【トライブレポート紹介40】ミレニアルズ・シェアエコノミー系新サービス開発のヒント(マイクロワーカー)

はじめに~トライブレポートとは

SEEDATAは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。

トライブレポートの詳細と読み方については、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。

トライブレポートの読み方

働く日数を”1日”から選べるスポットバイトで、勤務日を当日~1ヶ月以内に決めることができる働き方が、特に若者を中心に増加しています。スマホの普及により、予定を組んでいなくてもいつでも友達と会うことができ、どこでも動画や音楽を楽しむことができるようになり、若者の時間の使い方の選択肢は昔に比べて明らかに増え、時間の効率的活用方法をよく知っています。

「好きな時に」「好きなだけ」「いつでも」働くことのできるマイクロワーカーの考え方は、今後より注目されていくでしょう。

マイクロワーカーの調査は2016年頃に行ったものですが、2018年現在では5年待たずして完全にトレンド化しています。まず、当時レポートで調査したサービスをいくつかご紹介します。

LINEバイト

2015年2月からスタートした、スマートフォンアプリのLINEからアルバイトが探せるサービス「LINEバイト」。このアプリの特徴は応募から面接までのやりとりが全てLINEで完結すること。LINE応募を利用した際の面接率(応募から面接までたどり着くまでの効率)は今までの応募に比べなんと約2倍、採用率(応募から採用にたどり着くまでの効率)は約2.5倍。電話では言い出しにくいシフトの相談や質問を LINEで気軽に行えることがバイト内容・条件のミスマッチの回避につながっていると考えられる。

マイナビバイト短期単発版

マイナビバイト短期・単発版」アプリは、短期バイト・単発バイトの求人情報だけを検索できるバイト求人アプリ。大手求人アプリである「マイナビバイト」の短期バイト特化版アプリといえる。 1日のみ/1週間以内/1ヶ月以内など、期間から短期バイトを探せるほか、「日払いOK」「履歴書不要」など、こだわり条件と組み合わせて検索できる。

jobquicker

株式会社リクルートジョブズ(本社:東京都中央区)が、2016年1月12日より「1日だけ働く」スポットバイトのアプリ単発バイト検索アプリであるjobquickerをリリース。勤務する日数が「1日だけ」のスポットバイト、かつ勤務日が当日~1ヶ月以内の求人情報のみを掲載。応募後の面接がなく、アプリから応 募すると24時間以内に採用の合否が決定するので、不意にできたスキマ時間に働く ことが可能になった。

ショットワークス

短期バイト・単発バイト専門の求人サービス「ショットワーク ス」。即日働くことができる単発バイトや、面接が必要ないバイトも多数掲載している。短期・単発バイトに特化したサービスで あるので、他のサービスの比べた多種多様な求人があり、検索も しやすいのが強みである。

AnyTimes

生活密着型シェアリングエコノミーサービスAnyTimes。業界初、家事シェアリング のiOS/Androidアプリをリリース。ユーザーはサポーターとして登録したあと、近所のユーザーに依頼された家事サービスを代行する。空いた時間にスキルを活用して お小遣い稼ぎしたい時に、簡単に仕事を探して実行することができる。

当時SEEDATAがとくに注目したのはjobquickerとAnyTimesですが、最近ではさらに以下のような多様なサービスが続々と登場しています。

助太刀

建設現場に特化したアプリ助太刀。建設現場と職人をつなぎ、発注者は人手の少ない現場に募集を出せ、受注者はタップで助太刀できる。

現場の受発注、工事代金の即日受取などの機能で、建設現場で働く職人の働き方をアップデートする。

Taimee

応募面接なしですぐ働けてすぐお金がもらえるワークアプリ、Taimee(タイミー)。 ボタン1つで即確定。お金はその日に支払われ、働きたい時間に好きなだけ働けることが特徴。レストランや居酒屋などの飲食店・コンビニ・アパレル・企業へのワンデイインターンのような仕事が満載。

こういったサービスが登場した背景としては、まずクラウドワークスやAirbnbのようなシェアリングエコノミーを代表するサービスが登場し、新しい小銭稼ぎの方法が増えてきたことがあげられます。このように、モノやスキルをシェアをすることに人びとが慣れてくると、さらに短期間や単発で行えるものが求められるようになり、これらのサービスが登場しました。

