお伝えし、前回は、新規事業を進める際の予算の立て方と題し、売り上げと経費の考え方についてお伝えしました。

第五回目の今回は、前回に引き続き、新規事業を進める際の予算のうち、実際に会社を作るための費用について、SEEDATA代表の宮井氏にお話をうかがいました。

 

これまでの記事はコチラ

失敗しない新規事業部の立ち上げ方①「アイデアも人材も経験豊富な外部の人間を入れて新規事業を回していくべき

失敗しない新規事業部の立ち上げ方②新規事業と新商品・新サービス開発の違い【前編】

失敗しない新規事業部の立ち上げ方③新規事業と新商品・新サービス開発の違い【後編】

失敗しない新規事業部の立ち上げ方④新規事業を進める際の予算の立て方【前編】

最初の半年は必ずフィージビリティスタディを行う

事業を作るための費用は、事業を作るときの準備費用と、実際に事業を回す費用の2つにわかれます。

準備するための期間はフィージビリティスタディと呼ばれています。リーンスタートアップの世界ではMVP(minimum viable product)と呼ばれていますが、いきなり事業を作って回しても、うまくいくかはわからないため、それが本当に顧客にとって価値があるものか実際に検証する必要があります。

これを回すときには半年くらいの時間をかける必要があり、まずは自分たちのやろうとしてるサービスや事業が使いやすいか、価値があるものかを検証します。ここではお金をとらずに無料や場合によってはモニター料金を払ってもいいので、まずはサービスやプロダクトの仕様のどの部分が顧客価値につながっていくのかを検証します。

これがサービスやプロダクトのプロトタイプとなり、短くても3か月くらいの時間をかけます。

次に、前段のプロトタイプで固めたサービスやプロダクトの仕様で、実際にお金がとれるのかというビジネスモデルのプロトタイプを回します。この2つのプロトタイプをごっちゃにやっている人が多いですがそうすると混乱します。

つまり、どんなに短くても6か月くらいの時間がかかるので、その期間の人件費をみておく必要があります。

 

たとえばSEEDATAの場合、50万円からこの事業を回すスタッフを派遣します。弊社社員や起業家を派遣し、この2種類のプロトタイプを行い、KPIが達成できたら会社化して、できなかったらこの時点で撤退することも可能です。

この部分を怠って進めると失敗しやすいので、コストをかけてでも必ずやるということを念頭に、初めから予算をとっておく必要があります。 

フィージビリティスタディも一番最初は外部の経験者を入れて支援してもらい、やり方を学びましょう。フィージビリティスタディはそれぞれの事業の数だけやっていきます。

予算計画は項目ごとに小分けに発注すること

半年間のフィージビリティスタディを行うことで、実際にこれくらいの金額で売れたとか、お客さんに受けたコンセプトや仕様はこれだったとか、チラシから申し込みがあるとか、一度回してみることで、確信の持てるものが増えきます。

この段階で、スタディの結果に基づいて、前のフェーズで作った事業計画書の数字を書き直します。損益計画でだいたい3年~5年の事業計画を作るところが、このフィージビリティスタディの終わりです。

ここまでやることで、自社の社員でできるのか、外部の人を雇わなければできないかもわかるので、人員計画も決められます。

会社化するなら3~5年くらいはやるつもりで事業計画を作りますが、ここは会社によって考え方は自由なので、KPIを達成できなければ1年でたたんでしまうのもよいでしょう。

ただし、1年目はどういうところがクリアできたらOKというKPIをきちんと決めておき、計画自体は3年~5年分きちんと立てておく必要があります。

まずはだいたい3~5億くらいの事業を目指して3000~5000万くらいの資本金でスタートし、1、2年目の売り上げが上がらなくても、損失も3000~5000万くらいですむような事業計画にします。この金額感は大手〜中堅企業の場合を想定しています。慣れてくれば半額くらいまで落としても回せますし、手練であれば1桁落としても回せますが、最初は無理だと思います。

この単位のコストでなんとかしようということが、小さく始めることにつながるので、間違ってもいきなり数億単位をかけるような事業計画にはせず、無理をしてでも限られた範囲のコストで回すことを考えることが大事です。 

ここまでいったらその後は毎年のモニタリングを行い、KPIが達成できたか確認し、続けるか潰すか、増資してもっと大きくするかということを繰り返すことで、群ができてきて、最終的に100、200億の事業という形になっていきます。

新規事業推進の担当になった方は、前回、今回と解説してきた以上の項目にわけて予算計画を立てるようにしましょう。

 

具体的に予算をいくらにすればいいのか、また、どんな計画にしたいらいいのか悩んでいる場合は、SEEDATAと一緒に考えましょう。遠慮なくご相談ください。

最初の予算計画段階でつまづくと、ひとつの事業計画書にコストをかけすぎてフィージビリティスタディの予算がなくなったりしてしまうので、項目ごとに小分けにして発注していくようにしましょう。

たまに新規事業の支援を「3年でまとめて3億」、または一回の単位で「2000~3000万円」というような企業もありますが、大きな金額をどーんと掲示してくるところは、ナレッジが吸収できなくなる可能性があるので危険です。丸投げしてしまえば、結局自社の社員は何も学ぶことができず、コストをかけた意味がありません。

項目ごとに小分けにして「これはこのくらいの予算」ということを理解しながら、最適なプレイヤーに発注し、それを自分たちなりに組み立てていくことが新規事業部員のやるべきことなんです。そうすることで何をしているのかを学ぶことができます。

いろんな発注先をまとめあげるオーケストラの指揮者になることが、自分たちの役割と考えて、予算立てはしっかりと行ってください。

また、どんなに高くても1つの項目にかけるコストは1500万円くらいとし、それを超える場合は分割して発注したり、3ヵ月ごとに発注を見直したりすることをオススメします。

以上のように、リーンスタートアップの考え方で予算を組んでいくことが大切です。

失敗しない新規事業部の立ち上げ方⑥新規事業を進める際の役員説明のポイント

 

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宮井 弘之
Written by
宮井 弘之(Miyai Hiroyuki)
SEEDATA代表