
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?
近年、さまざまな業界のありとあらゆる企業でデジタルトランスフォーメーション(DX)が推進されています。
SEEDATAでもさまざまな企業からデジタルトランスフォーメーションの支援についてお問い合わせをいただくようになりました。本記事ではデジタルトランスフォーメーションの意味から、デジタルトランスフォーメーションの課題や成功事例をSEEDATA流に分析し解説します。
SEEDATAのデジタルトランスフォーメーションのコンサルティング内容について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

目次
- 1 デジタルトランスフォーメーションとは?
- 2 デジタルトランスフォーメーション=「DX」と呼ばれるワケ
- 3 デジタルトランスフォーメーションの定義
- 4 デジタイゼーションとデジタライゼーションの違い
- 5 ビジネスにおけるデジタルトランスフォーメーションと課題
- 6 エコシステムによる価値創造の重要性
- 7 デジタルトランスフォーメーションのプロセス
- 8 何故今デジタルトランスフォーメーションが注目されているのか
- 9 デジタルトランスフォーメーションの事例
- 10 デジタルトランスフォーメーション推進を後押しするSEEDATAのDX開発
- 11 デジタルテクノロジーのカテゴリと活用における課題
- 12 デジタルトランスフォーメーション推進の取り組み事例
デジタルトランスフォーメーションとは?
デジタルトランスフォーメーション( Digital transformation; DX)とは、「全ての人々の暮らしをデジタル技術で変革していくこと」という概念で、2004年、スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が、論文「情報技術とよりよい生活について(英語名:INFORMATION TECHNOLOGY AND THE GOOD LIFE)」の中で初めて「Digital Transformation」を提唱しました。デジタルシフトと呼ばれる場合もあります。
飛躍的デジタル技術の革新により、企業はもちろん、社会全体をより良い方向に変化させていくためにも、多くの企業ではデジタルトランスフォーメーションへの取り組みが必須といえるでしょう。
(参考:「生みの親」が語るDXの善と悪ー日経ビジネス(2020.3.23)http://kairou38.livedoor.blog/archives/22688868.html)
しかし、世界中でデジタルトランスフォーメーションへの関心が高まる一方で、2020年に発表された世界デジタル競争力ランクで日本は27位と、世界に大きく遅れをとっているのも事実です。デジタル関連の研究もマーケティング、戦略、情報システムなどさまざまな分野でおこなわれていますが、包括的な知見が乏しく、大企業でどのように推進していくかべきかの正解が見つかっていないのが現状です。
デジタルトランスフォーメーション=「DX」と呼ばれるワケ
デジタルトランスフォーメーションはその略語として一般的に「DX」と呼ばれています。「Digital Transformation」なので、本来であれば「DT」のはずですが、英語で「Trans」を「X」と略すことから「DX」という略称が用いられています。
デジタルトランスフォーメーションの定義
さまざまな分野で研究されるデジタルトランスフォーメーションのそれぞれ以下のように定義されています。
マーケティング研究…企業にとってより多くの価値創造と獲得につながる新しいビジネスモデルを構築するためのDT の利用方法の変化(Verhoef et al., 2019)
情報システム研究…DTによってもたらされる企業のビジネスモデルの変化と、それに伴う製品や組織のプロセスの自動化(Hess, Matt, Benlian, & Wiesböck,2016)
実務家向け…デジタル技術とデジタルビジネスモデルを用いて組織を変化させ,業績を改善すること(Loucks,Macaulay, Noronha, & Wade, 2016)
また、これらの研究の共通点として、
・単なるデジタル化ではなく、DTを用いたビジネスモデルへの言及
・人員とテクノロジー、組織全体の包括的なデジタル化への取り組みと組織の再構築
の重要性があげられます。
デジタイゼーションとデジタライゼーションの違い
