【トライブレポート紹介30】AIファースト時代のサービス開発、新規事業開発アイデアのヒント(botter)

はじめに~トライブレポートとは

SEEDATAは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。

トライブレポートの詳細と読み方については、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。

トライブレポートの読み方

 AIファースト時代に人はどのようにAIを受け入れていくのか

2016年4月に、Googleがモバイルファーストに変わるこれからの方向性として 「AIファースト」という概念を提示しました。 これは、インターネットに接続する時、スマートフォンなどのモバイルデバイスを通じてではなく、 今後は人工知能(artificial intelligence)を通じて接続するようになるといった考えです。

こうした動きを反映しているのが、ここ最近のチャットツールのbotサービスへの参入です。 会話形式で人と情報や指示をやり取りするbotサービスは、 人工知能サービスへの第一歩であると考えることができます。

botterのレポートを作り始めた2016年頃、私たちの周囲でもビジネスでslackを使っている人が増え、メールを使うということがもはや古くなっていたり、Amazonエコーやスマートスピーカーなどが登場してきたりという変化がありました。

AIファーストな経験とGoogleは呼んでいますが、一方で、消費者の立場になったとき、各企業がそういったサービスを出していったときに、どのように消費者側に伝えていけばよいのか、どのように生活に浸透させていけばいいかを調査しておく必要があります。

現在はまだ、専門的な知識が必要であったり、自分でプログラミングをしなければいけない部分もあるため、エンジニアに代表されるような一部の人しか使っていませんが、今後さらにハードルが下がれば、一般の人にも浸透していくでしょう。その未来を見据え、こうしたbotサービスをいち早く利用し、自身や周囲のコミュニティの為に活用している生活者である「botter」の価値観や行動を調査していきました。

botterのトライブとしての価値観は「同じ作業を人が2回以上繰り返すのは悪いことである」という非常に先進的なものです。

そもそもbotとは、インターネット上であらかじめ設定された内容に従い自動的に動くプログラムの一種です。

日々、膨大な情報が生まれるweb上では、botが活躍する場面は多く、Googleのような検索エンジンではbot があちこちのホームページを毎日巡回して情報収集を行っています。

もっとも身近なbotとしては、Twitter上に存在する、全自動で動いているアカウントが挙げられます。例として、設定された時間になると、設定された通りのことをツイートするbotや、特定の情報源を参照することで、自動でその内容をツイートするbotなどが挙げられ、利用している人も多いのではないでしょうか。

近年、そんなbotが注目されている理由はLINE、slack、FacebookMessengerのようなチャットプラットフォームが普及し、そのプラットフォーム上でのbotの活躍が著しいことがあげられます。

チャットプラットフォーム上でのbotはユーザーが語りかけると人間のように反応してくれるため、ユーザーに単に検索エンジンに文字を入力しているのではなく、人に助けを求めているという感覚を与えてくれます。

最近のbotは食べ物の注文、服の購入、貯金、レストランの検索など、日常生活のさまざまなシーンで私たちを助けてくれています。

たとえば、Digitというサービスでは、テキストメッセージでユーザーの預金残高や今後予定されている支払いを知らせ、貯金しやすくなるようにすることでお金の管理を支援してくれます。

今後、botの完成度はさらに上がっていくことは間違いなく、近い将来、botはチャットプラットフォーム上でさらに幅広い作業を手伝ってくれるようになるでしょう。

今回はとくにこのチャット系のbotに注目して、調査をしたのが本レポートです。

そもそも、90年代~2000年代初頭まで、WEB上で情報発信する一般的な方法は自分でホームページを持つことでした。これはある程度のプログラミング能力が求められるものであったことから、素人にはなかなか難しいことでしたが、2000年代中盤にブログサービスが相次いで登場したことで状況は一変、インターネットに詳しくない個人でもWEB上で情報発信することが可能になりました。画像加工などもその一例としてあげられます。

このように、昔はプロの仕事といわれていたことが、今ではスマホで誰でも手軽に行うことができるようになっています。ということは、AIも遠くない未来そうなっていくはずです。プログラマーだけでなく、一般の消費者もbotを使うようになる未来ををみるために、今のうちにも使いこなしている人びとの価値観を調査しました。

現在大手企業のサービスでもさまざまなbotが取り入れられています。

たとえばFacebookには、「Top stories」と頼むと、その時のトップニュースのリストを表示し、「Get a summary」と頼むと各トップニュースの要約を表示してくれるCNNのbotや、あらゆる商品をオススメしてくれるショッピングサポートbot、航空券の受け取り、天気予報やタスクを教えてくれるbotなども存在します。

同様にGoogle、マイクロソフト、LINEの中にも、英単語を教えてくれる、画像検索をしてくれるなどさまざまなbotが存在し、各プラットホームがbotサービスにかなり力を入れていることが分かります。

botサービスは以下のように分類することが可能です。

キュレーションサービス

botにチャットで質問すると、情報をキュレーションしてきてくれるサービス。出発地、目的地、出発日、戻り日などを伝えると条件に合った航空券を教えてくれるSkyscanner、症状を伝えると関連性が高そうな病気が分かるMEDLEY、今夜食べたい料理を伝えるとおすすめのレストランを教えてくれるlukaなどのbotがあげられます。

タスク型 

botが自分の頼んだ仕事を行ってくれるサービス。あるECサービスでは商品の提案のレコメンドだけでなく、購入、配送までのやりとりを行ってくれます。

自作型

botの利便性の一つにユーザーが自分一人の力で簡単に作れてしまうことがあげられます。slackに続く形でFacebookMessengerやLINEAPIを公開し、ユーザーが自社のサービスの中でbotを作れる環境を整えるようになっています。

