【トライブレポート紹介31】食事系サービス、新規事業開発アイデアのヒント(ちょい足し族)

はじめに~トライブレポートとは

SEEDATAは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。

トライブレポートの詳細と読み方については、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。

トライブレポートの読み方

2015年末、カップうどん「どん兵衛」にお湯を入れて10分待つと美味しくなる、という「10分どん兵衛」が話題となりました。このムーブメントは、考案者である芸人とどん兵衛の開発者が日清の公式ウェブサイトで対談するに至るほどの盛り上がりをみせたことで記憶にある方も多いのではないでしょうか。

近年、分野を問わず、メーカー側が想定していない使用法を生活者が発明し、それをメーカー側も取り入れるという事例が増えています。とくに食においては、個々人のこだわりや、マニュアルから外れた美味しい食べ方などが世の中に数多く存在します。

そしてSNSなどの登場により、提供者の想定した使い方、消費のされ方にプラスアルファを付け加える生活者は今後ますます可視化されていくことが予想されます。

そんな彼らの存在は、あらゆるB2C企業にとって大きな商機といえます。食品産業における「ちょい足し族」にフォーカスして調査を行った結果から、企業と生活者のコラボレーションを理解するきっかけとなれば幸いです。

そもそもちょい足し族の調査のきっかけは、SEEDATAのメンバーが、あるコーヒーチェーンの裏メニューをよく使っていたり、冒頭に紹介した10分どん兵衛が話題になったりしたことがあげられます。

マーケティング研究の分野にはリードユーザーという言葉があり、リードユーザーの定義は以下の2点です。

・数年後にほかの人も直面しそうなニーズにすでに直面していること

・そのニーズに対応するために自分なりのソリューションをすでにもち、自分で実践してカスタイズしていること

トライブとも似ていますが、リードユーザーの場合は自分で実践してカスタマイズしていることに着目しています。リードユーザーにプロトタイプを見せたり、ワークショップに呼ぶということは昔から行われていました。食品の分野のリードユーザー、もしくはプロシューマーの一部がちょい足し族といえます。

実際彼らに話を聞いてみると、知識を持っているというわけではなく、ニーズに直面しているから自らソリューションを生み出している、どちらかというとトライブの中でもかなりリードユーザーに近い人たちであることが分かりました。

世界的にも「自分なりにどんどんカスタムしていこう」というカスタムフードカルチャーという流れがあり、ちょい足し文化は世界的にブームがきているといえます。

ただ、一般的なメーカーがひとりひとりにカスタムすることは、現在は生産工程の問題などもあり、まだ現実的ではありません。

その間をとっているのが、マスカスタマイゼーションで、たとえばスマホケースや財布などweb上で複数の組み合わせの中から色が選べる商品などがこれに該当します。ただしこれは、購入時に仕様を少し決めるということなのでカスタムとは少し異なります。

今回はマスカスタマイゼーションとは違う消費者のフィットのさせ方として、購入後にいじるというちょい足し族に着目しています。

とくに食品はカスタムしやすいこと、また、できたものをいじるほうが消費者としても簡単であることなどが特徴です。

また、裏メニュー.comといったメニューに記されていない飲食店のサービスをはじめ、コーヒーチェーンのカスタムレシピなども、クックパッドやnaverまとめといった集合知を拡散して共有するようなサービスが増えてきたことも、ちょい足し族に影響を与えている要因としてあげられ、今後も増えていくトレンドといえるでしょう。

現在では裏メニューやカスタムフードがInstagramやTwitterなどと組み合わさることでさらに広がるという文化もあります。これらに注目することこそが、ソーシャルで公開されているものにマーケターが耳を傾けていこうというソーシャルリスニングの考え方です。マーケターは今後、消費者が主導で行うカスタムをしっかりリスニングしていくことが重要であり、近年メーカー側も既にそれに対応しているという現状があります。