デジタルトランスフォーメーションと似ている言葉として、デジタイゼーション(Digitization)とデジタライゼーション(Digitalization)があげられます。
どちらも日本語にすると「デジタル化」という意味で用いられますが、この2つの意味は異なります。
デジタイゼーション
ある行程の一部など局所的なデジタル化
デジタライゼーション
自社だけでなく外部も含め、長期的、全域的なデジタル化
まず局所的にデジタイゼーションをおこなった結果、新たなデジタルの仕組み(デジタライゼーション)が生まれ、それによりさらに社会全体に影響を与えていくのがデジタルトランスフォーメーションなのです。
デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションをマーケティングリサーチの分野を例に考えてみましょう。
①デジタイゼーション
以前はユーザーのアンケートをとるために、紙に質問項目を印刷して手で持って行き、記入してもらったものを後日回収に行く「訪問留置法」というスタイルがとられていました。
それをGoogleフォームなどのインターネット上でおこなえるようにしたとすればデジタイゼーションになります。
②デジタライゼーション
次に、以前はアンケートで出てきた調査データから、たとえば「性年齢を横に、回答を縦にした表」を作るよう、広告代理店から調査会社に依頼していました。
その後、調査会社が調査データを簡単に分析できるソフトウエアを提供したことで、広告代理店はインターネット上でとったデータをそのまま分析することが可能になりました。
このように、デジタイゼーションが進むと、自社だけでなく、外部も含めてデジタル化が進みデジタライゼーションが起きます。
➂デジタライゼーション
では、どのような状態になれば、デジタイゼーションとデジタライゼーションの先にあるデジタルトランスフォーメーションといえるのでしょうか。
デジタルトランスフォーメーションには、「単なるデジタル化ではなく、人間がしていたことをデジタルに置き換える以上の効果効能がある」という含意があります。
たとえば、これまではアンケート結果をどのように分類するかを自分で考えていたましたが、「性別で分けましょう」「年齢で分けましょう」と分析の切り口をコンピューターが提案してくる状態がデジタルトランスフォーメーションです。
人間が意思決定していたことまでをコンピューターが提案してくれるようになり、人間がその他のより付加価値の高い業務にリソースを割くようになっている状態が、デジタルトランスフォーメーションのイメージです。
このように、単なる自動化・デジタル化ではなく、自立的に機械や計算機のほうから提案してくれる状態になることで人間はまた別のことに頭を使うことができる、これがデジタルトランスフォーメーションの本質といえるでしょう。
ビジネスにおけるデジタルトランスフォーメーションと課題
次に、ビジネスにおけるデジタルトランスフォーメーションは実際にどのように考えていくべきでしょうか。
経済産業省は2018年に「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)」を発表しました。この中で、ビジネスにおけるデジタルトランスフォーメーションの必要性と現状について以下のように書かれています。
あらゆる産業において、新たなデジタル技術を利用してこれまでにないビジネスモデルを展開する新規参入者が登場し、ゲームチェンジが起きつつある。こうした中で、各企業は、競争力維持・強化のために、デジタルトランスフォーメーション(DX:DigitalTransformation)1をスピーディーに進めていくことが求められている。このような中で、我が国企業においては、多くの経営者が DX の必要性を認識し、DX を進めるべく、デジタル部門を設置する等の取組が見られる。しかしながら、PoC(Proof ofConcept: 概念実証、新しいプロジェクト全体を作り上げる前に実施する戦略仮説・コンセプトの検証工程)を繰り返す等、ある程度の投資は行われるものの実際のビジネス変革には繋がっていないという状況が多くの企業に見られる現状と考えられる。今後、DX を実現していく上では、デジタル技術を活用してビジネスをどのように変革するかについての経営戦略や経営者による強いコミットメント、それを実行する上でのマインドセットの変革を含めた企業組織内の仕組みや体制の構築等が不可欠である。また、DX を本格的に展開していく上では、そもそも、既存の IT システムが老朽化・複雑化・ブラックボックス化する中では、データを十分に活用しきれず、新しいデジタル技術を導入したとしても、データの利活用・連携が限定的であるため、その効果も限定的となってしまうという問題が指摘されている。加えて、既存の IT システムがビジネスプロセスに密結合していることが多いため、既存の IT システムの問題を解消しようとすると、ビジネスプロセスそのものの刷新が必要となり、これに対する現場サイドの抵抗が大きいため、いかにこれを実行するかが課題となっているとの指摘もなされている。
