2019.10.30 | DNVB

ACG NIGHT CAMP supported by BEAMSレポート

前回、本来オンライン上で商品を売るD2Cという仕組みから始まり、それがアメリカではWarby ParkerやCasperなどを筆頭に、オフラインでリアル店舗も広げ、DNVBとして成功するブランドが出始めているという事例をご紹介しました。【DNVBの事例⑪】リアル店舗が広がるDNVBブランドのための新たなサービス

オフラインで顧客と直接繋がるための方法として、リアル店舗以外にもイベントを活用しているブランドも登場しています。たとえばアウトドアブランドのCotopaxiは、莫大な費用をかけたアドベンチャーイベントをアメリカ全土でおこなうことで、リアル店舗を持たず、イベントでファンを作り、オンラインで自社ブランドの商品を売っています。

顧客と直接繋がるためにイベントに力を入れるという動きは日本のファッションブランドでもみられ、試着会を兼ねた全国ツアーをしている「ALLYOURS」などが話題を呼んでいます。ALLYOURSは「汗地味ができない」「白くならない黒いパンツ」など、細かい機能を捉えていることが特徴です。ファッションブランドの全国ツアーは、今まで都心のリアル店舗になかなか来れなかった地方の人も試着することができるというメリットもあります。

このように、オフラインのイベントを駆使してブランドへのエンゲージメントを高める取り組みが日本でも登場し始めていますが、今回は NIKEのアウトドアラインである「ACG(オール・コンディションズ・ギア)」が、BEAMSと共同で開催したアウトドアイベント「ACG NIGHT CAMP supported by BEAMS」の模様を、SEEDATAアナリスト佐野がレポートします!

イベントが開催されたのは、2019年9月27日から28日。長野県・軽井沢のアウトドアリゾート「ライジング・フィールド軽井沢」にておこなわれました。

ACG(オール・コンディションズ・ギア)は名前のとおり、スポーツウェアではなく、山の中や街の中など、どんな状況でも着れる服を提供していることが特徴です。

大々的な告知は行われていなかったものの、一般応募で25組50名というかなり限られた人数しか参加できないイベントに、30倍以上の800組の応募が来たということからも、期待が高まります。

このイベントの目的は直接的な収益を得ることではありません。その証拠に参加費はなんと宿泊費と交通費込で破格の5000円(!)。これまで「DNVBはブランド投資である」と解説してきましたが、まさにブランド価値を高めるためのブランド投資の一貫といえるでしょう。

実はBEAMSにとってもアウトドアイベントは今回が初の試みで、BEAMSといえばセレクトショップという印象が強い方が多いかもしれませんが、アウトドアとタウンユース、どちらにも合う服を提供しています。近年、ワークマンなど、アウトドアウェアがタウンユース化してきているという背景も、NIKE ACGとのコラボレーションが実現した要因のひとつかもしれません。

では、実際のイベントについてレポートしていきましょう。当日は昼頃にBEAMS原宿店に集合し、店舗内で商品を見ながらマイクロバスの到着を待ちます。

集合場所となったBEAMS原宿店

なんとバス3台を貸し切って軽井沢にあるキャンプ会場まで移動します。車中ではACGのプロモーションビデオが流れ、徐々に気分を高めつつ、陽が落ちかけた頃に軽井沢に到着。いよいよ「ACG NIGHT CAMP」のスタートです!

現地に到着すると、まずは既に設営済みの各自のテントへ。テント内にはタンブラーとマグカップが置かれていて、これが最初のプレゼントとして参加者に渡されました。

指示通り、そのタンブラーを持ってアスレチックに集合し、命綱をつけてアクティビティに参加します。ペアの相手以外は全員初対面のはずが、アスレチックで一緒に怖い体験をすることで一気に距離が縮まりました!

アスレチックで身体を動かし、お腹が空いたところでバーベキュータイムに突入。

衝撃的だったのはたった60名ほどのイベントにも関わらず、装飾が完全に大規模なフェス仕様だったことです。8人ほどで1テーブルに分かれているため、ここでも自然と会話が生まれて仲良くなることができました。

もちろんアルコールだけでなく、コーヒーが提供されていたり、バンダナにシルクスクリーンで印字ができるワークショップや、焼きマシュマロに「ACG」「BEAMS」と刻印してくれるブースなども。

さらに、メインイベントのひとつ、ブランドの世界観にピッタリなiriのライブではさらに会場のボルテージが上がります。イベントの収益化を考えるならばiriだけでも単純にもっと人を集めることができたはずですが、ブランドエンゲージメントを高めるだけでなく、あくまでここを発信の場所として捉え、ひとりひとりになるべく密度の濃い体験を過ごしてもらうことを目的としていたことが分かります。

盛り上がったライブのあとは、キャンプファイヤーを囲みながら語り合うナイトバータイムでチルな時間を過ごします。キャンプファイヤーという自然と周りに人が集まる仕掛けのおかげで、参加者同士が、より深くつながることに成功していたといえるでしょう。

参加者同士のみならず、運営サイドの人とも語り合い一夜を過ごしました。夜はテントの中の寝袋で就寝です。

翌日、朝食はバイキング形式でタコスなどを食べた後、ずらりと置かれたNIKEACGの靴の中から自分のサイズのものを履いてトレッキングに参加。実はこのシューズ、借りるだけだと思っていたらNIKEからのサプライズプレゼントだったのです!

トレッキング中、山の中にはACGのマーケターの方がいて、ACGの歴史や靴へのこだわりなどについて解説してくれたのですが、森の中で聞くことで押し付けがましくなく、知識として自然と聞き入ることができました。

1泊2日のイベントを終え、今まではアパレルブランドにこだわりのなかった私でしたが、「何かあればNIKEかBEAMSで購入しよう」と思うほどに、この2つのブランドに対するエンゲージメントが高まっていました。

単純に目先の利益ではなく、長くブランドを愛し続けてもらうことこそが、今回のイベントの真の目的であり、その目論見は大成功だったといえるでしょう。

Written by
佐野拓海(Sano Takumi)
SEEDATAアナリスト