【商品開発のプロセス➆】アイデアのブラッシュアップ番外編

今回は番外編として、普段のプロセスの中ではここまで踏み込む必要がないものもありますが、前回作ったアイデアをブラッシュアップする4つの観点を解説します。

ブラッシュアップでは、このアイデアが1回きりしか購入しないものになっていないかというチェックを行います。以下の4の問いに対し、自分のアイデアがきちんと答えられるものになっているかどうかをチェックしていきましょう。

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①生活者の何を解決する/どんな便利を提供するか?

ここまで生活者のインサイトをインプットから活用し、そのインサイトに対してアイデアを考えてきましたが、アイデアを考える際にもともとのインサイトが弱まり、アイデアドリブンで考えてしまうことが意外とあります。

また、前回二枚目に生活者の利用シーンで4つのシーンを明確にしましたが、一言で何を解決するのかが、ぼやけがちです。

この段階であらためて、「このアイデアは生活者の何を解決しているのか、どんな便利を提供しているのか」を明文化する必要があります。

このアイデアは⑴何を解決するか、あるいは⑵どんな便利を提供するかという2種類の考え方があり、前回まで活用した冷凍食品の例でいうならば、生活者の何を解決するかは「母親の『自分の食事を食べさせていない』という罪悪感、悩みを解決する」アイデアです。

どんな便利を提供するかは「時間のない多忙な母親の時間を助ける」アイデアになります。

②機能をつめこみすぎて分かりにくいアイデアになっていないか

アイデアを考える際によく起こりがちなのが、「あれもあったらいい」「これもあったらいい」となんでも機能をつけすぎてしまうことです。SEEDATAではこれを”おせち”アイデアと呼んでいます。

結局自分たちの理想的な機能を詰め込みすぎると、生活者に提供したかったものがぼやけてしまい、作り手目線のやりたいことを詰め込んだだけのアイデアになってしまうため、ここはとてもシンプルにします。

というのも、このあとの定量調査で評価をとっていく際に、多機能すぎる場合、どの機能にニーズがあったのか判別しずらくなってしまうからです。そのため、機能はシンプルに、生活者が求めているニーズに集約する必要があります。

「こんなときにも使える」「あんなときにも使える」という形で広げすぎず、ターゲットもシンプルに絞り、ターゲットに何を提供するかも一言でいえるくらいシンプルにまとめましょう。

③一回きりしか購入しないアイデアになっていないか

これもよくありがちですが、新商品で「新しさ」を意識しすぎると、「今までにない使い方、おもしろさを提供しなければいけない」という作り手の思いが強く出てしまい、今までにない変わったアイデアばかりを考えがちです。

そうすると、おもしろそうで一回目は試してもらえるかもしれませんが、2回目はリピートしないようなアイデアになりがちです。

たとえば、冷凍おにぎりで、残ったおにぎりはスープで溶かしてスープの具材になるというような商品があった場合、おもしろそうなので一度は購入してもらえるかもしれませんが、2回目リピートする要因が設計されていません。アイデアを考える際は「何故この人が2回目も購入してくれるか」までをしっかり設計する必要があります。

①の何を解決すると、どんな便利を提供するかとほぼ同義ではありますが、ここでも生活者のニーズを解決していなければ、2回目購入の動機にはならないため、「悩みを解決しているか」ということを意識する必要があります。

ここではイラストの最後に体験ストーリーという形でフォーマットを用意しました。

だいたいこういったストーリーを書くときは、1回目のきっかけ、使用しているときの気分、1回目の利用後のシーンで終わってしまいがちですが、このフォーマットには1回目の利用の後に2回目の利用前までがあります。

このフォーマットを活用し、1回目の利用前のきっかけ、1回目の利用中、1回目の利用後、2回目の利用前までをしっかり描ければOKです。(2回目の利用中、利用後は1回目と同じだったりするので描く必要はありませんが、詳しく書きたい場合はここまで書いてもよいでしょう)

書き方としては体験シナリオを上に書き、真ん中の提供価値はお客さんにどんな価値を提供するかを書きます。たとえば利用前の1回目のきっかけであれば「母親の自分の手料理を子どもに食べさせているという満足感」が提供価値です。

機能価値はそのときに必要な商品の持つ特徴なので、ここであれば「最後に商品をフライパンで炒めて調理者がフィニッシュできる設計」など、この商品にどんな機能があるかということを明記します。

商品の機能だけがあっても担当者のエゴになってしまうため、提供価値と必要な機能を紐づけて設計することが重要です。

④これを買うことで今まで購入していた何を買わなくなるか

基本的に今生活者が使っているものから、新たなシーンを提供するものや、新たな良さを提供するものが新商品なので、今までの商品との違いを明確にする必要があります。

今までの商品と同じであればお客さんのスイッチは起きません。お客さんがブランドスイッチすることを前提に考えたときに、今までのどの商品からどう変わるか、どの商品から今回の新商品にスイッチするか考えていく必要があります。

つまり、既存の商品との差別化のポイントを明確にすることが④の意図です。

④が考えられておらず、既存商品との差別化がはかれていないことは意外と多いため、意識しましょう。

以上の4点が埋められなかったアイデアは、この段階でインプットに戻る必要があります。

生活者のニーズを解決できていなかったり、違いが明確にできないのであれば、もともとあったインプットの生活者インサイトや考え方を見直し、商品の方向性、機能をブラッシュアップしていく必要があります。

このブラッシュアップは一回でうまくいくものではなく、インサイトとアイディエーションの往復こそが重要だったりもします。初回でうまくいかない人はアイデアに立ち戻って考えていくとよいでしょう。

ここまででアイデア内容は少し精緻化できたと思いますので、このあとはこれまでおこなったものを実際にどのように社内ワークショップとして組み立てていくのか、具体的な流れとともに解説します。

new SEEDATA流商品開発コンセプト開発(ゾウガメ)

当連載をまとめたホワイトペーパーができました。商品開発のプロセスを分かりやすく解説しています(全31ページ・1.86MB)

藤井陽平
Written by
藤井陽平(Fujii Yohei)
取締役