<出典:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver. 1.0https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004-1.pdf>
つまり、ビジネスにおけるデジタルトランスフォーメーションとは「デジタル技術を駆使し、これまでのビジネスのすべてを改革していく」ことであり、
・これまでにないビジネスモデルを生み出す
・生産の工場とコスト削減
・現場の人間の働き方を改革
・これらを実現するための組織全体の再構築…
などが含まれています。
しかし、多くの企業が必要性を認識し注目してはいるものの、デジタルトランスフォーメーションが進まない、または導入したがうまくいかない現状があります。ガイドラインに書かれているように、ビジネスでデジタルトランスフォーメーションを活用していくためには、経営戦略と組織全体の再構築が必要となっていくのです。
ガイドラインの中では
「(1)DX 推進のための経営のあり方、仕組み」
「(2)DX を実現する上で基盤となる IT システムの構築」
について詳しく述べられています。
エコシステムによる価値創造の重要性
デジタルトランスフォーメーションを推進していくうえでは、相互依存性のあるエコシステムによる価値創造を考えていく必要があります。
たとえば、アメリカ小売り最大手のWalMartは、Microsoft社と戦略的パートナーシップを結びましたが、これはAmazonのライバルである二社が手を組み、Microsoftのクラウドサービスを活用し、小売りの現場で人工知能(AI)や機械学習の取り入れることが目的です。
(出典:ウォルマートとマイクロソフトが提携 アマゾンに対抗https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33086220X10C18A7TJ2000/
また、技術視点から見ても、これまでバラバラだった製品がDTによってひとつになり、機能が統合されることをデジタルコンバージェンスと呼びます。わかりやすい例として、スマートフォンは電話機能だけでなく、オーディオプレイヤー、振り込み機能、インターネット検索、買い物、電子書籍リーダーなど、さまざまな機能がひとつになり、それぞれの業界の境い目はどんどん曖昧になっています。このようなプラットフォームの登場により、プラットフォーム側と製品を提供する事業者側の価値競争は今後ますます重要となっていくでしょう。
デジタルトランスフォーメーションのプロセス
デジタルトランスフォーメーションを推進していくためには技術以上に戦略が重要ともいわれています。
(Teece,2017)は,プラットフォームのライフサイクル毎に求められるDC(Dynamic Capabilities ) の要素としてとして、
(1)誕生期における感知,ビジネスモデルの選択,資産の編成
(2)拡大期での機会捕捉とトランスフォーメーション
(3)実践期の脅威の感知とトランスフォーメーション
(4)自己更新期での感知と両利きでのアプローチ
を挙げています。
これらは全社に横断的に関わる内容であり、全社改革の進め方という視点でのプロセスということができるでしょう。
また、デジタルトランスフォーメーションのプロセスを考えるうえでは、ビジネスと技術の統合が欠かせません。しかし、まだまだ日本企業におけるデジタル導入での成功事例は少なく、成功するためにはステップごとに確実に進めることが重要です。DXを成功させるには、これらのプロセスを活用し、取り組むべき優先順位を明確にしていく必要があるといえるでしょう。
何故今デジタルトランスフォーメーションが注目されているのか
この10数年で、デジタル技術の革新によりこれまでにないサービスやビジネスモデルで成功をおさめる企業が台頭しています。たとえば、GoogleやAmazon、FacebookといったIT企業を例に考えると分かりやすいのではないでしょうか。