今回我々が調査したちょい足し族は「既製品の食品飲料に対して、メーカーが規定するものとは異なる作り方、食べ方をしたい、することが良いことだ」という価値観を持つ人びとです。

そのためのアブローチは以下の3つに分類されます。

調味料ポータブラー

ゴマ、七味などの調味料を持ち歩く人。外食などでも味のバリエーションを増やすことで満足感を得ている

既製品ハッカー

規定してしている商品利用をあえて独自にし、既製品×既製品などのハッキングをしてみる人

店頭カスタマイザー

店頭で用意されているカスタマイズレシピをさらにカスタマイズしてまったく別のものに変えている人

既製品ハッカーは、たとえば冷凍ピラフにインスタントスープをかけて食べるなど、コンビニやスーパーにある既製品同士を独自に組み合わせて新たな食べ方を探索しています。

すでにある食品同士を組み合わせたいということは、はじめから組み合わせた商品が求められている可能性があり、消費者のこうした行動には注目していくとよいでしょう。

店頭カスタマイズザーの一人は、健康と嗜好のバランスのために、コーヒーに青汁パウダーを入れたり、乳酸菌入りチョコにゼリーをかけたり、梅酒にタバスコを入れるなど、独自のカスタマイズを楽しんでいました。

ちょい足し族の調査から得られたキー・トレンドとして、まだブームにはなっていませんが、今後確実にくることが予想されるのが「ちょい足し」から「ちょい引き」というトレンドです。

すでに完成されている食品に対しては「味が濃過ぎるので薄めたい」、もしくは自分でちょい足しすることで「味の引き算」をしたいというインサイトがありました。

ちょい足しすることで味をプラスするだけでなく自分好みにちょい引きできる、そんな調味料の開発が求められているといえるでしょう。

さらに、ちょい足しは個人の直感やなんとなくのイメージといった 右脳的・感覚的判断に基づいて行われており、アドリブであるためにレシピや記録に残されることがありません。万が一想像を上回る味のクオリティを得られても、偶発的に生まれた組み合わせであるため再 現性がないというデメリットがあります。このように感覚的に行われるちょい足しのパターンやアイデアは目に見えない経験知にとどまっていますが、それらをデータベースに蓄積し、明確に数値化することで、データを元にちょい足しのアイデアを模索することができ、ますます食品の可能性が広がっていくといえるでしょう。

また、湿度や温度の変化に弱い食材に対応できる保存性能や、外食時に持ち出ししても周囲から不審がられない見た目、外出時にいつでも邪魔にならない携帯性能など、食品を快適に持ち運ぶことができる機能性容器のデザインも今後さらに求められていくことが予想されます。

ちょい足し族のレポートはフレーバーのバリエーションを考える商品担当者はもちろん、食の新規事業の担当者や飲食店にも参考になる内容になっています。

記事ではこれ以上はご紹介できませんが、ほかにもトライブレポートにはおもしろい機会領域が数多く掲載されているため、お問い合わせの際は、まずは気になるトライブレポート名と「〇〇ビジネスをやっています」ということをお伝えしていただければ、我々がトライブレポートをもとにビジネスアイデアをいくつかご提案し、コンサルティングさせていただきます。

あとは皆さんの会社がすでに持っているリソースと掛け合わせて、新規事業の場合はビジネスモデルを変える、または新商品・新サービスを生み出すなど、それぞれの課題に対応いたします。

たとえば、新商品を作りたいという会社の場合、SEEDATAが提携している会社とこのトライブが世の中に何万人いるかを調査し、その人たちにテストマーケティングしてみて伸ばしていくことも可能です。また、サービス開発の場合もプロトタイプを作ることができますし、ビジネスモデルの場合でも、ビジネスモデルに関する検証された知識を手に入れるPoB(Proof of Business)のプロセスに入ることも可能です。

SEEDATAへのお問合せはこちらから(コンタクトフォームに移動します)。

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宮井 弘之
Written by
宮井 弘之(Miyai Hiroyuki)
SEEDATA 代表