2019.09.07 | DNVB

【DNVBの事例⑧】DNVBとコンテンツマーケティングの関係

近年、日本でもD2C(Direct-to-Consumer)という言葉はかなり重要になってきています。アメリカではGinLane(ジンレーン)という大手ブランドコンサルがPatternという事業会社を立ち上げ「ミレニアルズのインサイトを完全に把握し、これまでのエージェンシーとしてではなく、自らでDWC(Direct-with-Consumer)という形でプロダクトを作り、ミレニアルズの生活を変えていく」と宣言し、にわかに盛り上がっているD2C業界です。

このような背景の中で、D2Cと同じく最近一部で話題となっている概念がDNVB(Digitally Native Vertical Brand)です。SEEDATAではいち早くDNVBに注目して分析し、これまでの記事でその特徴や事例についてご紹介してきました。

しかし、日本ではある種のバズワードとなり、一面的な取り上げられ方をした結果、さまざまな誤解を生んでいるという現状もあります。

私がDNVBを語るうえで重要だと考えているのは、あくまで日本企業のイノベーション・新規事業開発の文脈に合うように紹介をしていくということです。そのひとつが以前紹介した、アメリカと日本の状況の違いです。

ほかにも多い誤解として、とくにコンテンツマーケティング界隈のでは「DNVBはコンテンツの質がいいD2C」という間違った解釈をしているため、今回はDNVBとコンテンツマーケティングとの関係について、あらためて解説していきます。

DNVBとコンテンツマーケティングの違い

①何をやらないかをはっきりとさせること=哲学

以前の記事でSEEDATAではDNVBを定義する重要な要素は以下の3つであるとご紹介しました。

1.サービスのチャネルとバリューチェーンの垂直統合

2.情報のチャンネル

3.流通のチャネル

コンテンツマーケティングでは、2.情報チャネル、3.流通チャネルの文脈で語られていますが、この2つだけではDNVBの全体像を理解することはできません(参照記事:ECとD2CとDNVBの違いとは?)。

また、コンテンツというと、さまざまなストーリーや興味をひく情報を提供していくことが想起されがちですが、われわれは重要なのは「ストーリー」ではなく「哲学」であるとお伝えしています。

たとえば、コンテンツマーケティングでは、ブランドの提供する体験に共感してもらうために、さまざまなストーリーを紹介したり、こだわりといった「do」の側面を押し出しがちです。

一方、SEEDATAが考える哲学は「何をやらないか」をはっきりさせることです(参照記事:DNVBの事例②DNVBはフィルターバブルをうまく活用している

つまり、自分たちの取り組みをコンテンツとしておもしろく発信してユーザーの共感を得らるというのはこれまでのコンテンツマーケティングの考え方です。しかし、実際のDNVBユーザーを調査してみると、必ずしもそうではないことが分かります。

たとえば、アウトドアブランドのCOTOPAXI(コトパクシ)は「店舗を持たない」という哲学を持ち、その代わりQuestivalと呼ばれるビッグイベントをおこなっています。その哲学によって熱狂的なユーザーが自らInstagramなどで拡散し、広げてくれるのです。

これがDNVBの哲学を構築していく際のユーザーの重要なインサイトです。これまでの一般的なコンテンツマーケティングのように、「自分たちのこだわりや時間をかけてやっていることを発信すればよい」という考えかたとは根本的に異なります。

②デジタリーネイティブ=デジタルネティブではない

DNVBはミレニアルズ向けと考えられがちですが、SEEDATAはむしろ3、40代やシニアにも通用するブランド投資の考え方だと捉えています。

ミレニアルズ向けと考えられる要因は「デジタリーネイティブ」を「デジタルネイティブ」と勘違いしていることにあります。

デジタリーネイティブとは、ターゲットがデジタルネイティブ世代ということではありません。「哲学に触発されたオンラインの熱狂的なコミュニティをベースにしている」ということがポイントです。

DNVBはデジタル上でおきた熱狂的な人たちとともに作り上げたブランドであるということを理解せず、「ミレニアルズ向けだから自分たちには関係ない」と思ってしまうのは勿体ないことです。

③情報チャネルの選択

DNVBでは、情報拡散の際にどのチャネルを使うか(=何を使わないか)をはっきりとさせています。YouTube、Instagram、Twitterなどありとあらゆるチャネルで拡散するのは、従来のコンテンツマーケティングの考えかたです。

たとえば、Glossier(グロシエ)はInstagramしか使っていないように、まずは何を使わないか、自分たちの熱狂的なコミュニティと繋がるためのしっかりとした情報チャンネルの選択をおこなうことも、既存のコンテンツマーケティングとは異なります。

DNVBを表層的にしか理解していない人は「コンテンツマーケティングと同じ」と思いがちですが、われわれのようにユーザー調査を行っている側から見ると違いは明確です。

混同している人は、ぜひこのように違いを整理して理解しましょう。

自社のビジネスをDNVB化したい、またはDNVB開発に興味のあるご担当者さまは、お気軽にinfo@seedata.jpあてに、御社名、ご担当部署、担当者名を記載の上、件名に「DNVB開発について」と記入のうえご連絡ください。コンタクトフォームはこちら。折り返し弊社担当がご連絡差し上げます。

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宮井 弘之
Written by
宮井 弘之(Miyai Hiroyuki)
SEEDATA 代表