しかし、デジタルトランスフォーメーションを取り入れていくには企業の根幹から改革する必要があるため、大手企業や一部の先進的企業でしか進んでいないのが現実です。
しかし、経済産業省が2018年に発表した「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」には、多くの企業の前に「2025年の崖」が訪れる と語られています。
多くの経営者が、将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネス・モデルを創出・柔軟に改変するデジタル・トランスフォーメーション
(=DX)の必要性について理解しているが・・・
・ 既存システムが、事業部門ごとに構築されて、全社横断的なデータ活用ができなかったり、過剰なカスタマイズがなされているなどにより、複雑化・ブラックボックス化
・ 経営者がDXを望んでも、データ活用のために上記のような既存システムの問題を解決し、そのためには業務自体の見直しも求められる中(=経営改革そのもの)、
現場サイドの抵抗も大きく、いかにこれを実行するかが課題となっている
→ この課題を克服できない場合、DXが実現できないのみでなく、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性(2025年の崖)。
<出典:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html>
レポートでは、
①経営面
②人材面
➂技術面
の観点から、デジタルトランスフォーメーション化を推進しなかった場合、どのようなリスクが待ち受けているのかを解説し警鐘を鳴らしています。
ユーザ:
爆発的に増加するデータを活用しきれず、デジタル競争の敗者に多くの技術的負債を抱え、業務基盤そのものの維持・継承が困難にサイバーセキュリティや事故・災害によるシステムトラブルやデータ滅失・流出等のリスクの高まり
ベンダー:
技術的負債の保守・運用にリソースを割かざるを得ず、最先端のデジタル技術を担う人材を確保できずレガシーシステムサポートに伴う人月商売の受託型業務から脱却できないクラウドベースのサービス開発・提供という世界の主戦場を攻めあぐねる状態に
<出典:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html>
デジタルトランスフォーメーションの事例
コスメ業界のデジタルトランスフォーメーション事例
コスメ業界でよく見られるデジタルトランスフォーメーションの取り組みの事例が、IoTブラシや診断アプリで、顔や髪の画像データから、水分量、皮脂の状態などを分析します。
イメージとしては、これまでビューティーアドバイザーや美容師が目で見ていた部分のデータを集め、写真で判定していくものですが、実はまだあまり成功している事例はありません。
コスメ業界のデジタルトランスフォーメーション化については、SEEDATAが以前調査をおこなったコスメミキサーというトライブにヒントがあります。
https://seedata.co.jp/blog/tribe/4167/
ここで考えなければいけないのは、「消費者は本当に、自分の肌の状態やストレス状態、紫外線や気温といった外的要因に合わせた化粧品などの組み合わせを決めて欲しいのか」という点です。つまり、技術的に可能・不可能ということではなく、可能だとしてそれは消費者にとってのジョブなのかという視点が抜け落ちているのです。
何ができる・できない→こんなデータが集まる→データが集まればこんなビジネスが成立するという3段階の企画がよくありますが、そもそもユーザーがそれを欲していなければデータは集まりません。たとえ欲しいと思ってもらえても、プロセスが面倒だったり、データを預けて出てきたものが思っていたものと違えば、決して安くはないIoTデバイスに対してお金を支払いたいと思うでしょうか。顧客がジョブと感じている部分をクリテイカルに捉えなければデジタルトランスフォーメーションをする意味はないのです。
現在、IoTミラー、IoTブラシなどが出ていますが、コスメ業界のデジタルトランスフォーメーションの決定版といえるものはありません。ジョブが見いだせていません。
オンデマンド美容の体験設計をする際は、肌年齢などのチェックをすることが目的ではないということを念頭に、ぜひコスメミキサーなどのトライブレポートをヒントにご利用ください。
保険会社のデジタルトランスフォーメーション事例
