【トライブレポート紹介22】プレミアム系商品開発のアイデアのヒント(クラフト・ドリンカー)

はじめに~トライブレポートとは

SEEDATAは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。

トライブレポートの詳細と読み方については、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。

トライブレポートの読み方

クラフトビールに表れていたクラフト消費という新たな消費スタイル

個人主義の時代といわれ、仕事が終われば同僚と飲み屋へ繰り出しとりあえずビール、という風習はもはや廃れつつあり、代わりにアフター5を休息や別の学習・鍛錬に使う人が数多く存在するようになりました。事実として日本人のアルコール消費量の中でもビールの消費量は、チューハイや新ジャンルの酒類の登場により、現象の一途を辿っています。

しかし、お酒を飲むという行動のすべてが若年層から失われたわけではありません。彼らは居酒屋での「とりあえずビール」の代わりに、こだわりを持って自らの口にするお酒を選択するようになっているのです。

クラフト・ドリンカーの調査からは、クラフトビールやアルコールにとどまらず、我々が「クラフト消費」と呼ぶ新たな消費スタイルの在り方が見えてきました。

すべての消費財の商品開発における重要なヒントがつまったレポートになっています。

クラフト・ドリンカーのレポートを作成したのは2016年ですが、2018年現在ではクラフトビールはすっかり世の中に浸透し、レポート内でSEEDATAが「クラフト消費」と呼んでいるトレンドの波がビール以外の分野で波及しているといえるでしょう。

では、クラフト消費とはどういうものか。感覚的にもっとも近いのが「旅」です。

つまり、生産者の顏が見える、手作りのプロセスのストーリーが見える、素材の育て方、原料や肥料のこだわりが見える、保存方法や提供方法にこだわっている、廃棄方法も土に還すなど環境に配慮している、消費者も生産に関わって一緒に作っている……という風に、まるで旅をするように源流を辿って最後まで全部の過程を見ていくような、ゆりかごから墓場まで、すべての部分をその商品の価値として愉しめる消費を、クラフト消費という風に呼んでいます。

調査当時、この消費行動がいちばん表れていたのがクラフトビールだったため、クラフトビールを飲んでいる人たちをクラフト・ドリンカーと定義し、調査しました。

また、クラフト消費と聞いて単に「クラフトビールだけのこと」と思ってしまうのは思考停止で、クラフト・ドリンカーたちの背後にある価値観が、ほかの商品に広がっているということを認識すべきです。

最近では、ミルク、チョコレート、アイス、シャンプー、化粧品などすべてがクラフト化しています。アラパー(【トライブレポート紹介⑫】リラックス系商品開発、新規事業アイデアのヒント(アラパー))でも触れましたが、数年前まではプレミアム商品開発ブームでしたが、以前プレミアム系の商品コンセプトを受容していたような層がクラフト消費に流れてきています。

この考え方をいち早く受容していたクラフト・ドリンカーたちは今現在も商品開発を考える際に有効なトライブといえます。

クラフト消費というのは、前述したとおり、プレミアム消費の置き換わりであり、ゆりかごから墓場まで、すべてを価値にしている、つまり現代のもっとも贅沢な消費であるということがいえます。

注意しなければならないのは、「手作り」「ニッチ」「1点ものを求める」ということはまったく違うということです。「贅沢のために全てのストーリーを楽しみながら、可能なら自分も生産に関わりながら消費をしていく」ということがクラフト消費の特徴です。

現在、ヨーグルトでもミルクでもクラフト消費はみられますが、ビールがやっていることは非常に参考になるので、あらゆる消費財の開発に関わる方は、ビールの作られ方、売り方をしっかり研究しておきましょう。

まず、クラフトビールの定義は以下の通りです。

クラフトとは、『技能、工芸、手芸』といった意味合いを持ち、国内では一般的に、ビール酒造組合に加盟している大手5社(アサヒビール株式会社、キリンビール株式会社、サッポロビール株式会社、サントリービール株式会社、オリオンビール株式会社)以外の会社やブルワリーが製造しているビールの事と理解されており、地ビールとの大きな認識の違いはあまりありません。 

当然、試作品は手作りなので、どんなビールも最初はクラフトから始まりますが、手作りであるがゆえに、さまざまな種類を作ることが可能になるのです。

また、クラフトビールはさまざまなスタイルがあるということも、大きなポイントのひとつです。

消費財に応用する場合も、さまざまなスタイルやバリエーションが作れるような消費財ならクラフト消費と呼ぶことができますし、製造工程にある程度手間がかかるものなども含まれます。

