2019.12.03 | DNVB

【12/3更新】日本のD2Cブランドまとめ

SEEDATAはこれまでも、おもに海外のD2C(Direct-to-Consumer)、DNVB(Digitally Native Vertical Brand)に関する最新情報と分析をお届けてしてまいりましたが、やはり2019年12月現在、日本ではまだDNVBと呼べるようなブランドはほとんど存在しないのが現状です。

しかし、日本にも確実にD2Cの波は訪れていて、その中で今後DNVBへなり得るブランドも登場してきています。そこで、本記事では、日本国内の最新D2CブランドとSEEDATA流の分析を解説します。

※本記事は随時更新していきます。

ECとD2CとDNVBの違いとは?
前回はDNVB(Digitally Native Vertical Brand)の簡単な紹介と、DNVBが求められている時代背景について解説しました。 最近私がDNVBについてクライアントなどに話すと、反射的に「それって昔からある通販...

COHINA

出典:https://cohina.net/

【ブランドコンセプト】

XS〜Sサイズに特化したオンラインアパレルブランド、cohina(こひな)。

COHINA=Sサイズ女性のための綺麗めカジュアルで、身長150cm前後の女性がデイリーで使えるベーシックアイテムが揃う。
ブランド発起人も、148cmと151cmであり「小柄でも、綺麗で大人な女性に見られたい」という小柄な女性の思いを叶える。

2017年11月に表参道を拠点として創業し、2018年に正式オープン。

【特徴】

①小柄な女性がもっともきれいに見えるぴったりサイズの服を作る
・これまではモデルの身長が高すぎて丈が参考にならなかったが、COHINAのモデルは150センチ前後なので想像しやすい)
・コヒナはMサイズをそのまま小さくするのではなく、小柄女子が最も綺麗に見える形を模索し実現している。
②パンプスにもスニーカーにも合わせやすいベーシックアイテム
これまでの小さめアイテムはギャルっぽい、シンプルすぎる、フリフリ、子どもっぽいものがほとんどだったがキレイ目カジュアルや大人っぽいラインナップもある
③ユーザーの声を反映
・インスタライブやTwitterなどを活用

【コメント】

昔からLLサイズの靴を置いている店やビックサイズ専門店、またはその逆の小さなサイズのお店など、外れ値のサイズに対応する店は流通の形態として存在していました。このカテゴリには義憤が多いため、ここに目をつけるのはD2CやDNVBのやり方としては非常に筋がいいといえるでしょう。

ただ、COHINAの場合はもう少し哲学や義憤がはっきりと出てきてもよいのではないでしょうか。そこをもう少し打ち出していかなければ、単なる「小さなサイズの人向けのEC」に見えてしまいます。

「何故小さなサイズは今まで捨て置かれていたのか」という不満だけでは強い共感を得にくいため、小さなサイズならではの義憤が生まれてしまう業界の構造に対しての議論が必要です。ほかのブランドでも同じことが言えてしまうのはただの不満であって、COHINAでなければ言えないことでなければ義憤とはいえません。

もっと強い哲学を義憤から考えていけば、DNVBになり得る可能性はあるでしょう。

(参照:https://cohina.net/pages/about)

over E

出典:https://overe-shop.com/

【ブランドコンセプト】

胸が大きな女性のためのアパレルブランド「overE」(オーバーイー)。
「胸をはって生きていく、運命の一枚を」

「世の中にはこれほど服があるのに私に似合う服が見つからないのはなぜだろう」
太って見える、胸が強調されすぎる、シャツのボタンが外れる…日常の瞬間に胸の大きい女性が感じていた違和感を「胸」「服」という共通点で繋がり、2016年8月にブランドという形で誕生。

【特徴】

銀座にある試着専門店はoverEのブランドカラーである白とピンクを基調とし、overEのお洋服とひろびろとした試着室がある。コンセプトは”自分だけのクローゼット”(予約制)。

胸が大きな女性の体型に合わせた服は、形が特殊なため、デザインが決まっても、考え抜いてパターンを作っても、実物ができあがると「バストトップの位置はもう少し下の方がいいのではないか」「急激なカーブによって縫い目に皺が寄ってしまう」というような課題が次々と出てくる。
縫い方を変え、cm単位でパターンを引き直し、何度もサンプルを作り直してようやくできあがるため、時間も、コストも掛かる。
しかし、ユーザーからの「こういう服が欲しかった!」「着てみて感動しました」という沢山の声に時間が掛かっても本当にいい物を、最後まで妥協せずにこだわり抜き、沢山の人に着てほしいという思いからから価格にも挑戦している。

(参照:https://overe-shop.com/?mode=f1)

【コメント】

外れ値のサイズを扱うという意味ではCOHINAと同様ですが、これは単にサイズが大きいだけではなく、「胸が大きい」ことにフォーカスして、より踏み込んでいるため、哲学が出せる可能性が高くなります。D2CやDNVBという観点では目の付け所がよいでしょう。