一言で保険会社といっても、生命保険、損害保険、その他保険で何をデジタルトランスフォーメーションするか異なります。
デジタライゼーションという意味では、どの保険も紙で契約書を交わしたり、報告書を郵送する必要はなくなりました。
それ以外の効果効能を上げている事例として、ある保険会社では事故の損害調査をドローンで撮影しておこなっています。通常、事故が起きた際は、現地に鑑定人が赴いておこないますが、人によって若干判定が変わる、あるいは見落としがある、またはすぐに行けない、時間がかかるなどさまざまな問題があります。
ここにドローンを使用することで、撮影、撮影データの送付、画像診断を迅速におこなうことが可能になります。現地にすぐに行くべきか否かまで機械が提案してくれることで、さらにデジタルトランスフォーメーションに近い取り組みとなっていくでしょう。
また、生命保険は一度契約をすれば、事故や病気などがない限り更新まであまりやりとりは発生しませんが、消費者の気持ちとしては、自分が健康な間はなるべく保険料の追加に乗り気ではありませんし、リスクがリアルになれば多く払ってでもリスクヘッジしたいという気持ちがあります。保険商品自体は法規制の範疇で組成するものであり、なかなか差別化した商品は出せませんが、消費者が「もう少し生命保険会社に自分の情報を預けてもいいと思える体験」、または、消費者が「保険会社にデータを預けることでどんなメリットがあるかをイメージできる体験」を考えてみるとよいでしょう。
下着メーカーのデジタルトランスフォーメーション事例
下着を含むアパレルはデジタルトランスフォーメーションにとても向いた分野です。
下着に関して言えば、肌に直接つけるという点で、IoT化された衣料であれば肌の情報を直接とることが可能です。一方で、「使いまわせて腕につけられるウェアラブルデバイスの方がよいのではないか」という意見もあります。
また、女性も男性もデリケートゾーンの悩みは多いため、実現すればかなり貴重な情報がとれますが、肌の情報がとれることから短絡的に下着やウエアをIoT化しても、やはり「情報を預けることを消費者が本当に求めているか」という問題が発生します。
それよりも、これまで繊維のパータンは、人間がある程度勘で絞り込んだものしかありませんでしたが、デジタル上でフィットの在り方や、締め付けの状態をひたすらシュミレーションして商品開発に活かすという方向性が考えられます。
このような取り組みは創薬の分野ではすでにおこなわれており、ありとあらゆるタンパク質の組み合わせをデジタル上で試していくことで、決して人間では辿りつけない組み合わせにたどり着くことを実現しています。
このように、アパレルのデジタルトランスフォーメ―ションは、自社で単体でおこなうより、素材メーカーと組んでおこなったほうが可能性があります。
SEEDATAは、DXに共通する課題は「ユーザーが本当にそのデータを預けたいのか」という「ジョブが不在」である点だと考えています。ユーザーが自ら「つけたい」と思える体験がなければデータは集まらないということを意識しましょう。
その他のデジタルトランスフォーメーション事例についてはこちらの記事をご覧ください。

デジタルトランスフォーメーション推進を後押しするSEEDATAのDX開発
デジタルトランスフォーメーションの中でもSEEDATAが得意とするのは、マーケティングのDXとブランド構築のDXの支援ですが、その中でもぜひ取り組んでいただきたいのが、ブランド構築のDXに必要なDNVB(Digitally Native Vertical Brand)開発です。
DNVBについてはこれまでさまざまな記事で解説していきましたが、一言で説明するならば、ECプラットフォームではなく独自のwebサービスでブランド哲学に共感してくれる消費者と直接つながり、独自の商流で直接消費者に届け、消費者の意見を取り入れ消費者と一緒にブランドを作り上げていくという手法です。
SEEDATAのデジタルトランスフォーメーション支援ならびに、DNVB支援については、こちらの記事をご覧ください。


デジタルテクノロジーのカテゴリと活用における課題
デジタルトランスフォーメーションを実現するためには、具体的に
①AI(人口知能)
②IoT
➂5G
という3つのデジタルテクノロジーが必要になります。
それぞれのテクノロジーごとの領域と、その領域における課題を解説します。
AI(人工知能)
AI(人工知能)はデジタルトランスフォーメーションを実現するために欠かせないテクノロジーのひとつです。スマートフォンやパソコン、ゲーム機器を始め、医療や交通など生活の中のあらゆるシーンにAIは用いられ、私たちの生活を飛躍的に便利にしてきました。