たとえば、クラフトビールの場合、醸造家によって作り方がまったく違ったり、製造工程にもバリエーションを持っていたり、発酵に時間がかかったりします。これらの現象からさまざまなこだわりや物語を伝えられるため、クラフト消費になっています。

ヨーグルト、パンなどはまさにクラフト消費化しやすいアイテムです。

また、現在クラフトビールが盛り上がっている背景には、クラフトビアバーなどの存在があります。SEEDATAの社員にも、プライベートでクラフトビアバー出店のお手伝いをしてるメンバーがいますが、これもさまにクラフト消費の一環といえます。

ほかにも、クラフトビールにまつわるイベント、フェスなどは非常に盛り上がりをみせており、これらの要素もクラフト消費には非常に重要です。このような多様性が出てストーリーが増えなければ、クラフト消費にはならないのです。

我々が調査した結果、クラフト・ドリンカーは普通の社会人がほとんどで、「若者のビール離れ」などといわれていますが、実際はそんなことはなく、ビール好きな20代が多く存在することが分かりました。ただ、彼らはクラフトビールのようにストーリーがあるものを飲みたいと考えているのです。

ビールから離れているというのは、離してしまった側に原因があり、ビールのせいではありません。クラフトビール自体は若者に好まれ、支持を受けているという事実と、その背景に注目する必要があります。

今回の調査は以下の3つのセグメントで行いました。

・クラフトラバー

クラフトビールに対しての哲学や好みのスタイルがあり、ポイントはいろんなビールを試すということ。消費者行動の種類としてはバラエティシーカータイプです。

・クラフトサポーター

フェスを手伝ったり、生産者側に関わりたいという人。醸造の勉強していたり、醸造家の哲学に共感したりしている。クラフト消費を作る際に非常に重要な存在です。

・クラフトセラー

生産ではなく売る方に関わりたい人たちで、クラフトビールをキッチンカーで売ったりする人もいます。生産者ではないけれど、提供側になりたいという消費者も非常に重要です。

この3つの顧客層をコミュニティ化できるかどうかというのが、クラフト消費のポイントになってきます。

実はクラフト消費やクラフト商品を作るのはそんなに難しいことではありません。クラフト消費には作法がいくつかあり、詳しくはクラフト・ドリンカーのトライブレポート本編を見ていただければ幸いです。

ひとつ、大きなヒントは「クラフト消費はゆりかごから墓場まで、全プロセスを価値にするようなブランドの設計をしていく」ということなので、クラフト商品を作りたい方は、ぜひSEEDATAまでご相談ください。

最後に、クラフト・ドリンカーの調査で明らかになった、クラフト消費が非常に収益性が高いということを表すキートレンドをご紹介します。

クラフトビールには『一杯、一日、一生』という 3つのレイヤーでの楽しみ方があります。

この3つのレイヤーの楽しみ方ができるのがクラフト消費のよいところです。これができるあらゆる商品には、さまざなストーリーがあり、クラフト消費にはこういった段階があるということが非常に重要なのです。

つまり、クラフト消費は一生続く旅なので「この商品に飽きる」ということがなく、ライフタイムバリュー(顧客の生涯価値)が非常に高い設計が可能で、ブランディングしがいのある消費の分野ということができるでしょう。

まず一杯としてどう楽しんでもらうか、その日の中でどう楽しんでもらうか、一生の中でどう楽しんでもらうかという観点でさまざまな商品を作っていくことで、クラフト消費のブランドとして成功することができるのです。

記事ではこれ以上はご紹介できませんが、ほかにもトライブレポートにはおもしろい機会領域が数多く掲載されているため、お問い合わせの際は、まずは気になるトライブレポート名と「〇〇ビジネスをやっています」ということをお伝えしていただければ、我々がトライブレポートをもとにビジネスアイデアをいくつかご提案し、コンサルティングさせていただきます。

あとは皆さんの会社がすでに持っているリソースと掛け合わせて、新規事業の場合はビジネスモデルを変える、または新商品・新サービスを生み出すなど、それぞれの課題に対応いたします。

たとえば、新商品を作りたいという会社の場合、SEEDATAが提携している会社とこのトライブが世の中に何万人いるかを調査し、その人たちにテストマーケティングしてみて伸ばしていくことも可能です。また、サービス開発の場合もプロトタイプを作ることができますし、ビジネスモデルの場合でも、ビジネスモデルに関する検証された知識を手に入れるPoB(Proof of Business)のプロセスに入ることも可能です。

SEEDATAへのお問合せはこちらから(コンタクトフォームに移動します)。

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宮井 弘之
Written by
宮井 弘之(Miyai Hiroyuki)
SEEDATA 代表