2020.03.11 | DNVB

【前編】snaq.meが売ってるのは「お菓子」ではなく「おやつ体験」-snaq.me代表服部氏×SEEDATA藤井・佐野鼎談-

SEEDATAではこれまで国内外のさまざまなDNVB(Digitally Native Vertical Brand)やD2Cを調査し、その内容を当ブログで発信してきました。今回は日本を代表するDNVBだとSEEDATAが考える、おやつのサブスクリプションサービスsnaq.meの代表・服部氏をお招きし、SEEDATA副社長の藤井と佐野との鼎談形式でお届けします!

SEEDATAきってのDNVBマニア佐野が、snaq.meの哲学を紐解き、snaq.meがユーザーから愛されている秘訣を探りました!

おやつ体験BOX snaq.me
おやつ体験BOX snaq.me。 素材の味を生かした安心安全、品数豊富な日本全国のマルシェおやつを、テクノロジーを駆使してパーソナライズし、サブスクリプションでお届け。ハッピーでわくわく美味しい『おやつ体験』を提供します。

snaq.meはブランドというよりWebサービス


佐野:まずSEEDATAについて少しお話させてください。私たちは先進的な生活者のニーズや課題を探り、それをデータベースを作っています。単なるニーズや課題とは異なる「義憤」を集めていくうちに、哲学のあるブランドが重要だと考えるようになりました。

われわれの考える義憤とは「何故〇〇でなければならないのか」という、これまで常識とされていたことに対する強い憤りを指します。たとえば、最近パンテーンさんが「就活の髪型はもっと自由であるべき」という広告を打ち出していました。この背景には「なぜ黒髪で就活しなければならないのか。個性を表現するためには髪色も自由でいいのではないか」という義憤があります。SEEDATAではこの義憤を使って商品開発やブランディングを行なっています。

 

服部:自社ブランドをお持ちなんですか?

 

佐野:現在はスタートアップと協働でブランドを作っています。SEEDATAは、DNVB(Digitally Native Vertical Brand)という言葉を使う前から、義憤を用いた商品開発やブランディングを行なっていました。最初は意識していなかったんですが、この義憤を用いたアプローチは、実は世の中で言われているDNVBとアプローチが似通っているのではないかと気付いたんです。

そこから海外のDNVBを100以上リサーチをして分析しました。実際に海外でDNVBを使うユーザーにSkypeでインタビューを行い、何故購入したのか、なぜそのブランドのファンになったのかなどを調べました。

私たちは「毎年同じことをやらない。毎年新しいことを始める」というミッションを掲げ、手を変え品を変えブランド作りを実践してきました。そこで現時点で最も有効なブランディング方法が、DNVBだと考えています。snaq.meは自分たちのことをDNVBだと意識されているのでしょうか?

 

服部:僕らは自分たちがDNVBやD2Cだと意識したことはあまりなくて、snaq.meはブランドというより、Webサービスだと思ってるんです。ブランドって最初にかなり作りこんで、完璧な状態でリリースしなければいけないものというイメージがあって、ベータ版があまりないんですよね。

snaq.meはWebサービスのようにまずリリースしてみて、ユーザーが望む方向にどんどんと変えていきました。僕自身の「マルシェに売っているようなお菓子が欲しい」という想いからサービス提供が始まっていて、実際に最初の頃はマルシェでお菓子を買ってきて、詰め合わせて、発送までをしていたんです。

当初は男性、女性どちらにもいけるサービスを作ろうと思っていましたが、実際のユーザーは女性のほうが圧倒的だったので、そこからデザインのパッケージも女性向けになっていったという感じです。

当初はブランドを意識するどころか、ロゴも拾いものだし写真もスマホで撮影していました。

 

佐野:THE 起業家っぽいお話ですね。

服部:それが売れたので、ユーザーの話を聞いてみると「そういうところにニーズがあるんだ!」ということが分かってきて、そこからどんどんサービスを変えていきました。

最近ようやく僕ら自身が「snaq.meブランドとはなにか」ということが分かってきて、ブランドとして定義していこうというフェーズなので、SEEDATAさんと来た道はまったく違うんですけど、結果同じところにいる感じですね。

 

佐野:なるほど!逆に僕らはブランドを作っていった結果「サービスが絶対に必要だ」と気が付いて、ブランドの哲学を体現するアクションとして、商品にサービスを付随させようとしています。

DNVBは簡単にいえばサービスとブランドの融合だと思うんです。もともと新サービス開発や新商品開発は別々に行なっていたんですが、サービスにも差別化のためにブランディングが必要だと気が付き、逆にブランドにも哲学や商品を届けるためにサービスが必要だなと気が付いたんです。服部さんのお話で、サービスとブランドの両立ということがすごく腹落ちしました。

 

服部:よくsnaq.meは「コンビニの商品とは何が違うんですか?」と聞かれますが、コンビニは「お菓子」を売っているのに対し、僕らは「おやつという体験」を売っていると答えています。

お菓子はあくまでモノで、おやつは時間の概念と考えていただけると分かりやすいのではないでしょうか。「自分たちはモノではなく体験を売っているんだ」ということがサービスを提供する中で分かってきたので、あらためてブランドステートメントとして「snaq.meはおやつ体験を売っているブランド」だと発表する予定です。

なので、まさにサービス×ブランドを目指していて、最終的なところはSEEDATAさんと近いですね。そこに至るまでも含めて、ユーザーさんにチューニングも一緒にやってもらった感があるんですよね。

 

佐野:snaq.meはユーザーと一緒に改善を繰り返してきた結果、ここにきて晴れてブランドになるということなんですね。面白い!