当然AI技術は今後も重要ですが、一方で近年、AIブームの終焉や、AIバブル崩壊が叫ばれています。
これまでの数年は、AIとつけばどんなものでももてはやされてきましたが、今後自社でDX化を進めていくには、どのような技術なのかをしっかりと見極める必要があります。一言でAI技術といっても、
・アルゴリズムにあたる部分のデータをどう持つか
・データをどう集めるか
・データの前処理をどうするか
などさまざまです。とくに、「データをどう集めるか」でつまづいてしまう場合が散見されます。
以下、AI活用のカテゴリごとの課題について解説していきます。
コンピュータービジョン
たとえば、自動運転による走行データや、データシティでの人びとの行動データ、GPSによる移動履歴データ、顔認識技術による人の顔のデータなどは、比較的集めやすい分野です。
しかし、たとえば「ここに人が集まってる」ということが分かったとしても、「何故集まっているのか」「どんな人が集まっているのか」までは分かりません。また、運転中の居眠り防止が目的になると、運転データだけではなく異なるデータが必要です。
今後の課題として、「自社の取り組む領域は本当にこのデータだけで事足りるのか」を考える必要があります。
自然言語処理
自然言語処理に関しては、翻訳や言語モデリングなどが進んでいる分野です。今後もますます伸びていく分野なので、自然言語処理を活用してビジネスを開発したい企業はすぐに取り組みましょう。
医療
医療においては、ディープラーニングを用いてかなり高精度な画像データ収集が可能です。
ただ、PHR(Personal Health Record)と呼ばれる診断履歴や服薬履歴など個人の医療・健康情報・介護情報を管理するシステムでは、まだまだデータをどう集めるか、どう処理、活用するかは進んでおらず、長期的な課題となっています。
ゲーム
デジタルの分野の中でも非常に有望な分野で、人工知能がゲーム相手を務めたり、課金に代表されるようなゲーム上での人びとの行動も収集できます。
先日『フォートナイト』内で開催された米津玄氏のライブが話題となりましたが、(参考:
米津玄師、『フォートナイト』イベントを開催した意義とは バーチャルを介して取り戻した“失われた体験”
https://news.yahoo.co.jp/articles/3a6e4e08c61d7838a2254d43b0a3e451cabd45e3)この事例のように、これまでリアルでおこなわれてきたことをゲーム内でおこなったり、逆にゲーム内でおこなっていたことをリアルでおこなったりする取り組みは今後ますます増えていくでしょう。現在はまだ「リアルの部分のデータがない」ことが課題といえます。
スピーチ
音声認識はかなり進んでいる分野ですが、複数人の会話の音声認識はまだまだ進んでおらず、課題となっています。
オーディオ
音声の合成、分類、音楽モデリング(作曲)など、オーディオのジャンルもかなり進んでおり、引き続き伸びていくでしょう。
コンピューター行動
今後の進展として、人がコードを書かずに、あるいは少ないコードでソフトウェアを開発できるローコードというITツールがさらに開発されていくでしょう。
推論
たとえば、
・明日の注文数
・明日の配車数
・在庫数
など幅広く活用されています。
知識ベース
トピックモデルはそれほど難しい技術ではありませんが、膨大な情報を適切なトピックに分類することができるため、SEEDATAではこれまでためたユーザーインタビューのデータを分類するために活用しています。
このようにAIはさまざまな分野で活用が期待されています。
IoT
「IoT」は「Internet of Things」の略で「モノのインターネット」とも言われ、簡単にいえばインターネットと接続することで、通信や制御機能を持ったモノのことです。
IoTが普及する以前、インターネットはコンピューター同士をつなぐものでしたが、スマート家電に代表されるテレビ、スピーカー、デジカメ、冷蔵庫など、これまではインターネットにつながっていなかったものにもネットが接続されるようになりました。
IoT技術により、遠隔で操作をおこなったり、情報収集ができたり、データの送受信が可能になるなど、私たちの生活をさらに便利で快適なものへと進化させています。
以下、IoT活用のカテゴリごとの課題について解説していきます。
ヘルスケア
