エスノグラフィーとデプスインタビューの違い

質的調査のアプローチの中で、新規商品やサービスを考える際に企業で最もよく用いられるのがデプスインタビューだと思います。ご存知の方や、実際にビジネスで活用されたことのある方もいらっしゃると思いますが、インタビュアーが対象者の深層心理を探り、ニーズやアイデアを知る調査手法で、個人で行うこともあればグループで行うこともあります。

では、同じ質的アプローチの中でも、デプスインタビューで得られるものと、エスノグラフィーで得られるものにはどのような違いがあるのでしょうか?

エスノグラフィーとデプスインタビューのメリット・デメリット

デプスインタビューとエスノグラフィーでは、得られる情報の種類がまったく違います。

SEEDATAが行っているトライブリサーチでは主にデプスインタビューを用いていますが、それは人の価値観や哲学を知ることを目的としているからです。「トライブ」と呼んでいる特殊な行動や生活を行っている彼らが、どのような哲学や思想を持ち、何故この行動をとるのか。そういった「価値観」や「哲学」を深堀りして、新たなインサイトやニーズを導くのがデプスインタビューの特徴といえます。

対して、エスノグラフィーでは、彼らの生活のどういう文脈で、どういうときに、どういう方法でその行動が行なわれているのか、という具体的な行動の細部を知ることが可能です。

価値観ではなく、行動から、実際の生活の文脈でどう行われているのかが見えるのがエスノグラフィーのメリットです。

たとえばSEEDATAが行ったリサーチの中で、「完全栄養食品をどういう理由で使用しているか」を調査した際、「お腹いっぱいにならずに栄養を摂取したい」という価値観、インサイトが見えてきました。こういった価値観やインサイトはデプスインタビューで知ることが可能です。

しかし、そもそも質問者の想定外にある行動は、インタビューを通して見ることが難しく、どういう方法、タイミング、場所、環境で行われているかは、実際に現場を見てみなければ分かりません。「栄養補助サプリを単純に錠剤のまま飲むのではなく、砕いて粉状にして持ち歩いていた」という行動があったと仮定しましょう。インタビュイーがそれをインタビューで発言する可能性もありますが、その行動がインタビュイーにとって日常的な行動であればあるほど、それは言語化されないままインタビューが終了してしまう可能性があります。また、このような場合、インタビュアーが事前に「どのようにして持ち歩いているか」ということを全く想定していなければ、質問することすらできません。

このようなケースにおいて、エスノグラフィーが効果を発揮します。行動をつぶさに観察することで、インタビュイーにとって日常的である些細な行動を発見し、それを新たな商品のアイデアに反映することができるのです。

デプスインタビューでは価値観やインサイトを知ることができるため、商品や事業のコンセプトを考えるのに役立ちます。一方で、エスノグラフィーでは、具体的なプロダクトや、「その商品が生活者のどのような問題を解決するのか」というよりことをより明確にします。

本来、人類学的なエスノグラフィーでは行動観察だけでなくインタビューも併せて行うことが慣例となっています。しかし、エスノグラフィー調査を謳っていても、実際は行動観察のみという場合も多いのが現状です。SEEDATAではエスノグラフィー(行動観察)をしたうえで、デプスインタビューも行っています。行動観察の中で見えてきた生活者の具体的な行動を、インタビューを通してその背後にある価値観や哲学を知る、ということをセットにしています。

エスノグラフィーとインタビューはどちらが優れている、というものではなく、相互補完的なものであると考えるのが良いでしょう。行動観察をして、その中でより深堀りしたい、今までなかった行動をしっかり見つけて、インタビューで価値観や考え方を知ることで、コンセプトやアイデアがより具体的なものが浮かび上がってくるのです。

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SEEDATAでは、独自のエスノグラフィー調査を行っています。ビジネスにエスノグラフィーを取り入れたいという方はinfo@seedata.jpまで、件名に『エスノグラフィーについて』、御社名、ご担当者名をご記名いただき、お気軽にお問合せください。

SEEDATAエスノグラフィーのご紹介
SEEDATAでは、独自のリサーチデザイン・分析フレームを用い、行動観察・インタビューを組み合わせたエスノグラフィーを行っております。私たちはエスノグラフィーを通して生活者の潜在的な「ジョブ」を発見し、それらを基にして商品開発や事業開発にお...

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