 

服部:3月の第1週目にリリースを出す予定です。4周年でやっとブランドが見えてきたということで、リブランディングではなくあえてリファインといっています。今まで何となく思っていたものを言語化して、もう一度定義付けようかと。

最近DNVBやD2Cがたくさん出てきていますが、サービス作りからやるよりも、ブランド作りからやるパータンが多くて、僕らからするとローンチしたばかりなのに、めちゃくちゃクリエイティブにお金をかけてすごいなと笑。snaq.meはHPも最近まで僕がWordpressで作っていましたし。

 

佐野:そうですよね。僕もブランドこそ、サービスのようにスモールスタートが重要だと思っています。SEEDATAではアジャイル型ブランド開発と呼んでいて、サービスの考え方をブランドに取り入れていこうとしています。

 

服部:いわゆる大手メーカーのブランドのようにしっかりと作りこむパターンと、Webサービスのようにリーンに素早く作るパターンの間の子として、DNVBのようなものが誕生したんですよね。

ブランドのリーンスタートアップのような現象が起きているなと思います。

 

佐野:私たちは、ブランドは生活者の義憤を捉えた、共感される哲学を持つことが最も重要だと思っていて、ポイントは生活者から共感されるということです。今はユーザー、特に初期ファンと一緒に、ブランドの哲学を磨いていく方法を実践しています。実はブランドの哲学をアジャイル型でどんどん変えながら作っていく方法はこれまで意外となかったんですよね。ブランドの哲学って今までは絶対に変えてはいけないものと思われていましたが、それを生活者ファーストで柔軟に変えていこうとしています。

 

服部:ブランドの作りこみをどうするかが難しいんですよね。

 

藤井:DNVBはブランド哲学への共感性をいかに作っていくか、それも内生的ではなく、時代に合わせ生活者の考えを吸収していくというプロセスが今までのブランディングとは異なると思っています。

 

佐野:DNVBには「時代に合わせて変えていこう」という柔軟性を感じますよね。snaq.meは最初はどのような哲学からスタートされたんでしょうか?

 

服部:最初はマルシェに売っているようなお菓子をつめて送っていて、いわゆる健康志向の方々向けに、無添加とか、ギルティーフリーを謳っていました。まず出してみて、買ってくれるユーザーの中でも温度が高い人を見つけ、その声を拾い上げて、サービスを徹底的に磨いていったんです。そこで分かったことは、購入している人はむしろ、無添加やギルトフリーよりも、日々の自分へのご褒美として買っているということでした。

さらに「サービスの中でいつが一番楽しい瞬間ですか?」と質問したところ、食べている時よりも開封の瞬間だという声がありました。ユーザーは届いたおやつを開ける瞬間が、生活における楽しみやご褒美になっているということが見えてきたので、今はそこに寄せています。

 

佐野:ユーザーの声から「ギルティーフリーがメインではないのかもしれない」と気が付いたんですね。ご褒美という価値を発見されたタイミングはいつ頃だったのでしょうか?

 

服部:2、3か月に一度、僕自身が電話でNPSやリピート率の高いユーザーにインタビューを行い、ひたすらなぜ使ってくださるのかを聞いています。

 

藤井:CEOが直接聞くことを大事にしていますか?

 

服部:やはり、ブランドを作っているブランドオーナー、らしさや人格を作っていく人が知っておかなければならないと思っています。電話インタビューではCEOだということはもちろん隠していますよ(笑)。

ユーザーの声も段々と変化してきていて、最初のほうは無添加ショップで売られているようなモノを好む人が多かったのですが、最近ではデパ地下やカフェが好きな人が、それらの代わりに食べる行為に近いということが分かってきました。

snaq.meは何の代わりに買ってくれているのか、満足度の高いユーザーの方から声をたくさん聞いて、その方たち向けに作ってきた結果、ユーザーの種類も少しずつ変わってきたという感じです。

現在のユーザーに多い属性は、普通に甘いものやお菓子が好きで、仕事や子育てなどを頑張っている女性ですね。

 

佐野:第一目的はヘルシーではなくなってきているんですね。

 

服部:ワクワク感のほうが強いですね。だからこそ毎月冊子を作ったり、毎月BOXのデザインを変えたりして、ワクワク感を作っています。BOXのデザインを変えるとポストを開けるときと、BOXを開けたときとで、2回の開封体験を楽しめます。

ブランドとして大切なものが「おやつ体験」や「ご褒美体験」ということが決まると、プロダクトやサービスの機能にも落とし込みやすくなります。ブランドとサービスを交互に積み上げて作っているようなイメージですね。

 

佐野:世の中には数多(あまた)のサービスがありますが、ブランド哲学が存在していなかったり、逆にブランドはあるけれどサービスが提供できていなかったりと、ちぐはぐな状況だと思っています。例えば最近だと決済サービスが乱立して溢れていますが、決済サービスのブランドは存在しないと思っています。ブランドがないと、ポイント還元率などの勝負になってしまい、レッドオーシャンになってしまうので、サービスにももう少しブランドの考え方を取り入れたいなと思うんですよね。

(中編に続きます)

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