【トライブレポート紹介24】働き方改革系サービス、リモートワーク系サービス開発アイデアのヒント(ネオノマド)

はじめに~トライブレポートとは

SEEDATAは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。

トライブレポートの詳細と読み方については、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。

トライブレポートの読み方

ノートパソコンなどのデジタルデバイスを用い、カフェや図書館などで仕事をする「ノマドワーカー」と、都心以外にも居住地(おもに田舎)を持ち、継続して二地点の反復的な滞在を行う「デュアルライフ」。 この2つの要素を合わせたともいえる概念が「ネオノマド」です。

彼らは都会と地方に2か所以上の居住地を持ち、場所を選ばずどこでも仕事をし、さらにその仕事自体も複数持っています。たとえば平日は都会で会社員として勤め、休日は地方で町おこしや地方住民との協働を行うといった形で、単一の場所や仕事から解放された形で生活を行っているのです。 

地方活性化ビジネスや週末起業など、ワークスタイルの多様化が話題になっていますが、 このネオノマドはその最先端といえるでしょう。全体数は少ないものの、既に存在し、増えつつある彼らネオノマドに密着することで、 近未来にありうる多様な働き方とそれに伴う行動様式や消費形態への知見が得られるでしょう。

ネオオノマドを調査した2016年頃は、以前からあったノマドのようなワークスタイルが一般化してきた頃で、政府が「働き方改革」を提唱し始めた時期です。

SEEDATAの定義するノマドには2種類あり、ネオノマドは田舎と都心の2拠点生活をしている人で、ハードノマドは東京のカフェなどを転々としている人を意味します。

冒頭で述べたとおり、ネオノマドは都会と田舎に居住地を2か所以上持っているため、田舎での生活と都会での生活をうまく融合させています。田舎での過ごし方は趣味や余暇というより仕事の一環という意味合いが強いのが特徴です。

ノマドの中でもより先進的な人たちのワークスタイルを見ておこうということで、ネオノマドの調査をしました。

そもそもノマドとは本来『遊牧民』が原義で、現代では特定のオフィスではなく、ネットの繋がるカフェなどで仕事をするスタイルの意味で使われています。この背景には、いつでもどこでもネットに繋がる環境が構築されたことなどがあげられます。

SEEDATAの調査では、日本では2012年4月にドキュメンタリー番組「情熱大陸」で安藤美冬さんの特集が放送された頃から「ノマドワーカー」という言葉が広く使われるようになったことが分かりました。

ノマドワーカー

都内でデジタルデバイスを活用し、1か所にとどまらず仕事をする基準点としてのノマドワーカー。

ネオノマド

国内で2拠点生活しているノマドワーカー。

グローバルノマド

海外と日本に拠点を持つノマドワーカー。

レポートの中身を一部ご紹介すると、グローバルノマドとして有名なレバレッジコンサルティング株式会社の本田直之さんは、東京とハワイにそれぞれ拠点を持つ生活をしています。著書は累計250万部を越え、彼の本が出て以降、日本と海外の2拠点生活という考え方が広がっていきました。

この背景はいわずもがなですが、パラレルキャリアという概念が語られ始めたことなども色濃く影響しています。ライフシフトに関する本がいくつも出版され、今後は単一の職種ではなく、2つ以上のキャリアを同時にこなし、自身のポートフォリオを組んでいくことが必要になっていくであろうといわれています。

このようにさまざま顔を持つ人が増えてきて、アメリカでは独立専業で週15時間以上、平均して週35時間以上働いている人をソロプレナーと呼びます。これは日本でいうところのフリーランスに近いと思います。

また、副業的に週15時間以下(ハーフタイム未満)、平均して 週11時間程インディペンデントワーカーとして働いている人びとをサイドギガーと呼びます。

副業と本業を合わせてフルタイム以上働くという世界がアメリカでは出現しつつあり、それに伴い、拠点はそれぞれ違う場所でもよいという考え方も広がっています。

また、ネオノマドが生まれたもうひとつの背景として、「東京にはない魅力が地方にはある」と、東京に暮らす人たちの中で再評価されてきているという点があげられます。

ネオノマドたちは自然、人とのつながり、町おこし、新しいチャレンジ領域、食など、さまざまな魅力が地方にはあると考えています。

例をあげると、徳島県の神山町では、山間部に位置するにも関わらず光ファイバーを完備することで複数のIT企業の誘致に成功し、2012年には転入者が転出者を上回っています。

神山町の例は、通信のインフラ事業を考えている方にとってもかなり参考になる事例といえるでしょう。

今回は2拠点生活が重要であるという共通の価値観を持った人びとを3つに分類し、調査しました。

仕事ノマド

仕事が主の目的。地方を主たる仕事場にし、たまに東京に来る、または都会で仕事をし、地方でたまに仕事をするというような人。

子育てノマド

地方のほうが子育てしやすい、子育ての質が高いという価値観を持ち、仕事は東京、子育ては地方がメインという人。

リフレッシュノマド

東京で働きつつ地方でリラックス、リフレッシュしたい人。

複数の拠点を持つというライフスタイルを送る人をみていくと、やはり自ら企業を興すなどして、自由度高めている人が多く存在します。レポートでも有名企業の方々に多くインタビューを行っています。

