2020.07.20 | D2C

デジタル時代のブランディングとしてのD2C・DNVB

当ブログでは、これまでD2CやDNVBの事例や大企業での活用法について詳しく解説してきましたが、今回はブランディングの観点からD2CやDNVBをどうとらえるべきかについて解説します。

DNVB支援
最近、さまざまな会社が「D2C支援ができます」と謳い始めていますが、SEEDATAでは昨年からD2C、ならびにDNVB(Digitally Native Vertical Brand)支援に取り組み、当ブログでさまざまな記事を発信してきまし...

まず、ブランディングという概念の成り立ちについて少しおさらいしておきます。

私はSEEDATAを創業する以前、20代後半の2005年頃からブランド構築に関わってきましたが、以前は、基本的に大量生産をして、機能的な差別化や情緒的な訴求などをおこない、自分たちでわざわざ売り込みをしなくても売れる仕組みを作ること=マーケティングが求められていました。それが、1990年代年に「ブランド・ビルディングの時代―事例に学ぶブランド構築の知恵」が出版され、マーケティングより上の階層の話として、企業や企業の商品の持つイメージを管理していこうというムーブメントが起きたのです。

 

戦略的に管理するとは、たとえば「SEEDATA」と聞いて人びとが思い浮かべること、これらはすべて、ブランドイメージであり、ブランドといえます。

さらに、自社にとって、他社とくらべて好ましく、ユニークで、強く連想されるもの、この3つを生み出すイメージを戦略的に作っていくことがブランドには求められました。これが、「商品が売れ続ける仕組みを作れればそのアプローチは何でも良い」というマーケティングとブランディングの大きく異なる焦点です。

 

商品ブランディングは商品のブランドを管理していくためのものであるのに対し、「コーポレートブランディング」は1990年頃にアメリカからスタートしました。コーポレートブランディングは企業のイメージを戦略的に作っていくことであり、商品ブランディングとはまったく意味が異なるため峻別して考える必要があります。

コーポレートブランディングには、ブランドが目指す姿を社員全員が理解し、自分の言葉で語れる状態を目指す、インターナルブランディングと呼ばれる活動が必要で、この流れは2010年頃まで各社が取り組んできました。

 

一方、ブランディングの登場と同時期に、楽天、Amazon、Googleの登場と、インターネットの発達により、消費者がリアルな場ではなくオンライン上で商品を購入する流れが徐々に普及していきました。

2010年代からはO2O(Online to Offline)やオムニチャネルと呼ばれる仕組みが台頭し、リアルでの購入や情報を得ることとデジタルでのそれに区別がなくなり、2020年の今日では、完全に融合した状態といえます。

ところが、消費者の情報収集方法や購入方法はこれだけ変化したにも関わらず、ブランディングは1990年代に考えられた方法が踏襲され続け、デジタルに対応したブランディング方法が体系的に語られることはありませんでした。

 

これまでのブランディングでは、まず、「自分たちがこうありたい」という姿=ブランドアイデンティティを設計し、自社メディアではなく、新聞やイベントといったブランドコミュニケーションをとるタッチポイントを設計し、自社のブランドイメージを、強く、好ましく、ユニークな形で伝わるように工夫してきました。

ブランドアイデンティティを考え、生活価値(その人の生活にとってブランドがどんな意味があるか)、社会価値(社会に対してのブランドの存在意義)、情緒的価値(どんな気持ちになるか)、機能的価値(どんな機能があるか)などを言葉にしていき、さらにブランドパーソナリティ(ブランドを人にたとえた際にどのような印象を持たれるか)という世界観を構築していくことがブランド設計の基本でした。

 

一方、自ら情報のチャネル、販売のチャネルを持つことで、自社のブランドイメージに共感した人たちに直接購入してもらえるのがD2Cの特徴であり、D2Cこそがデジタル時代に対応したブランディングの形であるとSEEDATAは考えています。

これまでさまざまな企業の新規事業開発、商品開発、ブランディングを支援してきましたが、「ブランディングを重視したい場合はD2Cに移行すべき」であるといえます。

 

さらに、SEEDATAが「D2CではなくDNVBをおこなうべきである」とを何度もお伝えしているのは、D2Cと謳っていても、単品通販や「売れればいい」というマーケティングの要素が強くなっている場合があるからです。

かつてマーケティングからブランディングという概念が生まれたように、D2CからDNVBが生まれたと考えると分かりやすいのではないでしょうか。

DNVBは中長期的に、強く、好ましく、ユニークなイメージ(ブランドアイデンティティ)をファンに持ってもらえる形でコミュニケーションをおこない、さらに、ファンと直接繋がり、直接販売し、一緒にブランドを育てていくことを目指しています。

つまり、D2Cを検討している企業の方で、「マーケティング的な考え方だけでなく、ブランディング的な考え方をしたい場合」はDNVBを取り入れるべきなのです。

 

このように、これからのデジタル時代に対応したブランディングとして、もっとも洗練された形で表現されているのがDNVBであるといえるでしょう。

ブランディングの歴史から考えて、D2CやDNVBが何故「ブランド」と呼ばれているのか、D2CやDNVBは単に「直接届ける」という意味ではなく、「ブランドの考え方やブランド戦略をデジタル上で実現できる」ということを理解することが重要です。

 

では、実際に大手企業がD2C構築していく場合、どのようにパートナーを見極めるべきでしょうか。

現在D2C支援を謳うデザインファームやコンサルティング会社はたくさんありますが、まずはどのような形で支援をしてくれるのかをしっかり確認しましょう。

昔からブランディングをおこなってきた会社にありがちなのは、「まずブランドアイデンティティを描く」という方法で、答えを自分たちの中から見つけ出そうとして、それに対しアドバイスしかくれません。しかも、D2CやDNVBは顧客と直接つながり作っていくものであるにも関わらず、昔のブランディング同様に自分たちの中だけで自分たちの意志だけを固めたブランド設計をしてももはや無意味なのです。

ほかにも、ワークショップをおこなおうとしたり、リサーチをしっかりおこなおうとするのも昔ながらの手法を踏襲している可能性があります。これらはすべて顧客と繋がる手段が弱かった時代には必要でしたが、今は顧客と直接つながることが可能です。

そこで、顧客と直接つながり、ともにブランドを作っていく時代であることを前提としたワークデザインが必要になってきます。このワークデザインはまだ他社では確立されていないため、ブログでは公開することはできませんが、SEEDATAにお問い合わせいただければお答えできます。

 

このように、ブランドの設計方法が旧来型のままデジタルに展開しても齟齬がでてしまうため、デジタル時代に適したブランディングに対応している会社かどうかを見極める必要があります。

D2CやDNVBを構築するパートナーをお探しの場合、設計の段階からいかに顧客とつながるかをしっかり提案してくれる企業に依頼することをおすすめします。

【1/17更新】日本のD2Cブランドまとめ
SEEDATAはこれまでも、おもに海外のD2C(Direct-to-Consumer)、DNVB(Digitally Native Vertical Brand)に関する最新情報と分析をお届けてしてまいりましたが、やはり2019年12月現在...
宮井 弘之
Written by
宮井 弘之(Miyai Hiroyuki)
SEEDATA 代表