新規事業を成功させる起業家脳の作り方②「自分は運がいい」と信じていること

SEEDATAではこれまでも、新規事業を進めている企業からご相談を受けて参りましたが、近年さらに、新規事業、新価値を創造したいという企業が増え、その際の新規事業部の進め方や制度の設計方法について質問され、コンサルティングする機会が増えてきました。

当連載では、連続して成功している起業家たち(シリアルアントレプレナー)はどのようなものの考え方をしているのか、多くの起業家を見てきたSEEDATA代表の宮井氏が見つけた彼らの共通点から、イントラプレナーや起業家に必要な、起業家脳の作り方についてお届けしていきます。

【過去の連載】

失敗しない新規事業部の立ち上げのポイントについてはコチラ

新規事業における「運」とは「タイミングを掴むための努力の結果

連続して成功している起業家に共通することのひとつとして重要なのが、「自分は運がいいと信じている」ということ。

起業家の方たちにインタビューを続けている中で、こちらが聞いていなくても「自分は運がいいんですよ」と切り出す人が多かったんです。そのため、途中からは「あなたはご自身を運がいいと思いますか?」と聞くようにしたところ、なんと21人中14人が言いよどむことなく「運がいい」と即答しました。残り7人については自ら「自分は運がいいんです」と切り出してきました。

当ブログ読者のみなさんが周りを見まわしてみても、そんな風に応えられる人ばかりではないはずですよね。これは新規事業にも活用できる起業家のものの考え方の特徴だなと気が付きました。

宮井氏がシリアルアントレプレナーにインタビューしてまとめた著書『2回以上起業して成功している人たちのセオリー



この「運」という言葉は一見非科学的ですが、運というのは「タイミングを掴むための努力の結果」という風に私なりに分析しています。

というのも、成功している起業家たちはみな、すごくタイミングを重視しているんです。

同じことをやる、言う、撤退するにしても、すべてどのタイミングでやるかで結果は変わってきます。つまり、どんなに正しいことを考えていても、タイミング次第でいいことになったり、悪いことになるということを肌感覚で知っているんです。

彼らはみな、自分たちにとって最適なタイミングに乗れるようにしっかり準備していたり、今はタイミングとしてよいかどうかを分析していたりします。

努力すべきことを努力して準備しているので、一般の人が考える「運がいい」とは若干ニュアンスが違ってきます。

このことから分かるのは、イントラプレナー(社内起業家)だとしても、普段の仕事の何倍もタイミングを重要視したほうがいいということ。

たとえばニュースを配信する事業を立ち上げたいという時、少し前だとスマートニュース産業が盛り上がってたタイミングに打ち出していけば、仲間も資金も集めやすいし、社内の協力も得やすかったでしょう。それを今やろうとしても、別のことのほうに注目が集まっているし、タイミングとしても遅いと思われてしまうでしょう。

つまり、同じ優れた内容だとしても、時流に乗せていけるかどうかが大きなポイントになり、そのためにも未来の市場や未来の生活者を常に見据える必要があります。日頃からその準備しておくことで、タイミングを逃さず打ち出すことができる、その努力をほとんどの起業家たちはしているんです。

部署として新規事業を立ち上げる時にもこの考え方は重要になってきます。もちろん、時流に乗せるというのは今顕在化しているものではなく、これから来そうなときにやることが大事なので、2年後3年後の未来を意識しなければいけません。

成功する起業家たちはピンチをポジティブに受け入れ、クリエイティビティを発揮する

起業家の方たちがみな「自分は運がいいと思っている」と聞いた時、もうひとつ思い浮かんだのは、ハピネスアドバンテージの法則です。

誤解をおそれずに単純化していうと、「成功した人が幸せになれるのではなく、最初から幸せなマインドの人が成功する」という逆の因果もあるのではないかということです。

幸せの定義というのは人間関係、健康、資産などから定義されたもので、最初から「自分は幸せだ」と思っている人が成功しているという仮説で、それにすごく近いなと感じました。

では、起業家にとってのハピネスアドバンテージとはなにかを、インタビュー中の会話の中から、私なりに分析してみました。

彼らは、一見普通の人からみたらトラブルとしか思えないようなつらいことが起こった時、「そのトラブルにこそチャンスがある」と考える、発想のフレームワークを持っていたんです。

危機であると思えば危機でしかありませんが、「自分は運がいいんだからこの中にチャンスがある」と思えたり、「これは意味があることなんだ」と目の前のトラブルに対峙したりすることで、結果、ピンチを起死回生のチャンスに繋げているのではないかと感じました。

たとえば、社員が一気に5人辞めてしまった場合、普通ならその場をどうやり過ごすか、また被害を最小限に食い止めるくらいにしか考えられませんが、新規事業に成功する起業家脳の人であれば「人件費が浮いた分新しい事業にチャレンジしよう」「事業を飛躍されるような新しい人材に入れ替えるチャンスかもしれない」と、自分自身や会社を一段上げるために起こったことなのではと考えます。

このように自分なりにポジティブに転換することで、実際に前向きなアクションにつなげたり、クリエイティビティを発揮することができるのではないでしょうか。

これが私の考える「成功している起業家は自分は運がいいと信じている人が多い、そう思ったほうがうまくいきやすい」理由です。

これはある種の創造性を発揮するためのマインドセットでもあり、自分は運がいいと信じている人は、クリエイティブに目の前のトラブルにチャレンジしていると思います。

たとえば、私が以前、トライブリサーチを始めた頃、既存のビジネスをやっている社内の人間から「マーケティングリサーチなんて受注してからやるものだろ」と批判されました。その時「この意見はきっと得意先にも言われることだから、きちんと納得させられる答えを考えておこう。むしろ言ってもらえてよかった」と思うことができたんです。

これは、一般的なポジティブシンキングとは少し違い、どう違うかが実はすごく重要になってきます。

ケガしたときに例えると、「ケガをしたけど命は助かった、良かった」と現状をポジティブに受け入れているように見えるポジティブシンキングですが、狭義のポジティブシンキングは、「良くないことが起きたけど、もっと良くないことがあったかもしれない」という意味も混ざっているんです。

一方、「ケガをした、ここになにかチャンスがあるはず」「脚をケガしたから腕を鍛えることができる」と考えるのが起業家です。

災いをどうチャンスとして捉え、行動につなげられるかが、起業家にとってのハピネスアドバンテージなんです。

私の場合、「批判されたけどお取り潰しにならなくてよかった」は単なるポジティブシンキングで、これではハピネスアドバンテージではありません。

「これはクライアント向けの説明を考えるチャンスだ」と考え、ピンチをチャンスに変えるためのアクションに繋げることこそが、起業家にとってのハピネスアドバンテージといえるでしょう。

新規事業部のマネージャーになる人は、常ににこの「ハピネスアドバンテージ」の考え方を意識し、なにかトラブルがあれば「ピンチをチャンスに変えていこう」というのが正しいコーチングであり、その空気を一緒につくってくのが新規事業部のマネージャーのあるべき姿といえます。

新規事業とはそもそも未開の領域をいくわけですから、体験したことのないアクシデントはつきものです。そのアクシデントをどう捉えるか、チームとしてもこの考え方を共有することは失敗しない新規事業部として重要な成功例を生み出すでしょう。

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宮井 弘之
Written by
宮井 弘之(Miyai Hiroyuki)
SEEDATA代表