これまでもLサイズ、LLサイズの服はありましたが、「身長が高くて身幅も着丈も必要」と「肩幅が広い」と「胸だけが大きい」では、実はまったく悩みが異なります。しかも、これまで世間では胸が大きいことはよいこととして捉えられてきました。「胸の大きな人が抱える悩みに誰も耳を傾けてくれなかった」という社会に対する憤りを持っていて、これこそが義憤なのです。

Factelier

出典:https://factelier.com/

【ブランドコンセプト】

「職人の情熱とこだわりがつまった語れる商品を適正価格で」
メイドインジャパンの工場直結ファッションブランド。
職人の情熱と最高の技術がつまった、人に語りたくなるものを長く大切に使ってもらいたい、そんな想いと共にお客様に語れる本物をお届けしているファクトリエ。

国内600以上の工場へ直接足を運び、世界の一流ブランドから生産を依頼されるような高い技術、誇り、独自のこだわりを持っていると判断した工場のみと直接提携。
また、中間業者を介さず工場と消費者を直接結ぶことで、工場独自のこだわりを詰め込んだ高品質な商品を、”適正価格”でお客様に提供。
この仕組みにより、工場は適正な利益を確保でき、職人の技術やこだわりがつまった語れる“本物”を作っている。

①非効率なものづくりへのこだわり
ファクトリエが常に意識しているのは、ものづくりにおいては非効率な部分に投資をするということ。
効率的な大量生産ではなく、作るのに時間はかかるかもしれないが、そうすることでしか生まれない付加価値のある語れるものを作っている。
日本の高い技術力に着目し、本当に良いメイドインジャパンの製品を作らなければいけないと考え、工場に直接足を運び、30にものぼる項目をチェックし、共に歩んでいける工場のみと提携している。
提携している工場は、適正価格の仕組みで利益が出るからこそ、妥協せずに120%の技術やこだわりを詰め込んだものづくりを追求することができる。

②デザインへのこだわり
デザイン性ばかりを重視し、流行が過ぎると着られなくなるファッションではなく、来年も再来年も着られるような長く愛用されるモダンベーシックなデザインを心がけている。
また、世界を知るデザイナーと工場を結びつけるプロジェクトもあり、工場が新たな視点を得る機会の創出にも取り組んでいる。

③適正価格で提供できるワケ
商品を従来の1/2以下の価格で提供しながら、工場に適正な利益を分配できる仕組みを持っている。

工場にとっての適正価格とは
ファクトリエと提携する工場は、自らの”工場希望価格”を提示することができる。
そのため、従来の流通構造における“小売り希望価格”からコストを算出したときよりも利益を確保することができる。

ユーザーにとっての適正価格とは
ファクトリエは、中間業者を介さずに工場と直接提携して商品を作し、直接ユーザーに届けている。
そのため、中間業者によるマージンが上乗せされていない価格で商品を購入することができる。
(参照:https://factelier.com/aboutus/)

【コメント】

ファクトリエにはかなり多くの義憤が詰まっています。

「何故これまで職人の情熱をきちんと届けられなかったのか」という思いから、工場に直接足を運んでいるとう点も、業界や社会に対する義憤ですし、「それぞれの工場が持つこだわりが中間業者をはさむことで届かないのはおかしい」という思いから中間業者を介さないというのも非常によい義憤です。

ほかとは異なるファクトリエならではの「いい服」や「本物」という考え方、それは「非効率なモノ作りへのこだわり」という部分です。これまで重視されてきた効率性を否定し、あえて非効率な部分に投資して、時間がかかっても、そうすることでしか生まれないものがあるという哲学を持っています。この哲学は業界全体に対する提言にもなっていて、これがファクトリエの強みです。

かつ、この哲学を追求することで、結果、工場も適正価格で利益を出せています。つまり、哲学がビジネスにもうまく落ちて回っている、直結している状態です。

「非効率なものづくりへのこだわり」というのは言い換えると「効率的なモノ作りをしない」ということなので、「〇〇しない」というのは立派な哲学なのです。

BULK HOMME

出典:https://bulk.co.jp/

【ブランドコンセプト】

THE BASIC

「メンズスキンケアの、ベーシックであり続ける。」

【特徴】

THE BASICというコンセプトの元、 男性のライフスタイルにスキンケアという新しい価値を提供するブランド。

BULKとは英語で「容器の中身」、HOMMEはフランス語で「男性」を表す。
英語とフランス語。異なる言語からなるブランド名には、バルクの研究開発を通して世界中の男性に「ベーシックスキンケア」の答えを示し続けるという、想いと約束が込められている。

(参照:https://bulk.co.jp/shop/pages/sp_aboutus)

【コメント】

バルクオムは最近他社のD2Cのサポートもしていますが、義憤というほどのものは感じないため、DNVBではなく、D2Cです。この分野はD2Cはたくさんありますが、DNVB的なブランドはまだないため、今後哲学を磨きDNVBになっていくブランドが登場することを期待しています。

MIXX

出典:https://mixx.jp/

【ブランドコンセプト】

「わたしらしいを選ぼう」

【特徴】

mixxは、自分自身が中身を作る全く新しいシャンプー&トリートメント。
質問に答えていくだけで、19,530以上の処方から自分が求める自分だけのシャンプーをオーダーメイドすることができる。

