2020.03.13 | DNVB

偏愛コミュニティのすすめ~愛されるDNVBには考察したくなる意味深さがある~

当ブログで何度もご紹介してきた通り、DNVB(Digitally Native Vertical Brand)の大きな特徴のひとつがファンコミュニティです。

今回はこの愛されるファンコミュニティに必要な要素のひとつである、考察したくなる意味深さについて解説します。

考察しがいのあるコンテンツはコストパフォーマンスがよい

これまでアーティストやコンテンツにファンコミュニティがつくことはあっても、いち消費財ブランドにファンコミュニティがつくことはあまり多くはありませんでした。しかしDNVBはいち消費財ブランドごとに、ファンコミュニティが生まれます。

このようなファンコミュニティが複数存在しているのがDNVBのおもしろさであり、デジタル上でコミュニティの人々がつながっていることも大きなポイントといえるでしょう。

 

既存のファンコミュニティは、アーティストや漫画、映画などのコンテンツに紐づいて生まれています。単純にその人物やコンテンツが好きで集まっているものもあれば、コミックや映画などの発言を「どんな思いで作者が作ったのか」を分析して楽しむ人たちも存在します。今の世の中では、とくに後者のような考察コミュニティが求められていると感じています。

事実、ヒットしている映画などは、鑑賞後に必ず「あのキャラクターの発言や行動の解釈はこうなのではないか」と、同じ作品を見た人と考察し合ったり、議論することが、YouTubeやtwitter内で行われています。

考察はあくまで考察であり、正解は製作者しか知り得ません。つまり、答えはないのです。しかし答えがないからこそ、ずっと議論し続けることができ、話題が尽きないということがポイントになっています。

今の時代において、コンテンツのコストパフォーマンスとは、「話題が尽きないかどうか」で計ることができるといえるのではないでしょうか。たとえ、感動できる映画をみても「よかったね」の一言で終わってしまい、話題が広がらなければ、コストパフォーマンスがよい映画とはいえなくなっているのではないでしょうか。

2時間の映画を見て、その後10時間分考察や議論をして盛り上がることができれば、12時間分楽しんだと感じることができます。このようなコストパフォーマンスのよいコンテンツが今求められていると思います。

なぜなら、余暇のコンテンツが多様化した現代では、人と同じ映画や作品を見るということが減少し、共通の話題が少なくなっているからです。

「一緒の映画を見る」ことは数少ない共通体験であり、それを存分に語り合いたいという価値観がより色濃く現れているのではないでしょうか。

 

考察することで見知らぬ人とつながったり、考察動画をYouTubeなどにアップする人も登場していますが、他人の考察を知ったり語り合ったりすることで、1つの作品を複数の視点で見ることができ、作品への理解に厚みができ、愛着が生まれるという好循環に突入します。

映画やドラマの複数回視聴が増えてきていることはまさにその分かりやすい例であり、分析後にそのシーンを改めて見たいという人が増加しているのです。

 

ここまでが昨今ヒットしているコンテンツの分析です。

われわれはこの、考察しがいのあるコンテンツ力がブランドにも求められているのではないか?という仮説を持ちました。

実際海外でヒットしているブランドには、ブランドの行動や発言に意味や意図があり、ユーザー同士がそれを考察し合うという構図があります。

たとえばGlossier(グロシエ)は単純な商品画像ではなく、商品を持つ人間の手の写真を使っています。

(出典:https://www.glossier.com)

この理由を彼ら自身は明文化していませんが、人肌を感じてブランドとして親しみやすさを表現しているのではないか、肌の色の違いから多様性を表明しているのではないか、などとユーザー間では考察されています。

こういった細かいディテールの考察をユーザー同士でし合うことで、ブランドへの愛着が高まり、ファンコミュニティ化していくのです。

 

今後DNVBを作っていくうえで、ブランドの哲学に合わせて、ブランドの行動や発言に意味を持たせていくことが重要ですが、そのためにはユーザーが気が付かないくらいの意味深さを出し、なるべく多くは語らないことがポイントであり、それが考察しがいにつながります。実際、親近感とミステリアスさのバランスをうまく保っているブランドがシェアを伸ばし、ヒットしています。

ユーザー間で自然発生的にファンコミュニティが誕生していくことが理想ですが、ブランド側でコミュニティを作る場合は、熱量が近い(もしくは同じ)人同士をつなげる、コミュニティマネージャーが求められています。

 

佐野拓海
Written by
佐野拓海(Sano Takumi)
アナリスト