【トライブレポート紹介①】メディア系新規事業アイデアのヒント(ミックスチャネラー)

はじめに~トライブレポートとは

SEEDATAは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。

トライブレポートの詳細と読み方については、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。

トライブレポートの読み方



コンテンツ系の新規事業・新サービスに求められるのは真似を誘発するアフォーダンス

近年、インターネット上の動画コンテンツ消費には新たなイノベーションが生まれています。その中でもミックスチャンネルは、10代後半のハイティーンを中心に支持された短時間の動画共有サイトであり、ユーザー数は中高生を中心に累計ユーザー1000万人(20018年公式発表より)を超えます。

SEEDATAではミックスチャンネルを利用しているヘビーユーザーを切り口に、コンテンツ消費やハイティーンの自己表現行動の潮流を探る調査を行い、コンテンツ系の新規事業や新商品、新サービス開発への示唆を得ることができました。


ミックスチャネラーは、SEEDATAがまだ私と藤井くんの二人の頃の記念すべきトライブレポート第一号ですが、ミックスチャンネルを調べることにしたきっかけは「トライブレポートのリリースに使えて色々な会社から声をかけてもらえるようなテーマは何だろう?」と考えた時に、やはりティーンについて調べるべきだと思ったからです。

企業で仕事をしていると、目まぐるしく変化していくハイティーンの考えはどんどん分からなくなるので、まずは先にここを抑えようということになり、ティーンの中でも女子高生に流行っていたミックスチャンネルを選びました。

トライブの考え方の中で、まず重要なのが「ミックスチャネラー」というこのトライブ名で、「ミックスチャネラー」はいちばん正攻法なトライブの命名法です。ミックスチャンネルを使用している人(er)ということでミックスチャネラーですが、この名前の付け方には私の消費者行動研究への思いが含まれています。


そもそも、1980年代に博報堂は生活者発想というフィロソフィーを提唱しました。これから述べることは博報堂の公式見解ではなく私見ですが、当時マーケティングは「消費者発想」で行われていました。結局、物を買う瞬間や物を買う直前直後くらいだけしか見ていないということが問題視され始めていたように思います。それでは、本当の意味での消費者理解ができないのではないか、この消費者たちの周りにはもっと生活があると言われ始めました。つまり、消費者発想アンチテーゼから、この生活者発想が始まったのではないかと思っています。

モノ買ってない瞬間をふくめて、消費者を生活全体で観ることが、本当の意味での消費者理解になるのではないかということで提唱されたのが生活者発想というフィロソフィーであると、少なくとも私はその考えに共感し博報堂に入りたいと思いました。

最も、現在の消費者行動論もほぼ生活者発想と同じような考え方をしており、例えば米国の消費者行動系の代表的なテキストであるソロモンの『消費者行動論』でも「Consumer Behavior: Buying, Having, and Being」とサブタイトルがつけられています。

しかし、ここであえて批判的に生活者発想をみていくと、今度は「消費しているシーンから離れたことばかり見るようになってしまった」という問題意識が私の中に生まれました。つまり、何かを買うということとはあまりにも離れた部分を生活者発想はみているのではないか、Having and Beingに寄りすぎているのでは無いかと感じたのです。

そのため、私は本心では生活者発想という言葉をあまり使いたくありません。もともと私は消費者行動の研究が専門であり、あくまで知りたいのは人間の消費です。消費に関係する部分で生活をみることは賛成ですが、あまりにも消費と関係ない普通の生活の部分はもはや社会学の領域で、そこには共感できませんでした。


そこで、やはり消費という部分から離れずに生活者をみていきたかったので、トライブ名は「なにかを消費していることを端的に表したい」と思い、先進的な消費者が使っているサービスやもの、そこから生まれる消費体験をトライブの名前にしようと「ミックスチャネラー」というサービス名そのものをトライブ名に利用させてもらっています。


このミックスチャネラーで当時みたかったのは、ミックスチャンネルをこうやって使っている実態とか、ミックスチャンネルの課題などではなく、先進的な人たちが使っているこのサービスの背後にある、「何の未来を見たいのか」という点です。

