2019.10.30 | DNVB

【D2Cの事例①】D2Cの作り方にみる4つの方向性

当連載ではこれまでもDNVB(Digitally Native Vertical Brand)についてご紹介してまいりましたが、今回はDNVBではなく、D2Cという形で紹介されている国内の事例をいくつかご紹介します。DNVBとD2CとECの違いについては、こちらの記事を御覧ください。ECとD2CとDNVBの違いとは?

D2C、DNVBで受け入れられる商品の4つの方向性

以前DNVBには、

・哲学のチャネル

・サービスのチャネル

・通販のチャネル

という3つのチャネルがあると説明しましたが、そもそも、D2CやDNVBで提供する商品としては、どのような商品が求められているのでしょうか。

実際に「D2C、DNVBで販売する商品はこれまでと同じでよいのか、それとも違うのか?」という質問をいただくことがありますが、この質問への回答としては、①カスタマイズ、②パーソナライズ、③ワンイシュー(シンプル) ④キュレーションという4つの方向性で違いの出し方があります。以下、順番に見ていきましょう。

①カスタマイズ

国内で最近注目しているD2CブランドにMEDULLA(メデュラ)があります。

オンライン上で自分の髪質、なりたい髪、悩み、自分にあったテーマなど、9つの質問に答えるだけで、その人にカスタマイズされたシャンプーを届けるサービスです。

質問をもとに処方箋を作り、ラボでカスタムブレンドされたシャンプーとトリートメントが、名前入りで届きます。購入後は、マイページ上にスタイリストがつき、最適な処方に改善してくれるサービスのチャネルもあります。

容器はシンプルですが、処方自体は3万通りの中から届けてくれます。

口コミを見ると、「今まで使っていたシャンプーで頭皮に湿疹ができた」「サロンで買ったシャンプーを使用していたがある日髪質が変わった」というような変化をきっかけに、MEDULLAを使い始めていることが分かります。

商品のひとつめの特徴としては、シャンプーに限らず、美容液やサプリでも、万を超える組み合わせの中から、いくつかの簡単な質問に答えるだけで、半製品を自分だけのオリジナルにカスタマイズして届けてくれる点です。

人間が認知できない非常に多い組み合わせの中から選んでもらえるというのは、カスタマイズの商品展開の特徴といえるでしょう。

②パーソナライズ

パーソナライズのひとつの手法として、アソートメントがあります。

たとえばsnaq.me(スナックミー)は、焼き菓子の焼き加減などひとつひとつの製品のカスタマイズはできませんが、100種類以上あるお菓子の中から好みに合わせたさまざまな組み合わせ(アソートメント)をしてくれます。

完成品は誰に対しても同じですが、その組み合わせが異なるため、処方とは異なります。

仕様を変えるのではなく、既存の商品の組み合わせをその人に合わせるのがパーソナライズの定義です。

このように、人間が認知できない多くの組み合わせの中からカスタマイズ、もしくはパーソナライズされたプロダクトを届ける形は、品揃えが無限といえば無限ですし、ひとつといえばひとつともいえます。既存の流通の店頭では実現不可能なカスタマイズとパーソナライズしてくれるのが、D2CやDNVBでよくみられる商品の特徴のひとつです。

③ワンイシュー(シンプル)

SEEDATAのトライブレポートの中でアーリーウォーニングサインとしても紹介している、10YC(テンワイシー)というブランドを例にご紹介します。

10YCはパーソナライズやカスタマイズとは逆に、単品の上質Tシャツで有名なブランドです。OEMのため完璧なバーティカルではありませんが、DNVB的です。

直接工場と取引し中間マージンは省きますが、従来のダイレクトビジネスとは異なり、その分限りなく安くするという理論ではなく、余計なコストをかけない分、シンプルで上質なものを作るというビジネスモデルです。

中間マージンを省くといっても、以前のダイレクトビジネスの中抜き理論とは異なり、工場にも優しいことがポイントです。

つまり、

・より少ない品揃えで

・原価率は高いが

・そのために余計なコストはかけず

・シンプルで上質なものを作る

というのがもうひとつのD2CやDNVBの商品の在り方です。

④キュレーション

ワンイシュー系ブランドのD2C、DNVB国内事例では、毎月3枚のオススメチョコレートが届くカカオツアーというサービスを展開するMinimal(ミニマル)があげられます。

カカオツアーの特徴は、

・商品はチョコレートに特化している

・チョコレートというカテゴリの中で種類はさまざま

・毎月その時の一押しの3枚をMinimalがセレクトしてくれる

という点で、これもDNVB的です。

考え方は10YCと似ていて、オフィスなど余分なコストはなるべく省き、製品開発にお金をかけて上質なものを作ります。こうすることで通常のお菓子メーカーよりもカテゴリに特化し、無限の種類の中からカカオを目利きすることができるのです。

ユーザーの好みにカスタマイズやパーソナライズするのではなく、ブランド側がキュレーションすることで、決まった製品を大量生産するのではなく、季節や状況に合わせてサービスのようにプロダクトが変化します。

Minimalのようなキュレーション型プロダクトは、最近では日本酒のD2Cなどでも取り入れられている手法です。

以前の記事で、DNVBが登場する過程で登場してきた生産消費者について解説しましたが、Minimalは毎週ワークショップを開催して顧客と一緒に新商品開発にも取り組んでいます。これがD2Cの最新型ともいえるDWC(Direct-with-Consumer)です。

SEEDATAの定義するDNVBは、日本でおこなう場合、必ずしもバーティカルでなくてよいと考えているため、D2CよりもDWCに限りなく近い考えかたといえるでしょう。

Minimal以外にもD2C、DWCの成功例として抑えておきたいのが、「イノベーターのための上質なプロダクト」というビジョンを持つバッグブランドのobjcts.io(オブジェクツアイオー)です。

代表の沼田氏は土屋鞄出身で、アメリカでD2Cブランドを学び、まずはバックパックから販売して18年11月にブランドを設立しました。

objcts.ioはslackを使用するなどしてこだわりの強い消費者とともに製品を作っていることも特徴です。

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宮井 弘之
Written by
宮井 弘之(Miyai Hiroyuki)
SEEDATA 代表