たとえば、仕事ノマドで東京都と香川を行き来する「四国若者1000人会議」の瑞田さんは、東京の若者と四国をつなぐコミュニティを運営しながら、四国の食ビジネスのメディアも運営し、実家のお寺の仕事もしています。

東京ではシェアハウスで暮らし、香川ではカフェで過ごしたり、お寺の仕事で外出したりしているため、もはや固定の場所にいることはないといいます。

ネオノマドの特徴としてあげられるのは、彼らはみな、「どういう人とつながっていられるか」を重視し、人間関係の質の向上が直接的にQOL(Quality of life)と捉えている人が多いということです。

また、もうひとつの特徴は、地方で身に着けたスキルが東京の仕事で活きてくるというワークライフブレンドを実践していることです。

ワークライフバランス、ワークライフブレンドという言葉はよく耳にしますが、具体的にどんなことかはあまり語られていません。彼らは非常に分かりやすいワークライフブレンドの実例といえるでしょう。

たとえば、ユーザーベースの梅田さんは「東京では整理や論理的な仕事をし、葉山ではクリエイティブな仕事をする」と発言しています。これもマクロデータでは分からない、ワークライフブレンドの具体的な形といえます。

一方、リフレッシュノマドのマウスコンピューターのコマツさんは、平日は神田のオフィスで働き、休日は軽井沢で完全オフという生活をしています。東京は仕事の場所であり、東京で完全にオフになることは難しいと感じるからこそ田舎へ行くのです。

レポート作成当時は、軽井沢での仕事の可能性は現在ほどいわれていませんでしたが、地理的にも気候的にもよく、最近では軽井沢に移住し、勉強会やコーディング後に湖でゆっくりするというようなライフスタイルを送るエンジニアなども増えています。やはり、インフラが発達することが果たす役割は大きいといえるでしょう。

最後に、ネオノマドの調査からか得られたトライブ・ドリブン・イノベーションの例をご紹介します。2拠点ノマドのキー・トレンドで「距離の遠さを理由に仕事を効率化する」という意識がありました。

たとえば、終電が早いという理由でダラダラと飲み会に参加しなかったり、自分の働ける時間や東京の人と会う時間にあえて制限を設けることで、ある種優先順位の低い行動にはムダな時間を割かず、実は時間管理がしやすくなっているのです。

距離の遠さや、あえて時間に制限があるほうが仕事が効率化するという話は非常に重要で、ビデオ会議を取り入れたり、リモートでの会議などが増えてくると、それが理由で無駄話をしなくなるということは実際に私も感じていることです。

また、オンライン会議であれば同時に複数の会議に参加することも可能です。

このように、実はこのキー・トレンドは、ICTがさらに活用され、リモートワークが増えた時代には、物理的な移動を行うノマド以外の人びとにも十分応用可能なので、オフィスや会議室などのビジネスやサービスを行っている方は、意識すべき点です。

2拠点ノマドのエスノグラフィーなどを行うことでも、リモートワークに活用できる新しいアイデアは見つかるでしょうし、トライブ・ドリブン・イノベーションの分かりやすい事例といえるでしょう。

働き方改革系のサービス開発や、リモートワーク系の新規サービスを考えたい人にはぜひネオノマドのレポートをご活用ください。

記事ではこれ以上はご紹介できませんが、ほかにもトライブレポートにはおもしろい機会領域が数多く掲載されているため、お問い合わせの際は、まずは気になるトライブレポート名と「〇〇ビジネスをやっています」ということをお伝えしていただければ、我々がトライブレポートをもとにビジネスアイデアをいくつかご提案し、コンサルティングさせていただきます。

あとは皆さんの会社がすでに持っているリソースと掛け合わせて、新規事業の場合はビジネスモデルを変える、または新商品・新サービスを生み出すなど、それぞれの課題に対応いたします。

たとえば、新商品を作りたいという会社の場合、SEEDATAが提携している会社とこのトライブが世の中に何万人いるかを調査し、その人たちにテストマーケティングしてみて伸ばしていくことも可能です。また、サービス開発の場合もプロトタイプを作ることができますし、ビジネスモデルの場合でも、ビジネスモデルに関する検証された知識を手に入れるPoB(Proof of Business)のプロセスに入ることも可能です。

SEEDATAへのお問合せはこちらから(コンタクトフォームに移動します)。

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宮井 弘之
Written by
宮井 弘之(Miyai Hiroyuki)
SEEDATA 代表