メーカー(製造業)に特化したSEEDATA流 新サービス開発、サービスデザインとは?

SEEDATAは、今後マスに広がっていくであろうニーズや課題を先取りし、独自の哲学に沿って行動することで既に解決を図っている先進的な消費者グループ=「トライブ」をリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、イノベーション支援を行っています。

我々はこれまでもトライブのデータベースを活用し、新商品開発や新規事業開発に取り組んでまいりましたが、昨今、特に扱うことが多くなったイノベーション領域が「新サービス開発」です。新規事業開発と一括りにされてしまうことも多い新サービス開発ですが、新サービス開発は新商品開発や新規事業開発と全く異なるものだと我々は考えております。

今回は「新サービス開発とは何か」「新商品開発や新規事業開発とどのように違うか」「なぜ今、新サービス開発を行うべきなのか」「具体的にどう新サービス開発を行っていくのか」について、がっつりとご紹介していきたいと思います。

SEEDATAの考える新サービス開発とは

近頃「サービスデザイン」という言葉を耳にする機会も多くなり、すでに取り組み始めた企業さまも増えているかと思います。サービスデザインについては弊社ブログでもたびたび取り上げておりますので、詳しくはこちらの記事をご参照ください。

SEEDATAの新サービス開発は、このサービスデザインの手法を活用して行いますが、ポイントはすでに自社企業で保有している商材をさらに売り続けるための仕組みを構築する」ことをサービス開発と呼んでいるという点です。

新商品開発とは、新たな商品を企画し、それをスーパー、コンビニなどの既存の流通チャネルに卸すことを指します。一方、新規事業開発は既存事業ではなく、新たな収益の柱をゼロから作ることを指します。

整理すると、

・新商品開発……新商品を企画すれば、あとは流通に卸すだけなので初期投資は少なく済む一方で、ロングセラー、継続的な収益を生むことが困難である。

・新規事業開発……新たな収益の柱を作るため既存事業とカニバらずに長期的な収益が見込めるが、新商材の開発や新規チャネルの開拓もゼロから行わなければならないため、初期投資が大きく、軌道に乗せるまでの時間もかかる。

という特徴があります。

この新商品開発と新規事業開発の中間を担うものが、SEEDATAの考える新サービス開発です。

企業がすでに保有する既存商材やブランド力、技術などのリソースを存分に活用して、それを「新たなチャネルで売っていくこと」を新サービス開発と呼んでいます。

そのため新規事業開発のように「新たな収益の柱を作る」のではなく、「既存事業の収益を増やしていく」ことが主目的となります。

新たなチャネルを作る必要があるので新商品開発に比べると初期投資は大きくなりますが、既存商材を使うため新規事業開発より時間的にもお金的にも初期投資は少なくて済みます。

サービスデザインの定義は様々ですが、一般的にはアプリやソフトウェアのUI、UXの改善を指すことが多いため、基本的にサービスデザインを積極的に導入している企業はIT分野の企業の場合が多いように思います。

しかし、SEEDATAが提供するサービスデザインは「既存商材の新しい売り方・届け方を作ること」を目的としているため、メーカー(製造業)の方々を対象としています。

ここが他社のサービスデザインと大きく異なる点といえるでしょう。

では、新規チャネル=新しい売り方・届け方を作るとは、具体的にどのように行っていくのか、その方法についてご説明します。方法はいくつかあるため、今回は代表的な方法をご紹介いたします。

まず売り上げを伸ばしてきたい商材を選定し、その商材とハードウェア、ソフトウェア、人、情報、設備などを組み合わせ、新たな顧客体験や新たなチャネルを作っていくという方法があります。

このようなメーカー(製造業)向け新サービス開発の事例として、ネスレ日本株式会社が提供する「ネスカフェアンバサダー」をご紹介します。

ネスカフェアンバサダーは、コーヒーという既存商材をより多く売るために、コーヒーマシンというハードウェアを無料でオフィスに設置し、これまでは売ることができていなかった「オフィスという新たなチャネル」でコーヒーを売ることに成功しました。

これはまさにSEEDATAが考えるサービスデザインに近しい事例といえるでしょう。

なぜ今、新サービス開発が必要なのか

メーカー(製造業)のみなさんの中で危機意識はあるかと思いますが、現在、流通企業、小売企業の力が非常に強くなっています。

たとえば、消費財に関しては低関与なユーザーが多いため、より安いコンビニなどのPB(プライベートブランド)を購入する人が増えています。またAmazon等のECサイトで購入する人も増えています。この時にポイントになるのは「最終的に誰が生活者に価値を届けているのか?」「最終的に生活者は何のファンになるのか?」という点です。

例えば、Amazonを利用して商品を購入すると、商品を作っているメーカーのファンになるのではなく、品揃えが豊富で最短の日数で届けてくれるAmazonのサービスのファンになっています。また、海外ではD2C(ダイレクトトゥーコンシューマー)と呼ばれる、企画製造だけでなく、販売やサービスまで全てを一貫して行うブランドが増加しています。