具体的には「動画コンテンツはどういう価値をもたらしているのか」とか「デジタルネイティブの人たちが友だち同士で交流する背後に、新しいどんな価値観があり、何を消費しているのか」を知りたいという問題意識がありました。だから、あくまで消費者として女子高生や高校生カップルを捉えています。


女子高生というのは夏休みごとに流行るものが変わるので、ミックスチャンネル自体は2018年の時点で最先端の流行とは言えないと思いますが、「だからこのトライブレポートは使えない」というのは大きな間違いです。

ミックスチャンネルの背後にある彼らの仲間意識や動画に対しての考え方などはむしろ今も生きていて、これらの価値観や行動をきちんと切り取って、新規事業や新商品、新サービスのプランニングに活かすことがとても重要です。


トライブレポートの中からプロファイルを紹介すると、動画のコンテンツを消費する先進的な意識が現れた発言として「テレビのCM(動画)は真似するもの」というものがありました。

これは過去から綿綿と続いていて、コンテンツの受け手は作り手の目線も持っていて、たとえばテレビ視聴者が「プロデューサーはこういうことを考えているだろうな」と考えるように、一視聴者でありながら、一瞬作り手の目線を持つということは過去もありましたが、ミックスチャネラーの人たちが先進的なのは「ほぼ作り手目線」ということです。

つまり、「動画を基本的に、作り手として見ている」というのが、これからも続いていくであろうこのトライブから見出された価値観になります。

実際、ミックスチャンネルではCMの真似をした動画を作って投稿するチャンネルが大人気でした。過去にも作り手意識というものはありましたが、ミックスチャンネルという動画技術を持ったプラットフォームが現れて、且つ暗黙知的に真似しやすいCMが受けると気が付いていたプロデューサーがいたからこそ、一部の人の作り手意識がさらに大きくなり、ミックスチャネラーというトライブの中で現実として現れたといえます。


ここまでは、ミックスチャネラーというトライブ独自の話ですが、さらに重要なのは、作り手意識がメインで動画を視聴するという価値観は、たまたまミックスチャンネルなどの真似できる環境や技術があったから現れたという点です。SEEDATAの作成したトライブレポートを読む際は常に「これは決してトライブの中だけの話ではない」という目線を持つことが必要です。

要するに、当時はミックスチャンネルという技術があるからミックスチャンネル内だけで現れていますが、「そもそも映像やコンテンツというのは真似されるものであり、消費者は作り手目線でしか見ていない」という観点で商品やサービスを作れば、一般の人にも受け入れられるサービスやメディア体験を創出できる可能性があります。

例えば、おじいちゃん、おばあちゃんはミックスチャンネルにアクセスしようがないかもしれませんが、おじいちゃん、おばあちゃんの中にもきっと作り手目線と言うのがあるはずなので、「おじいちゃんやおばあちゃんにも真似できたり、作り手目線になりやすいコンテンツの新サービスを提供したりすることでヒットするかもしれない」、これが生活者変化行動仮説です。

今後も主な動画コンテンツというのは、「真似をされる」ということが大切で、真似をしやすいことと、真似しやすい技術とともに提供するということが1番重要なファクターになります。

この事実を踏まえたうえで、コンテンツを見ている人が作り手目線を持ち、真似をしたり、二次創作として作り替えたりするということが、今後の動画コンテンツのメインの消費行動になるのではないかというのが社会変化仮説です。

これらのことから、作り手意識を刺激する、または真似を誘発するコンテンツデザインというのがメディア系の新規事業、新商品・新サービスにおけるビジネスチャンスといえるでしょう。


繰り返しになりますが「ミックスチャンネルを利用している女子高生だけの話だけではなくなってくるはず」と言うのがSEEDATAの未来洞察の本質であり、これは単にミックスチャンネルの利用実態を見ていてもわかりません。

何故かと言うと、私たちはこのトライブの調査から、真似をするということの楽しさや、作り手意識を誘発するということの楽しさを動画視聴を通じて消費しているという「新しい意味」を見出しているからです。過去の記事(ロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』にみる"意味のイノベーション"とは?)であったように、この「新しい意味」こそがイノベーションの源泉となるのです。

