【商品開発のプロセス⑫】商品アイデアの定量調査結果の分析

今回は調査結果の分析編として、前回まで話した定量調査の方法で出てきた調査結果を、どういう風にして分析していくかをお話します。この数100~数1000サンプルのローデータの基本的な分析や資料の構成は調査会社さんと一緒にやると思ってよいでしょう。

今回はどういった項目を引き出せばよいのか、どういった項目を資料化すればよいのかに焦点をしぼってお話します。

まずはじめに、調査のアウトプットは

・Aというアイデアは〇%受け入れられた

・Bというアイデアは〇%受け入れられた

という形でスコアがあがってきます。

このスコアを見る際、単純に全体のスコアだけでなく、どの年代やどういう属性の人からこのアイデアが受け入れられているのかを知るために、クロス表を切ります。

クロス表の軸は、いくつかあったほうがよいですが、

基本的には10代男性、20代女性といった性年代別のクロスとは別に、前回お話しした情報感度や健康意識等のクロスのバリエーションを用意します。

クロス表の軸例

・性年代別

・購入頻度

・未既婚

・職業(社会人・主婦・学生等)

・子あり子なし

・働き方(多忙・余暇時間を有意義に過ごす)

・節約志向/衝動買い

・健康意識、美容意識など

基本的なデモグラフィックな属性は、性年代と既婚未婚、職業(社会人、主婦、学生、定年退職)で、主婦の方や家族層がメインの場合は、子ありか子なしかという軸で切ります。

それ以外の特徴的なクロスの軸としては、節約志向が高いか、衝動買いをするか、健康意識が高いか、美容意識が高いかなどもよいでしょう。

商品によりますが、比較的多忙な生活か、余暇時間を充実させているかといった軸もあります。

これらのさまざまな軸を見ながら、どのアイデアがどの軸でスコアが高いかを見ていきます。

クロス表の分析の軸は大きく3つあります。

①評価のスコアでみる

前回の定量調査の調査票で、あるひとつのアイデアが受け入れられるかを5段階で聞いた絶対評価と、6~8個のアイデアの中でどのアイデアが一番いいと思ったか聞いた相対評価の質問を入れました。これらの軸でまずは全体のスコアを見ます。

②クロス別のスコアでみる

6~8個のアイデアの中で、このアイデアがどのクロスでいちばん高いかを出します。

たとえばAというアイデアは全体のスコアでは3位でも、健康意識の高い人からは全体の中で80%受け入れられたなど、クロス別にいちばん高いスコアの点を比較します。

全体の中でスコアは低いが、特定の属性から魅力が高いアイデアは、特定ターゲットからの魅力が高いと捉えることができるため、必ずしも全体のスコアが高い必要はありません。

いくつかのクロスの軸を切ることで、どのアイデアがどの属性、あるいは全体に高いかを把握することができるのです。

③価格帯

調査の際にいくらなら購入するかを聴取しましたが、これがあると実際に販売する際の価格レンジがある程度明らかになるため、既存の標準価格からズレがあるかを確認しましょう。

さらに、ひとつずつのアイデアのどこが評価されているのかを把握していきます。

調査票で1~4の利用シーンのどの価値にもっとも魅力を感じたかを聞きましたが、どの価値がいちばん高く評価されていたかを把握していきます。それによってこの商品のコアとなる価値がみえてきます。

特徴的なオープンアンサーでアイデアをブラッシュアップする

ここまでの分析項目は比較的検証の項目で、このアイデアが実際に受け入れられるかどうかを検証するための項目でした。それに対しオープンアンサーは、アイデアをどのようにブラッシュアップしていくかをみるためのものです。

なるべく、記入されたものはすべて見るようにしますが、その際ポジティブな意見とネガティブな意見に分けて分析する必要があります。

このアイデアをよくするためにはどうすればいいかをネガティブな意見から発見したり、あるいはこの商品をどういう風にみせればより魅力的になるかをポジティブな意見から発見していきます。

たとえば今回のアイデアである調味料ボール(仮)に対し、仮にオープンアンサーのポジティブなものとして「時間がない水曜の夜に使えるアイデアだと思います」と書かれていたとします。この意見からは「この商品は毎日使い続けるものではなく、忙しいときの手助けアイテムとして使われる可能性が高いため、毎日使える便利グッズではなく、忙しいときに主婦を助けるアイテムとして売り出す必要があるかもしれない」という発見があります。

一方、ネガティブな意見として「料理にこだわりがあるので自分の味を表現するために使いたくない」という意見があったとします。この意見から「この商品の狙うべきターゲットはこだわり層ではなく、時間のないママだけ、あるいは家に調味料のない一人暮らし層」という形でアイデアのブラッシュアップをはかっていくことができるでしょう。

定量調査後に社内で議論をしていく際は、このオープンアンサーの分析結果を軸にしていくとよいでしょう。オープンアンサーはこのあとのブラッシュアップ、あるいはブラッシュアップのためのヒントにつながるため、よりいいアイデアを作るために有効なのです。

前回、定量調査のあとに定性調査をすることがSEEDATAの定石の進め方といいましたが、定性調査をする際は、今回お話したオープンアンサーの分析方法の観点を確認しながら、最終的にどの人に定性調査を依頼するかを決めていきます。

たとえば、先述したポジティブな意見の人を定性調査に呼び、実際の水曜の夜の時間の使い方を聞いたり、水曜の夜に作っているもの、この商品をどういうタイミングで使いたいかを具体的にモノを見せながら聞いていきます。

定性調査では定量調査では聞けない、このアイデアの具体的な使い方などを詳しく聞くことができます。定量調査のオープンアンサーを見て、この人のライフスタイルをもっと知りたい、またはネガティブな意見をした人が使うためにはどうしたらいいかを一緒に考えたいという場合に定性調査を依頼してヒアリングを実施します。

次回は定性調査の質問項目についてです。

藤井陽平
Written by
藤井陽平(Fujii Yohei)
取締役