日本企業が海外進出を考える際の情報収集方法

SEEDATA ASIAは、アジア市場における企業のイノベーション支援に特化したサービスです。

今まで我々SEEDATAが日本国内で培った約50にもおよぶトライブリサーチの知見を活用したサービスで、アジアの旬な生活者(=トライブ)の調査を行い、海外進出を考える日本企業さまに対し、海外市場向けの商品やサービスの開発を通じて、新しい価値創造やイノベーションにつなげていきます。

本サービスは、SEEDATAがタイにあるSD/SAという会社を起用して提供致します。SD/SAは、SEEDATAからナレッジの提供を受け、タイにて大型商業施設等の建築設計を手がける「ON GROUND」の岩本氏によって設立された会社です。岩本氏は、隈研吾建築都市設計事務所等を経て、2006年バンコクにON GROUND設立。タイを中心に東南アジアで建築設計やコンサルティング、PM業務等を行っています。

当連載では、我々が強みとする未来の行動や価値観を先取りした生活者に対する調査、トライブリサーチの手法がどのように海外市場でのビジネス推進に役立つかということを中心にお話をしていきます。

また、SEEDATA ASIAの取り組みに関しては、博報堂マーケティングエグゼクティブでも連載をしているので、興味のある方は、こちらも合わせてご覧になってください。

ASIAN TRIBES Vol.1:アジアの未来を先進的な生活者の価値観から捉える

海外進出企業が抑えておくべき多様化するアジアの価値観

アジアの最新事例を収集し、トライブを捉えるマーケティング方法

SEEDATA ASIAは、企業のリソースを活かし、海外進出ならびにアジア市場での事業開発や商品開発などの支援を行います。その際に、アジアで暮らす現地の生活者に対してトライブリサーチの調査手法を使うことは何度か説明していますが、それ以外にも、アジア諸国で注目を集める最先端事例を取集し、それを分析することで、当該分野に関する現地の生活者の変化を分析する手法も持っています。

実は現地の旬な生活者であるトライブの肖像も、現地の先端事例の分析から導き出されることがほとんどです。今回は、我々が普段どのように現地の情報のインプットをおこなっているのか、どんな情報を発見することができるのか、そして、そこからどのようにして生活者の肖像を明らかにしていくのか、その方法について、ご紹介いたします。海外進出を考える日本企業の担当者の方は必読です!

アジア市場の先端情報の収集方法:フィリピンの生活者の例

日本企業が海外進出を考えたとき、当然のことながらまずは国を超えてリサーチをしなければいけません。我々は、現地で活躍する新聞記者や建築家などの人脈を持ち、アジアのほぼ全域から旬な情報を入手することのできるネットワークを構築しています。数年先に現地で広がる行動をすでに体現しているトライブを見出す際は、この情報網から届く情報に目をつけ、現地の生活者の新しい価値観の兆しを捉えるようにしています。

ここで我々が注目する情報は、市場や生活者の動向を定量的に示すデータではありません。雑誌に近いニュース記事や個人のブログ記事などで取り上げられるような個別の具体的な事例です。例えば「フィリピンにおける若年層世代の携帯電話の普及率」といった定量的な情報ではなく「Twitterで茶色の肌が美しいと書かれたハッシュタグが流行っている」ということに目をつけるのです。

こうして集まる情報には、やはり日本にいては拾いきれないものが数多くあります。テーマによっては、弊社メンバーが直接情報を収集することもありますし、日本語・英語・中国語・タイ語・ミャンマー語などの言語で検索をかけることのできるメンバーがいますが、やはり現地に身を置いていなければキャッチすることのできない旬な情報は無数にあります。既に述べたフィリピンでのハッシュタグなどが、まさにその一例です。

こうして集めた現地の最新情報を、そのまま転記してレポートにすることもできますが、我々はそこに分析を加えます。現地で増加している生活者の行動を分析することは、その背後にある何らかの価値観の変化を見出す上で役に立ちます。

また、現地の生活者に受け入れらつつある革新的なサービスが見つかれば、それが多くの生活者の価値観や行動に変化を起こしていくのではないかという見立てを得ることもできます。

分析をする上でも、現地の人脈の知識や肌感覚が非常に役に立ちます。生活者の価値観の変化の兆しを捉えるには、現地で当たり前とされる常識、今までの価値観をしっかりと把握しておく必要があるからです。フィリピンの例でいえば、今までは白い肌こそが美しいという価値観が当たり前で、美白効果のある化粧品が売れていたという常識がありました。そこで「茶色の肌が美しい」という考え方が共感を得ているという発見があると、変化の兆しを見出すことができます。こうして、本連載の第一回で紹介した「プライド・スキンズ」が誕生しました。

