2019.12.17 | DNVB

【DNVBの事例24】 世界観を売るアパレルDNVBブランド・Rili

当ブログではこれまでも海外や国内のDNVBやD2Cブランドとその哲学をご紹介してきました。今回ご紹介するのはRili(リリ)という日本のD2Cアパレルブランドです。

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RiliはほかのD2Cアパレルブランド同様、Instagramでのプロモーションに力を入れ、自社サイトで購入できる仕組みを持っていますが、特筆すべきところはそこではありません。
RiliのCEOは、新しい「〇〇っぽさ」を作りたいという思いから「Riliっぽい」という世界観を作り出し、この「Riliっぽい」世界観を何よりも大切にしているということが大きな特徴です。
ブランドで使用されているカラーは、ベージューやブラウンなどのくすみカラーがメインで、ガーリーな世界観を演出しています。

※インスタの写真

Instagramで集客のポイントとなっているのが、「#rili_tokyo 」とハッシュタグをつけて投稿したユーザーの写真の一部が、Riliの公式Instargramの写真として採用され、掲載されるという点です。ハッシュタグをつけるだけで、誰でも読者モデルになれる可能性を秘めています。

引用
「サイトやSNSで掲載させていただくお写真募集中😘📸
かわいいコーデやアイテム、注目スポットなどが撮れたら、ハッシュタグ→#rili_tokyo を付けて投稿❗」

ユーザーは、自分の投稿した「Riliっぽい」世界観が、公式に認められ掲載されることが喜びとなり、さらに投稿するようになります。

では、この世界観はどのように築き上げられたのでしょうか。
実はRiliはもともとファッションメディアの運営をしていたという一面を持っています。メディアを運営していた時代から、少しずつ「Riliっぽい」世界観を定義し、イメージに合うファッションや小物を紹介してきました。そこで、より自分たちの世界観に近いものを作るため、自社ブランドを立ち上げたという経緯があります。
現在もメディアを持ちながらショップを運営していますが、ポイントは自社ブランドがありながら、自社ブランド以外の商品も数多く紹介しているという点です。

Riliのメインターゲットは10代や20代女性で学生も含まれるため、いくら好きなブランドであっても全身のコーディネートをRiliで揃えることは金銭的にも難しいという人が一定数います。

そこで、公式Instagramでは全身Riliの服を着ることを強要せず、あえて他のファストファッションなどの服を取り入れながら「Riliっぽい」世界観を実現することを提案しています。「手持ちの服や安価な服と組み合わせてRiliっぽさを作ってもいい」と許容してくれているのです。まさに商品でなく、ブランドの世界観を提供しているという点がRiliの大きな特徴であり、RiliがDNVBたる所以なのです。
他ブランドの服を着ることを一切否定しないスタンスが、ユーザーにとっての信頼感につながり、Instagramで気軽に投稿を促すことにもつながっているといえるでしょう。実際とあるユーザーの方にインタビューをしてみたところ、一切Riliの服を着ていないのに、Riliの公式Instagramで掲載してくれたことに喜びを感じ、一気にRiliのファンになったという方がいらっしゃいました。

もうひとつ、Riliの世界観を構成するひとつが、商品のネーミングです。
あざとニット、てろてろブラウス、ぬくぬくマフラー、たぽっとカーデ(カーディガン)、チョコチップ柄スカート…など、若い女性の購買意欲を掻き立てるこれらのネーミングは、まさにファッションにおけるシズルワードといえるでしょう。
これも「Riliっぽい」世界観があるからこそ実現できる言葉選びなのです。

これまでも「DNVBは商品ではなくブランド(世界観)を売っている」とお伝えしてきましたが、世界観を売っているからこそ、他社ブランドの服も取り入れ、ファンと一緒に「Riliっぽい世界観」を目指す、これが他ブランドとRiliの圧倒的な違いといえます。

 

最後に、Riliのメインターゲットは10代や20代と書きましたが、われわれは実際にユーザーの方にインタビューを実施しました。

その中で「Riliの服は好きだけど、大学に着ていくと浮いてしまうため、休日にだけ着る」という話がありました。深く話を聞いていくと、極論Riliの服を着ることは、ハロウィンのコスプレ感覚にも近いともいいます。
なぜなら、ディープなRiliファンは、Riliの服を着ることやRiliっぽい世界観を表現することは「今しかできないこと」だと考えているからです。
また、「いいものを長く着ようという流れがある中で、Riliの服は長く着れると思いますか?」という質問に対して、「Riliの服を長く着ようとは全く考えていない。むしろ長く着れないからいい。今しか着れないものを着たい。若い時にしかできない格好をしたい。」と回答してくれました。
このような「今を楽しみたい」「今しかできないことをしたい」という消費の考え方をSEEDATAでは「刹那消費」と呼んでいます。サステイナブルやエシカルといった消費を長期スパンで捉えようという考え方がある一方で、今をもっと大切に生きたいという考え方も強まっているように感じます。

彼らは大震災や不況、GAFAの登場によって生活が大きく変わるということを経験している世代です。将来何が起こるか分からないという、不確実な世の中に対する漠然とした不安を抱えています。だからこそ、将来のために生きるよりは、今を存分に楽しんでおこうという考え方にシフトしてきているのかもしれません。

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佐野拓海
Written by
佐野拓海(Sano Takumi)
アナリスト