ヘルスケア領域全般でIoTは使われていますが、たとえば、生理周期のライフログをとれるIoTつきの月経カップ、排卵日を予測するためのウェアラブルデバイスなど、フェムテックの分野はとくに伸びています。
また、心拍数や発熱、咳、呼吸困難、疲労などの症状から新型コロナウイルスの初期症状を発見しようとする取り組みもあります。
睡眠トラッキングもかなり伸びている分野で、ヘッドバンド型、リストバンド型、時計型、指輪型、マット型などさまざまな種類があります。
遠隔診療におけるIoTでは、単なるビデオ通話による受診だけでなく、患者が身体に貼り付けることで腹部内を見ることができるツールも登場し、これまで受診が必要だった複雑な診療も可能にしています。
また、オンラインによる手術の実習や、IoTでスマート治療室と戦略デスクをつなぐ遠隔手術システムの実証実験もスタートしています。
<参考:商用5Gを用いた遠隔手術支援実験を開始>
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2008/05/news015.html
物流
物流ではIoTによりこれまで人がおこなっていた倉庫内での業務や工場の業務をロボットがになっています。また、ドローンも今後さらに活用されていくため注目です。
物流についてはこちらの記事もあわせてご覧ください。

製造業
生産ラインをIoT化するのは当然のことですが、たとえば鏡に映ったユーザーの情報をためられるスマートミラーや、食器や家庭用ビールサーバーなどをIoT化することで新たなビジネスを生み出すことができます。
消費者とよりつながりを強め、売り上げを上げるためにIoT活用していこうというのがSEEDATAの考え方です。
製造業のサービス化については、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

交通
供給者側視点では、自動運転、運行状況データ、ダイヤ情報などがあげられますが、IoT機器のひとつとして、スマートフォンやスマートウォッチなどでのスマート決済が浸透し、ますます簡単になっていくでしょう。
また、チケットの入票などもスマートデバイスを使うことで、たとえば、ライブ会場などでもぎりをする必要がなくなったり、商業施設などで簡単に入場制限をおこなうことができます。
このようにIoTはさまざまな分野で活用が期待されています。
デジタルトランスフォーメーション推進の取り組み事例
前述したとおり、SEEDATAはブランディングやマーケティングの一部をDX化する支援に取り組んでいます。
ここではデジタルトランスフォーメーションで成功をおさめているブランドのご紹介と、実際にSEEDATAが取り組んでいるDNVBの事例をご紹介します。
Pelotonの事例
Pelotonの特徴はエアロバイクというモノ(ハード)に、インストラクターが目の前で教えてくれるかのようなストリーミング配信動画(サービス)がついている点です。
しかし人気の秘密はそれだけではなく、オンライン上でほかのユーザーとつながりながらスコアを競い合うことを可能にしたことで、ひとりで自宅にいながらも、まるで他の人たちと一緒に走っているような感覚で運動することを実現した点にあります。
Pelotonは、ジムで多くの人が感じる
・マシンが混んでいる
・自分のペースでトレーニングできない
・周囲の人と交流したいができない(もしくはしたくないのに交流しなくてはいけない)
といった義憤を解決すべく、ホームジムにも関わらず、「商業ジムに通うより素晴らしいジム体験を作りたい」という哲学を実現しています。

Teslaの事例
Teslaの持つコミュニティや自動運転技術は、まるでiPhoneのようにナビゲーションや制御システムなどをアップデートしていくことで洗練されていきます。
SEEDATAではTeslaを「常にオンラインに接続し、常にアップデートされ続け、よりよい体験ができるサービスにたまたまハードウエアがついている」という考え方で整理しています。
Teslaのようにこれまでの自動車メーカーとはまったく異なる考え方で取り組むことで、Teslaの熱狂的な支持者たちは車そのものではなく、「そこに繋がっているソフトウエアサービス全体が欲しい」と考えるようになっています。
今後はPelotonやTeslaのように、自転車やバイク、眼鏡など、ソフトウエアサービスが主となるハードウエアがますます開発されていくでしょう。
SEEDATAの事例
SEEDATAの支援するDX=DNVBであるとご紹介しましたが、その事例である、カン・ハンナさんが手がける新D2Cブランドについてはこちらの記事をご覧ください。