トライブ発見の事例1:インドネシアで成功しているビジネスから生まれた旬な生活者「デリバリー・ラバー」

ここで、インドネシアのトライブを発見したときの様子をご紹介いたします。

例えば、インドネシアのジャカルタでは、都市の公共交通機関が発達しておらず、それ故に自動車が多く交通渋滞がひどい状況でした。だからこそ、自動車ではなく抜け道を通ることのできるバイクの配車サービスGO-JEKが人気になり、かつ一度到着したらそこで全ての用が足せる巨大ショッピングモールが休日の市民の憩いの場になっているという前提を、現地の人脈からの情報と我々のリサーチで把握することができました。

こうした前提を踏まえた上で、先ほどのGO-JEKが、ユーザーの家に清掃人・美容師・マッサージ師などを派遣するサービスを開始し人気になっているという情報を得たのです。すると、これからはショッピングモールではなく、家にいるだけで全てが完結するような暮らしを求める人が増加するのではないだろうかという見立てを得ることができます。

こうした見立てをもとに擬人化すると、ありとあらゆるもののデリバリーを依頼するユーザーを「デリバリーラバー」というトライブとして生み出すことができます。彼らを調べれば、休日の家の中での過ごし方の未来、外出することの価値の変化を見出すことができると考えられます

トライブ発見の事例2:これからの中国ビジネスを考えるうえで重要な旬な生活者「エコ・バンカー」

続けて、中国の事例を紹介します。

現在、中国では資産口座、信用口座のほかに、炭素口座というものが支付宝(アリペイ)のサービス内に存在します。たとえばオンラインで公共料金の支払いをしたり、シェアリングサービスの自転車を活用して街を移動したりすると、紙やガソリンの燃焼によって排出していたはずの二酸化炭素を排出しなかったと認識され、その分グリーンポイントというポイントを炭素口座のアプリ上でもらうことができる仕組みになっています。

ユーザーはグリーンポイントを使い、アプリ上で仮想の木を育てることができるのですが、このサービスが革新的な点は、ある一定のところまでバーチャル上で木を育てると、なんと実際に自分の名前が彫られた木が中国のどこかに植えられ、ユーザーはアプリ上で自分の木を観測することが可能になるということです。現に中国では4億5千万人が利用しています(※2016年9月データ)。

急激な経済成長を優先する中国に関しては、前提として環境保全よりも経済成長を優先するというイメージがあります。そのため、今までエコ意識が薄いと認識されていた中国の生活者ですが、こうして4億人以上のユーザーがこのアプリを利用しているという事実を踏まえると、彼らの間で、自分の行動とそれが環境に与える影響を自覚することになり、将来的には今の日本人以上にエコ意識の高まりが現れるかも知れません。欧米人の持つエコ意識が、日本人の持つエコ意識と完全には一致しないように、エコ意識の高い中国の生活者を「エコ・バンカー」として調べることで、中国人独自のエコの捉え方を理解することにつながるでしょう。

アジア進出のご相談はSEEDATA ASIAまで

今までご紹介したアジアのトライブたちも、こういった先進事例のインプットから、生活者の価値観の変化を捉え、トライブの肖像を導き出しています。こうした生活者を発見するためには、現地の最新情報とそれを活用する分析力が必要になります。こうして捉えたトライブに対して、エスノグラフィーやデプスインタビューなどの調査を行うことで、彼らの持つ価値観や課題を明らかにし、クライアントの持つリソースを活かすことのできるビジネスチャンスを発見することにつなげていきます。

日本企業の海外進出サポートはまもちろんですが、現地の生活者リサーチとまではいかずども、気になるアジアの最新情報を掴みたいという場合でも気軽にご相談ください。例えば、「インドネシアのミレニアルズの働き方の最新トレンドについて情報が知りたい」といったご希望があれば、プロジェクト化しサポートさせていただきます。

【SEEDATA ASIAにてリサーチをすることができるアジアの国や都市一覧】

東アジア地域:中国(北京、上海、杭州、深圳などの主な都市部)、台湾、香港、韓国

東南アジア地域:タイ(バンコク・チェンマイ)、インドネシア(ジャカルタ)、ミャンマー、カンボジア、ベトナム、シンガポール、マレーシア、フィリピンなど

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SEEDATAでは、独自に定義した先進的な消費者群(=トライブ)のリサーチを通じて、企業のイノベーション支援を行っています。

また、当記事に関するご質問、企業様からのアジアの共同リーサチの相談はinfo@seedata.jpまで、件名に『アジア共同リサーチについて』、御社名、ご担当者名をご記名いただき、お気軽にお問合せください。

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林直也
Written by
林直也(Hayashi Naoya)
アナリスト