デジタルトランスフォーメーションの7つの課題

2018年、経済産業省から「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)」を発表され、多くの企業がDX化の重要性を理解し、取り組もうとしています。

しかし、一方で多くの企業ではDX化がなかなか推進出来ない、取り組んだがうまくいかないという現状があります。そこで今回は、DXを推進していくうえでのおもな課題について解説します。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?
近年、さまざまな業界のありとあらゆる企業でデジタルトランスフォーメーション(DX)が推進されています。 SEEDATAでもさまざまな企業からデジタルトランスフォーメーションの支援についてお問い合わせをいただくようになりました。本記事で...

エンドユーザーの視点の欠如

まず、DXに共通する課題としてSEEDATAがもっとも重要視しているのはエンドユーザー側の立場です。

たとえば、ユーザーにIoTウェアラブルデバイスなどを身につけてもらい、あらゆる生態データを取得するDX事例は枚挙にいとまがありません。現代ではありとあらゆるIoTデバイスからデータを取得することが可能ですが、なんとなく嬉しいレベルではなく、「そのデータを預けることで解決されるユーザーのジョブ」は何なのかを考える必要があります。ジョブが適切でなければ、ユーザーは自ら進んでデータを差し出すことはありません。

しかし、このエンドユーザー側の視点が抜け落ちたDX事例が多いという現実があります。

今後DXを推進していきたい、またはDXがうまくいかないとお悩みの場合は、エンドユーザーにとってのジョブは何なのかを考え直す必要があるでしょう。

適切な目標設定が困難

単なるデジタル化ではなく、自社のどの部分をDX化していくべきかは会社や事業内容ごとに異なります。そのためには、明確なビジョンを持つ必要がありますが、残念ながらそのケースは少なく、それがDXの失敗要因、もしくは推進が阻まれる理由のひとつとなっています。

また、デジタルトランスフォーメーションの概念は広く、デジタイゼーション、デジタライゼーションとも混同されがちです。そのため、いざ取り組もうとしても、適切な目標が定まらないという問題があります。「DXすることでどんな変化をもたらすのか」ひいてはそれが「会社や社会にとってどのようなベネフィットを生むのか」というビジョンを経営層がしっかりと理解したうえで、改革を進めていく必要があるでしょう。

現場の人材不足

DXを推進していくためには当然、IT技術をはじめとする技術者が必要ですが、優秀な人材はどこの企業からも引く手あまたであり、人材の確保が難しい状況です。当然、技術者たちだけではなく、人材育成やチームをまとめるリーダーも必要です。

しかし、現状は深刻な人手不足から現行のビジネス維持で手一杯で、将来的なIT投資であるDXに余力を避けないのです。また、システムの老朽化とそのシステムを理解している人材の高年齢化も深刻な問題となっています。老朽化システムは、せっかく最新技術を扱える人材を採用しても、本来の能力を活かせないという負のスパイラルに陥ってしまうのです。

費用対効果を測定する指標の欠如

新規事業にもいえることですが、DXはすぐに成果が出るものばかりではありません。これを通常のビジネス同様に考え、「費用対効果が少ない」と撤退してしまう場合や、投資できないでいる企業が多いのも現状です。

DXは将来的な先行投資として取り組む必要がありますが、費用対効果を測定する指標やフレームワークの欠如により、成果が見えづらいと感じ、分かりやすいデジタル化に留まってしまいがちです。

既存システムのブラックボックス化

人材不足とともに問題となっているのがレガシーシステムのブラックボックス化です。

事業や部署ごとに異なるシステムを採用している場合もあるため、メンテナンスや維持コストも肥大しがちです。全社最適化をおこなっていく必要がありますが、大企業になればなるほど、既存システムの入れ替えは容易ではありません。

老朽化したシステムが肥大化していくことで、複雑化し、ブラックボックス化していくという負のスパイラルに突入しているため、なかなか新たな技術を導入してシステムを刷新すると決断できないのです。

プライバシーとそれに関わる法律の整備の問題

位置情報、通話記録、生態情報など、生活者はさまざまな情報を差し出す代わりにこれまで考えられなかったような便利な体験を手にすることが可能となりましたが、一方で事業者側は、個人情報の取得活用に関するDXは慎重におこなう必要があります。

適切な技術の選定ができない

DXを導入するためには、自社でシステムを開発するか、ベンダー企業を活用するかの二択です。ベンダー企業を活用する場合、多くの企業で導入されているDX Suiteなどのパッケージ化されたものを導入するのか、フルスクラッチでゼロからシステムを構築するのかでまったく異なります。前者で十分な場合にわざわざシステムを作る必要はありませんし、逆に既存のパッケージでは事足りない場合もあります。事業内容や目指すビジョンによって、適切なベンダーと技術を見極める必要があります。

 

宮井 弘之
Written by
宮井 弘之(Miyai Hiroyuki)
SEEDATA 代表