そして、作り手意識を誘発したり、真似を楽しんだりすることを誘発するコンテンツのデザインが求められているという生活者変化があるからこそ、こういったデザインをすることでビジネスチャンスにつながる可能性があるという例が、トレイブレポートには機会領域としていくつも掲載されています。


たとえば、ミックスチャネラーから見出した「意味」は旅行消費にも応用できます。仮にオペラを見に行くという昔ながらの旅行があったとして、それが「日本で3回オペラを練習してイタリアの大聖堂でみんなでオペラを歌う」という内容になると、真似を誘発するコンテンツのデザインになっている。つまり、このミックスチャンネルの「意味」から考えられる新しい旅行商品といえます。

私たちはこの「真似を誘発するというコンテンツがビジネスチャンス」であるということを踏まえた上で、これを単なる体験型旅行と分類してしまうのではなく、この旅行商品は未来を見据えていると評価しているし、オペラ以外にもさまざまな分野で応用可能だといえます。これが未来の大きな旅行ビジネスになっていくかもしれないし、SNSでもこういった流れは強くなっている傾向があります。


ミックスチャネラーのトライブレポートはこのように先を見据えた要素を出しているので、今現在も古くならず使用することが可能なのです。

同時に、私たちがトライブレポートで何年も前に出しているこの「新しい意味」を取り入れた商品が実際に世の中に出てくることで、自分たちの未来洞察が正確であったと確認することができます。

この未来の確かめ方は何%など定量にはなっていませんが、意味を応用することでデザイン可能だということは過去のトライブレポートたちが証明しています。


応用編となりますが、このミックスチャネラーから洞察された「新しい意味」は、動画にとどまらずコンテンツを出している業界なら応用可能です。ここが新商品や新サービスを作っている人に、頭をしっかり切り替えていただきたい点で、真似をしたくなるというのは決して女子高生や動画だけの問題ではなく、広くコンテンツ作りのヒントになる洞察なのです。

このような洞察を起点に、自社のビジネスならどう展開できるかを考えるのはクライアントですが、こういった発想法は馴れも必要となります。レポートを読んだからといって、そこからすぐにビジネスができるわけではないことはご承知いただければ幸いです。

もちろんSEEDATAでは、トライブレポートで洞察された「意味」からクライアントと一緒に新規事業や新商品・新サービスに落とし込む作業までをプロジェクトとして行っていますので、ご気軽にご相談ください。SEEDATAは「意味」こそがイノベーションの源泉と考えているため、この「意味」を無数に用意しています。


以上、私たちが未来を見据えた商品開発を企画する際の実例をデモンストレーションさせていただきました。未来の価値観から洞察した「新しい意味」から落とし込んでいるからこその広がりと、確からしさの確信が違うという点が私たちのプランニングの強みといえますね。


記事ではこれ以上はご紹介できませんが、ほかにもトライブレポートにはおもしろい機会領域が数多く掲載されており、メディア系のビジネスであれば、このトライブレポートひとつで新規事業や新サービスに展開できるはずなので、ぜひSEEDATAへお問い合わせください。

お問い合わせの際は、まずは気になるトライブレポート名と「〇〇ビジネスをやっています」ということをお伝えしていただければ、我々がトライブレポートをもとにビジネスアイデアをいくつかご提案し、コンサルティングいたします。

あとは皆さんの会社がすでに持っているリソースと掛け合わせて、新規事業の場合はビジネスモデルを変える、または新商品・新サービスを生み出すなど、それぞれの課題に対応いたします。

たとえば、新商品を作りたいという会社の場合、SEEDATAが提携している会社とこのトライブが世の中に何万人いるかを調査し、その人たちにテストマーケティングしてみて伸ばしていくことも可能です。また、サービス開発の場合もプロトタイプを作ることができますし、ビジネスモデルの場合でも、ビジネスモデルに関する検証された知識を手に入れるPoB(Proof of Business)のプロセスに入ることも可能です。


SEEDATAへのお問合せはこちらから(コンタクトフォームに移動します)。


【この記事の監修者】

宮井弘之。SEEDATA代表。


【この記事の監修者】

宮井弘之。SEEDATA代表。


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