新規事業を成功させる起業家脳の作り方①許容可能な損失の原則

SEEDATAではこれまでも、新規事業を進めている企業からご相談を受けて参りましたが、近年さらに、新規事業、新価値を創造したいという企業が増え、その際の新規事業部の進め方や制度の設計方法について質問され、コンサルティングする機会が増えてきました。

当連載では、連続して成功している起業家たち(シリアルアントレプレナー)はどのようなものの考え方をしているのか、多くの起業家を見てきたSEEDATA代表の宮井氏が見つけた彼らの共通点から、イントラプレナーや起業家に必要な、起業家脳の作り方についてお届けしていきます。

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成功している起業家は新規事業で「いくらまで売り上げるか」ではなく「いくらまで損ができるか」を考えている

2回以上起業して成功している人たちのことを、シリアルアントレプレナーと言います。シリアルに(連続して)起業しているということですね。

アメリカではエフェクチュアルアントレプレナーシップというこのシリアルアントレプレナーの研究が進んでいて、以前『エフェクチュエーション』という起業家を研究した本の翻訳をサポートしました。そこで、日本人でも連続起業している人は同じような考え方をしているのかをインタビューしてまとめたのが、私が執筆した『2回以上起業して成功している人たちのセオリー』という本になります。この本の中から、起業家の特徴についてご紹介していきます。

まず、起業家の特徴として、みなさん行動力と度胸があるようにみえていると思いますが、実は”起業家はとても臆病“という共通点があったんです。

一見実行力があるように見える裏では、「自分はどこまで損ができるか」を常に考えるリスク思考の持ち主なんです。

一般的に、新規事業を考える際は「どれくらい売り上げるか」を考えてしまうものですが、

本当に生き残る起業家たちは、「自分はどれくらい損ができるか」を考えています。起業では、当然失敗することも多いので、致命傷を負わないレベルで撤退することが、新規事業を進めるうえではすごく重要になります。

「エフェクチェーション」には、「許容可能な損失の原則」というものが紹介されており、私がインタビューした日本人の連続起業家にも同じ考え方を発見することができました。

彼らは、いくら売り上げがでるかという話はほとんどせず、「今回はいくら失敗しても3000万だから、そのリスクがとれるならやってしまおう」というような考え方なんです。

むしろ臆病だから、失敗したらこれくらいだろうというところまで考えて、これくらいだったら致命傷は負わないからと考えて踏み出すというわけです。

一般的には、いくら売り上げるかばかりを考えてしまいますが、いくらまでの損失なら許容かを新規事業の計画に入れることができるか、ここまで損をしたら撤退という損切りのラインを決められることが、新規事業を考えるうえでは大事です。

これは起業家の話なので、イントラプレナーには関係ないと思うかもしれませんが、イントラプレナーもアントレプレナーも、不確実なものにチャレンジすることと、その状況にさらされるということは同じです。

不確実な状況にチャレンジするときには「許容可能な損失の原則」に則り、いったいどこまで損失を許容するのかを決めておく必要があり、それを役員の方にも伝えておく必要があります。正確には「これくらいまでは損をする可能性もありますが、うまくいけばここまで売り上げる可能性があります」と伝えるべきでしょう。

許容可能な損失を事前に共有しておくことで、突然上層部から「ダメだったからやめよう」といわれることはなくなるでしょう。

新規事業の損失許容額は1500~3000万円くらいに設定する

では、ひとつの新規事業を進める際に、許容可能な損失はいくらに設定すべきなのかという点ですが、基本的に大手企業で1年程度は本格的に事業としてチャレンジしようと考えるのであれば、損失可能額は1500~3000万円くらいの間に設定しておくことをオススメします。

それより少額だと、企業としてはこじんまりしすぎてしまうし、逆にそれより大きいと、まだ作らなくていいものを作っていたり、人員が多すぎたり、なにかがムダになっている可能性があります。

もちろん、目指したい規模により異なる場合もありますが、3000万円より大きく設定する場合は、いったん本当に必要かを考えて損失許容額を決めましょう。

これは新規事業を進める際に限らず、新商品・新サービス開発の場合も同じです。

たとえビジネスモデルが固まっていても、これまで市場で受け入れられたことがない商品を出すのであれば、「いくら売り上げよう」と考えるより、「この商品を世の中に出すことによって得られるインパクトと天秤にかけた場合、いくらくらいまで損できるのか、どのくらいの期間まで待てるのか」をしっかり議論したほうが、新商品、新サービス開発の場合もうまくいきます。

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宮井 弘之
Written by
宮井 弘之(Miyai Hiroyuki)
SEEDATA 代表