【コメント】

MIXXはカスタマイズシャンプーですが、オーダーメイドシャンプーを作る会社が理解しなければいけないのは、消費者は「カスタマイズはしたいが、たくさんの組み合わせはしたくない」ということです。最近では、「1万通り以上の組み合わせの中から自分にあったものを選べる」というプロダクトが増えてきましたが、そこまで細かく決めたいという消費者は実はあまり存在しません。

ポイントは、「カスタマイズ」してほしいのではなく、「パーソナライズ」してほしいということです。

たとえ商品は4種類しかなくても、それが本当に自分にフィットするのか納得したうえで買いたいというのが、シャンプーにおける重要なインサイトです。

実際商品自体の中身には大きな差はありませんし、消費者はカスタマイズそのものを求めているわけではないので、今後はパーソナライズ競争になっていくでしょう。

ただし、パーソナライズ競争が消費者にとって本当にいいものなのかは個人的には疑問です。

picki

出典:https://picki.jp/

【ブランドコンセプト】

ファッションD2Cプラットフォーム。

インフルエンサーになっているクリエイターがオリジナルのアパレルブランドを立ち上げることができる新たな仕組み。

【特徴】

創業者の鈴木氏は、pickiを始める前に韓国や日本でアパレルOEM会社を経営していた。
その後「世界に挑戦できるような事業をやりたい」という思いから、約1年半の間に世界50ヶ国以上を回る。
「海外では日本のものづくりに対する評価が高かったことに加え、アメリカでD2Cモデルのブランドが勢いを増していたためこの領域なら自分でも挑戦できると考え、2017年に日本で再び会社を立ち上げた。『7割のサンプル』を作るということ。
あえて3割の余白を残すことで、ファンの人たちが一緒にものづくりに参加できる隙間を設ける。
この仕組みがうまく機能することで「実際に売る前から商品が売れるモデル」が成立する。
『日本のものづくりをエンタメ化して、誰もがクリエイターになれる世界』を実現することが目標。
YouTuberが動画を作って稼げるように、個人がファッションクリエイターとしてブランドを立ち上げ稼げるような世界を目指す。

【コメント】

pickiの事業はたとえるならば「金を掘りに行くときにシャベルを貸すようなサービス」です。こういったプレイヤーは伸びていくでしょうし、pickiのようなプラットフォームができることで、ブランド側は企画の部分にフォーカスすることができるため、今後ますますD2CやDNVBが増え、業界全体のレベルが上がっていくでしょう。

着ルダケ

出典:https://kirudake.e-shop.renown.com/

【ブランドコンセプト】

ビジネスウェアのサブスクリプション型サービス。

【特徴】

「ビジネスウェアを買うのが面倒」「日々のコーディネートに悩む」などと言ったビジネスパーソンの悩みに着目し、
ビジネスウェアの利用・衣替え・クリーニング・保管・引き取りまでを月額で提供する画期的なサービス 。
システム構築と運用サポートは『ecOrigins』、物流倉庫は『minikura+』と連携し立ち上げた。

【コメント】

着ルダケのように、アパレル専業の大手がビジネスウェアのサブスクリプション型サービスを手がけることで強みを発揮できます。ただ、一連のビジネスウエアのサブスクリプションサービスだけであればどこの会社でも同様のことはできてしまうため、「どんな顧客に、どんな哲学で使ってもらいたいのか」という部分をもっと深掘りしていく必要があるでしょう。

Ohi

出典:https://shipohi.com/

【ブランドコンセプト】

小規模なブランドにAmazonレベルのスピードを提供することでeコマースをもっと身近にする。

【特徴】

貸主と提携して、通常商業用施設またはオフィス向けに賃貸するスペースを主要都市における小型倉庫に変える。
同社は3か月という短い期間で柔軟に貸し出すことで、D2Cブランドが在庫を保管し、商品の即日または翌日配達を可能にする。
Ohiは倉庫での集荷と梱包に1099人の従業員を抱え、宅配ではPostmatesとDoordashと提携している。

本格的なプラットフォームを目指しており、荷物の量に応じて貸主に支払う予定。
現在は貸主と伝統的なリース契約をを結んでおり、同社のユーザーとなるブランドが増えるまでは借りたスペースで財務的リスクを負う。
プラットフォームへのアクセスフィーを月額固定でブランドに請求する。月々750ドル(約8万円)から。
高額プランでは、在庫とロケーションのマッチングを可能にするプレミアムインテリジェンス機能や、より広いスペースが利用できる。
集荷や梱包などの作業料金は1個あたり2.5ドル(約270円)。

【コメント】

「ラストワンマイルのソリューションをどうするのか」、これはSEEDATAの中でも最近よく議論されていることです。顧客へ届ける最後の部分をどうしていくのかは、今後日本でも重要視されていくはずなので、さらに研究の必要があるでしょうし、いずれ日本でもOhiのようなサービスは登場してくるでしょう。

 

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