2019.11.11 | DNVB

大企業×DNVBの3つのフレームワーク

以前当ブログ記事では、中小企業やスモールビジネスをおこなっていた方が事業承継の文脈でどのようにDNVBをしていくのかということを解説しました。

今回は大企業はD2CやDNVBにどのように取り組めばいいのかということについてお話します。

「今更聞けないD2C①」の記事で解説したように、D2CはB2B2CだったものをDirect-to-Consumerという形にしようというのが一般的な考え方であり、基本的には製造業の人が取り組むべき話なので、今回はまず製造業の場合について話をします。(サービス業の場合については次回の記事でご紹介します)

製造業の場合、どのような観点でD2C、DNVBを立ち上げていけばよいのか、DNVBスタートトライアングルという3つのフレームワークとしてご紹介します。

①研究所×DNVB

研究開発費を使って研究所がD2CやDNVBに挑戦するのは実は現在もっともおもしろい分野です。ただし、自社でおこなうのは難しいためぜひSEEDATAにお問合せください。

研究所発のプロジェクトの進め方として、北欧などではリビングラボという考え方がポピュラーです。

リビングラボでは、試作品を顧客に持っていくのではなく、家を丸ごと一軒借りて、そこに家具を置いて暮らしを再現します。そこに消費者が住んだり遊びにきたりすることもできるというのが大きな特徴です。

たとえばベッド開発をおこなっている場合、IOTベッドマットレスをリビングラボに置き、改良点を見つけ、改良したらまた生活の文脈に置き直すという、まさにリビングのラボという考え方です。

これは非常にD2C的な考え方です。ブランド、顧客体験、機能などをよくするために、「消費者と直接つながるラボを持つ」ということなので、私は研究所こそDNVBを研究開発として構築すべきだと考えています。

近年、製造業の研究所に対し、株主や文系の経営陣たちは「自分たちの持つ技術が何に役立つのか考えながら研究しなさい」と言いますが、これは理系の研究者たちからすると少し違和感がある言い方です。何故なら研究にはある種のセレンディピティ(偶然性)があり、そこから新たなおもしろい技術が生まれるものだからです。

ビジネスモデルや「この技術が何に使えるか」ということばかりを考えながら研究をおこなえば、「研究の幅が狭くなり、研究がうまくいかなくなるのではないか」と多くの研究者は思っています。

これに対する解決策として、研究所の方は「ビジネスモデルを考えながら技術のこともきちんとするために、研究開発としてDNVBを持ちたい」という経営陣に話しましょう。

研究所がDNVBをおこなうことのメリットは、DNVBは商品に対するこだわりではなく哲学が大事だということです。哲学とこだわりの違いに関してはこちらの記事をご確認ください。

この記事にあるようにDNVBで一番大切なのは、そこに商品がなくても、人びとの購買意欲を高める哲学があることなのです。ビジネスモデルはD2C(直販)で考え、そこでしっかり哲学を練ることで、そこに商品がなくても顧客をひきつけることが可能になり、ある種アートの部分も含めて、自分たちの自由に作ったものをそこでぶつけみることができます。

つまり、通常のニーズから技術を考えるとかなり範囲が狭まるため、まず哲学を作ってその哲学に共感した人を集めて、自由に技術や基礎研究の話やノウハウを話すだけで成立するのです。もしかすると研究成果の発表だけでも、一緒にディスカッションができるかもしれません。これがDNVBを作ることのメリットです。

DNVBを作れば、技術開発はある程度アーティスティックに自由におこないながらも、顧客の声はダイレクトに聞くことができるため、最終的には技術がどう使えるかが分かり、どのように売ればいいかまである程度分かってきます。

このように、研究所がリビングラボの発展形としてDNVBを捉えることは非常に有効なので、ご興味のある担当者の方はぜひSEEDATAにご相談ください。

これまでの「ビジネスモデルを学んで消費者ニーズを分析する」といった既存の事業部の方法では、そもそも開発する技術範囲は狭まってしまうという違いがあります。

技術も起業と同様、広くやってみなければ何が出てくるかは分かりません。

技術を広く持てる状況を作りつつ、ビジネスモデルを考え、顧客の声を聞くことにも対応できるのがDNVBなのです。

哲学は研究ポリシーにもつながってくるため、どのみち考える必要がありますが、それをきちんとビジネスモデルとつなぎながら、自由な技術開発を可能にすると研究の場としてもDNVBはオススメです。

②新規事業×DNVB

新規事業の場合も、商品のこだわりを伝える前に哲学からおこなえばよいため、さまざまな新規事業があてはまります。

前々から解説しているように、新規事業は飛び地でおこなう場合があるため、自分たちの既存事業とはまったく関係ないものになることもありますが、DNVBでおこなうということにしておけば、たとえば家具の会社が食品をおこなうことも可能です。

さらに、消費者と直接つながることで、PoC、PoBが非常にやりやすくなるため、かなり新規事業向きといえるでしょう。

③既存事業×DNVB

実は既存事業の変革としてもDNVBは極めて有効で、今後既存事業のDNVB化に取り組む製造業は増えるべきだと考えます。

たとえば、どの企業でも今は眠っている創業の精神や哲学があるはずです。商品へのこだわりはあっても哲学は薄れてしまったときに、自社の既存商品の根本的な理念や価値観を見直しながら消費者とつながれるという取り組みが可能になります。

普通にキャンペーンをするよりも、新規顧客を獲得できたり、コアファンを獲得することにつながるため、既存事業の変革としてDNVBをおこなのもオススメです。

このほかにも、無消費者層(ノンユーザー)をあえて取り込んでいく方法としてもDNVBは有効です(リンク)。

このように、DNVBはワンミッションマルチブランドだからこそ、

・無消費者層を取り込みたい場合

・今の自分たちの創業の理念を再度はっきりさせたい場合

・インナーブランディングを含めておこなっていきたい場合

など、基本的にはマルチブランドを作り、既存事業の改革というワンミッションを達成していきましょう。

たとえば、マーケティング予算が30億円あるのであれば、年間10%くらいはDNVBに振り分けることで、最終的には既存の流通網に頼らず、消費者に哲学を伝えながら直接販売し、顧客の声を聞きながら新しい商品を作り、なおかつ無消費者層を取り込みながら自分たちの創業の精神を磨けるという一石何鳥にもすることができるのです。

宮井 弘之
Written by
宮井 弘之(Miyai Hiroyuki)
SEEDATA 代表