【海外進出のポイント➈】アジア最新トレンド通信vol.1ベトナム編

SD/SAではアジアにおいて、独自の意味を見出している現地の旬な生活者(=トライブ)の調査を行っています。

海外進出のポイント②中国進出の鍵となる現地の旬な消費者たち

→これまでの海外進出に関する記事はコチラ

これまで現地での商品開発のヒントとなるアジアの旬な生活者の見つけ方から、海外での調査方法、リクルーティングのコツ、中国視察レポートなどをお届けしてきましたが今回から、ベトナム、タイ、インドネシアなど、毎回1つの国に焦点をあて、アジア各国のトレンドについて解説していきます。

ベトナムで高まる男性の美容意識

かつてのベトナムは低賃金で真面目でよく働く労働者が多いという特徴を有することから生産拠点としての魅力について注目が集まっておりましたが、今後、人口増加や個々人の所得上昇が続くことが予想されており、タイ、インドネシアなどの成長が著しい東南アジア諸国の主要な市場の一つとして注目を集めています。今回はその中でも特徴的なベトナム男性の美容事情についてご紹介します。

最近のベトナムにおいては、女性だけでなく、自分の美容や清潔に気をつかうメトロセクシャルな男性が増加しています。メトロセクシャルという言葉は、1994年にマーク・シンプソンが雑誌の記事で提唱し、2000年代初頭に広まった概念で、外見やライフスタイルに強い美意識を持ち、時間やお金を美容に多く投資する男性を意味します。地方より都会に多く存在するため、都会を表すメトロと、性別をあらわすセクシャルという言葉で表現されています。また元々アメリカではこういった生活をしているのは都会に住むゲイが多かったため、メトロという言葉が使われているともいわれています。ベトナムにおいても、整髪ワックスやボディソープ、スキンケア用品を購入するメトロセクシャルな男性が増加しているのです。

男性の美意識の高まりは、何もベトナムだけで見られる現象ではありません。韓国ではスキンケアではなくメイクまでを施す男性も存在しますし、日本の男性もスキンケアをする習慣を持つことが一般的になりつつあります。また、東南アジアでもタイなどは男性の美容意識が高い国といえるでしょう。

ただ日本や韓国、タイなどの美意識の高さとは少し違う点が、ベトナムの生活者からは見受けられます。それは上述した3カ国における美容意識の高い男性が女性用の化粧品などを使用するのに対して、ベトナムでは、より男性的な美しさを意識している点にあります。

たとえば、日本においては、男性のために作られた化粧品は油を過剰にとりすぎたり、スクラブが肌に悪いのではないかということで、女性用の化粧品、ボディケア用品を購入することが多いです。これは以前SEEDATAのトライブ「アドバンストアンチエイジャー(AAA)」の紹介記事でも触れていますので興味のある方はこちらもあわせてご参照ください。

しかし、ベトナムの美容意識の高い男性の8割が「メンズのグルーミング製品を使いたい」と考えているのです。これは皮脂などの汚れをしっかりと取り除くことができるという、本来男性の肌の特徴を考慮して作られたメンズ用化粧品が持つ仕様が、他の国では肌に刺激が強すぎると敬遠されてしまうのに対して、ベトナムでは、気温および湿度が高いため、発汗によるベタベタや皮脂をしっかりと取り除きたいというニーズに合致しているのだと解釈することが出来ます。

また、二輪車移動社会というコンテクストも見逃せません。たくさんのバイクが走って埃が舞っている道路を移動するため、皮脂や汗以外にも、体の汚れを洗浄したいと感じる程度が強いのかもしれません。

また顔や体の洗浄以外にも、整髪行動にも変化が起きているようです。それはワックスなどの整髪剤の購入料が増加しているだけではなく、美容院や床屋などに行くベトナム人男性が増えていることからも見て取れます。東南アジア全域において、男性の美容意識の高まりはある程度共通する現象ですが、ベトナムの美容意識の高い男性は、フェミニンなおしゃれさではなく、髪型もツーブロック的なものや、ワックスでガッチリ固めたものなど、男性的なおしゃれさを求めている点に特徴があると感じます。

冒頭でも述べましたが、ベトナムは社会主義国で、外見に気を使っておしゃれをすることで個性を表現したいという感覚は比較的弱かったと思われます。そうした背景の中で、男性が美しさやかっこよさを表し始めたことは大きな社会的な変化と捉えられるでしょう。

私たちはこのようなベトナムの男性を「メトロ・マンリネス」というトライブとして捉えて調査します。

ベトナムの男性の中で先進的な美容行動をとっている人たちを調べることは、たとえば、バイク移動が前提で、大気汚染、高湿度、埃、ヘルメット着用など、日本人男性の日常生活とは非常に異なる環境において、どんな製品を使っているのか?どんな工夫をしているのか?という現実の行動の把握から、みな平等を重んじる共産主義的な思想を持つ社会の中で、どういった男性を理想の美しさとして捉えているのかといった価値観の深掘りまでを可能にします。

これからさらに男性の美容関連商品への消費意欲が高まっていくと考えられるベトナムで、美容室から化粧品メーカー、自動車や住宅業界、ヘルスケアなど様々な業界においてビジネスの新しい機会の発見につながるでしょう。

【SEEDATA ASIAにてリサーチをすることができるアジアの国や都市一覧】

東アジア地域:中国(北京、上海、杭州、深圳などの主な都市部)、台湾、香港、韓国

東南アジア地域:タイ(バンコク・チェンマイ)、インドネシア(ジャカルタ)、ミャンマー、カンボジア、ベトナム、シンガポール、マレーシア、フィリピンなど

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

SEEDATAでは、独自に定義した先進的な消費者群(=トライブ)のリサーチを通じて、企業のイノベーション支援を行っています。

また、当記事に関するご質問、企業様からのアジアの共同リーサチの相談はinfo@seedata.jpまで、件名に『アジア共同リサーチについて』、御社名、ご担当者名をご記名いただき、お気軽にお問合せください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

林直也
Written by
林直也(Hayashi Naoya)
アナリスト