エンタメ型

人ではないプログラムと話せるサービス。たとえば、まるで友達と話しているように擬人化されたパンダなどのキャラクターとの会話を楽しむエンタメ型サービスのbotは、ネットで話題になることも。

今回のインタビュー対象者は以下の2種類です。

コミュニケーション型ボッター

会社や家庭内の会話をbotを使って活性化していく

Iot型ボッター

家の中の電子機器とチャットツールをつないで便利に使う

たとえば、Iot型ボッターのある人は、自作のお知らせbotを活用し、slack上で1日の天気やTODOを教えてもらっているといいます。

また、slack上で自分とbotだけのチャットルームを作り、アイデアや独り言、テック系の情報をつぶやくと、一日の終わりにbotがつぶやいたことをまとめてノートにしてくれるまとめbotなどを活用し、自分の仕事をより自由にすることを目指しています。

ほかにも3Dプリンタ遠隔制御botを作り、「3Dプリンタの様子を見せて」と言うと、今どのくらいできているのか、botがその様子を見せてくれるため、自ら見に行く必要はないといいます。

もうひとりのIot型ボッターは、指摘しずらいスペルミスを指摘してくれるという英語添削botを自作活用しています。スペルミスの指摘は、人間が言うとカドがたちますが、botが指摘すると嫌な気持ちになりません。

同じ理由で、botが「ありがとう」の数をカウントしてくれるありがとうbotを作るなど、人間がやるとカドがたったり恥ずかしかったりすることを代わりにやってくれるというコミュニケーション系のbotを活用しています。

また、コミュニケーション系で注目すべきは、家族のコミュニケーションをslackで行っているというエンジニア夫婦です。家族はゴミ捨てや料理、掃除などの「タスク」が絶え間なく発生し、それらのタスクを効率的にこなす必要性があるといい、そのためにチーム利用に適したslackを利用しているといいます。

たとえば、ゴミを出す日を前日に教えてくれる、雨にそなえて「傘を持っていきなよ」とススメてくれる、近所のスーパーの特売情報、献立も考えてくれる、退社したら今から帰るコールをしてくれるなど、さまざまなタスクの種類に適したbotを開発することで、家族内のタスクを効率的にこなし、コミュニケーションを円滑にしていました。

すでに一般家庭でもチャットグループを持つ人びとは増えてきているため、botを用いた家族内タスクのマネジメントの需要は今後増加していくはずです。

現在はこれらのサービスは自作できる一部の人たちが作り、自分のために使用しています。今はエンジニアでなければできませんが、今後は日常的に普通の人びとが自分のために自分のbotを作れる世の中がくるでしょう。

すでに企業が取り組んでいて今後ますます強くなるであろうキー・トレンドは、ブラウザでなくあらゆるチャットツールが情報のハブになるということです。

以前、あるテレビ番組で「介護ロボットが登場しても愛情がわかないから人に介護してほしい」という人に対し、落合陽一氏が「ではおしりはウォシュレットに拭いてほしいですか?人に拭いてほしいですか?」と聞いたところ、「当然ウォシュレット」と答えたというエピソードがあります。つまり、この話は人は今まで人が行っていた生活の部分にロボットが入ってくることに最初は違和感を感じるものですが、使い始めるとロボットでも気にならなくなるということを表しています。

ほかにも、ルンバというお掃除ロボットに「ルンバちゃん」「タロー」など名前をつけるなど、人間にとってbotが人格を持ち始めるという現象もあげられます。

今後は人間とbotの境目はさらに薄まっていくようなコミュニケーションをとることでbotは生活に入り込みやすくなるということは、すごく重要なトレンドとして頭に入れておきましょう。

また、botterから洞察できるビジネスチャンスは、botのようなサービスを今後大きくしていくためには、非エンジニア、一般家庭など、一般の中にbotの恩恵を入れていかなければならないということです。それができなければこれ以上は広がっていくことはないでしょう。

このときにbotterから分かる一番重要なインサイトは「2度同じことを繰り返したくない」ということです。

この価値観を持っているかどうかは非常に重要で、一般の人たちに対してこの価値観を伝えるコミュニケーションをしていくことで、「これはムダな作業だから簡単にbotでやってしまおう」という形に移行していくでしょう。

記事ではこれ以上はご紹介できませんが、ほかにもトライブレポートにはおもしろい機会領域が数多く掲載されているため、お問い合わせの際は、まずは気になるトライブレポート名と「〇〇ビジネスをやっています」ということをお伝えしていただければ、我々がトライブレポートをもとにビジネスアイデアをいくつかご提案し、コンサルティングさせていただきます。

あとは皆さんの会社がすでに持っているリソースと掛け合わせて、新規事業の場合はビジネスモデルを変える、または新商品・新サービスを生み出すなど、それぞれの課題に対応いたします。

たとえば、新商品を作りたいという会社の場合、SEEDATAが提携している会社とこのトライブが世の中に何万人いるかを調査し、その人たちにテストマーケティングしてみて伸ばしていくことも可能です。また、サービス開発の場合もプロトタイプを作ることができますし、ビジネスモデルの場合でも、ビジネスモデルに関する検証された知識を手に入れるPoB(Proof of Business)のプロセスに入ることも可能です。

SEEDATAへのお問合せはこちらから(コンタクトフォームに移動します)。

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宮井 弘之
Written by
宮井 弘之(Miyai Hiroyuki)
SEEDATA 代表