D2Cは流通や小売を介さずに、顧客と直接つながっているため、ファンを増やすために様々なサービスを実施しています。例えば、米国のスーツケースのD2Cブランド「Away」は、スーツケースを売るためにリアル店舗でのサービスに注力しています。旅行関連のイベントを毎日のように開催して旅行好きの来客数を増やしたり、旅行好きのための紙雑誌「Here」を発行し、自社ブランドの哲学やビジョンを伝えるなど、サービスを通じてブランドと生活者の距離をいかに近づけるか、ということに力を注いでいます。

また日本の事例では、キリンビール株式会社が家庭用ビール配送サービス「ホームタップ」を運営しています。これは月額会員になることで自宅でも本格的なビールを楽しむことができるというサービスです。これも流通、小売を介さずに新たなチャネルを作り、自社のファンを増やすための事例と言えるでしょう。

このように生活者と直接つながるために、メーカーが新サービス開発に取り組み始めているという現状があります。

今後メーカーが行っていくべきことは、企画、製造だけではなくバリューチェーンの最後「サービス」で生活者と直接つながり、深く長い関係性を築くことで、流通や小売企業ではなく「自社メーカーや自社ブランドのファン」を増やし、継続的な売上向上を実現するということです。

だからこそ生活者と直接つながるため、新サービス開発に取り組むべきだとSEEDATAは考えています。

生活者と直接つながり、魅力的なサービスを提供できた企業ほど、今後も生活者と深く長い関係性を築き、競争優位性を得て、売上拡大につなげていくことができます。

サービス開発のゴールは生活者と信頼関係を構築し、自社のファンを作ること

ここまでで、メーカーが今後新サービス開発を行っていく意義がお分かりいただけたかと思います。次にSEEDATAの考えるサービス開発のゴールについてお話します。

サービス開発のゴールは、ずばり生活者との信頼関係の構築です。

単に価格を下げるのではなく、ただ新たなチャネルを作り生活者と直接つながるだけでもなく、「価格を保持したままサービスを提供することで、いかに生活者の信頼を獲得できるか。長く深い関係性=コアファンを構築できるか」がサービス開発のゴールになります。

今までのように企業と消費者、販売者と購入者というだけの関係性を超えて、いかにブランドと生活者が信頼関係を生めるかがポイントになっていきます。

例えばアメリカの「Everlane」というファッションECサービスは、「徹底的な透明性」という哲学を掲げ、材料費・人件費・関税・輸送費など、商品の原価の構成要素すべてを公開しています。

このように価格の内訳を公開するサービスを提供することで、生活者は価格に納得することができ、ブランドに対して信頼感を覚えます。信頼関係が構築されることでファンになり、深く長いつながりができるため、継続して購入、利用されるブランドとなっています。

以上をまとめると、SEEDATAの考えるサービス開発は、

生活者と①直接 ②深く ③長く 繋がることで、既存商材を売り続けるための仕組みを構築するということでした。

① 直接 とは

流通や小売を介さずに自社で新たなチャネルを開拓し、新たなユーザーを獲得することです。その結果、継続購入をしてくれるようなロイヤリティの高いファンコミュニティを自社メーカーが保有できるようになります。

② 深く とは

浅く広くマスをいきなり狙うのではなく、初期は狭く深く繋がることで、熱狂的なファンを作ることを目的にします。そのためには生活者の心を掴むビジョンや哲学がサービスに必要です。既存チャネルでは売れないような商材でも、そこにビジョンや哲学を加えることで、メーカー発のD2Cブランドとして新たなチャネルで既存商材を売っていくという方法も考えられます。

③ 長く とは

一回だけでいいから買ってもらうのではなく、サービスは継続利用、継続購入してもらうことを目的とします。そのためには「使いたい、あったらいいな(want to have)」ではなく、いかに「使わなければならない(must have)」と生活者に思わせるところまでサービス内容を磨きけるかが、サービス開発においては重要になります。

最後に、なぜこの新サービス開発をSEEDATAが支援できるのか、その理由についてお伝えします。

新サービス開発は新しいチャネルの開拓を通じて、生活者を熱狂させるビジョンや哲学を示し、ファンを構築することが重要であるというお話をしてきました。そのためには、今後生活者がどんなビジョンや哲学に惹かれるのか、熱狂的になるのかを考える必要があります。

SEEDATAでは哲学を持った先進的な生活者をトライブと呼び、リサーチを続けてきました。そのトライブのデータベースを活用することで、どのようなビジョンや哲学を掲げるべきか、どのようなチャネルを通して商材を売っていくべきかを一緒に検討していくことが可能となります。

以上がSEEDATAの考える「新サービス開発」です。

ご興味を持たれた企業の担当者さまは、ぜひinfo@seedata.jpまで、御社名、ご担当部署、担当者名を記載の上、件名に「新サービス開発について」と記入のうえご連絡ください。

折り返し弊社のサービス開発担当がご連絡差し上げます。

佐野拓海
Written by
佐野拓海(Sano Takumi)
アナリスト