また、クラウドワーカーの紹介でも触れた、国内最大級のクラウドソーシングサービスのランサーズは、企業から依頼された仕事を自宅でこなして報酬を得ることができ、まさに好きなときに好きな場所で仕事ができるサービスです。マイクロワーカーとは異なりますが、ランサーズのようなサービスが出てきていなければ、現在のようにはなっていなかったでしょう。

人のスキルや人の空いている時間のシェアは、今後も絶対に広がっていく分野なので、シェア系ビジネスをやりたい人はぜひSEEDATAにご相談ください。

これらの中でも最近登場した助太刀というサービスは、これまでITとは繋がっていなかった建築分野に特化しており、スマホが普及したことで急速に広がりをみせました。同じことはアジアにもいえるため、今後アジア全域に広がっていくことが容易に想像できます。

今来ているこれらのトレンドを体現しているサービスは、2、3年前から仕込まれたものです。まさに、日頃我々が繰り返しいっている、2、3年後の未来を見据えた事業開発をすることで、世の中のトレンドとしてきたときには資金調達、プルーフオブキャピタルまで終えているということが、人のスキルを短い時間のスポットタイムでシェアしていくという分野に関しては実証できたと考えます。

ビジネスマンが抑えておくべき、これらを支えるもうひとつの背景は副業の解禁です。より短期間で別の仕事をしようという人の裾野はますます広がっているといえるでしょう。

ここで、企業の副業解禁事例をいくつかご紹介します。

ロート製薬

ROHTO製薬が実施する「社外チャレンジワーク」。

休日ないし終業時間外に社外で収入を伴う仕事に従事することを認めるもの。社員からの自発的な申請を社内で審査するが、ロート製薬は社員のダイバーシティ(多様性)確保の観点からも副業の意義をポジティブに認めており、承認される可能性が大きい。

副業の申請の手続きを明らかにすると共に、会社が副業の意義を認めてくれているので、社員は精神的にも健康的にも副業に関わることができる。

ビームス

独自の「コミュニティブランド」という方向を掲げ、「集まりたい、仲間になりたい」と思わせる組織であることと、その働き方の実現を掲げるビームス。仕事の中で、自分がやりがいを持てる要素、将来の夢に向かって少しでも近づいていけるス テップがあることを重要視し、「自分の好き」がはっきり分かっていて、「ビームスと関わっていたい」という人は、物凄く大きな財産になると考える。それが実現できれば、面白いものが自然に集まってくると考え、副業を可能としている。

サイボウズ

サイボウズは2012年に小商売に限らず全ての職業を含む副業原則許可となった。副業によるメリット・デメリットは様々あるが、サ イボウズとしては、自立した人ほど副業のマネジメントのコストが下がり、ほ かで学んだスキームや人脈をサイボウズに持ち帰ってくれたり、副業の時間 でサイボウズの宣伝をしてもらえるという観点から副業を肯定的に捉えている。

また、以下のような事例についても理解しておく必要があります。

プライベートプロジェクト

会社をやめる手段として副業が提言されている。つまり、本業以外に副業を一定期間しておくことでノウハウやスキルを磨き、ある種の保険としている。現代はビジネス環境が整備されているため、自分の就労時間以外に100%自分のオーナーシップで手がけるビジネスに踏み切ることは容易い。かつ、本業ほど生活や資金がそのビジネスに依存することがないためにリスクも低く、 やりたいように仕事ができるというメリットがある。

パラレルキャリア

ドラッカーは「歴史上はじめて人間の方が組織よりも長命になったために、人は組織のみに頼らず、それとは別に第2の人生を始 める必要が生じた。その第2の人生のひとつがパラレルキャリアである」と提唱した。例えば女性が出産の際に収入が 減少してしまう時など、状況やワークスタイルに応じて仕事を選択してもいいのではないだろか。

ただ、帰るべき場所として会社・本業を残しておくことにも、精神的安息感を与え得る効果があるため、副業はプラスアルファとしておき、キャリアのリスクヘッ ジの役割を持つのに最適といえる。

アメリカを上回るフリーランス人口の増加

ランサーズが全国の20歳から69歳までの男女3,000人を対象に行った「フリーランス実態調査」によると、日本における広義のフリーランス数が1,064万人に達し、昨年度対比で17%増加していることが分かった。米国 が5,300万人から5,400万人と1年で2%の増加率であるのに対し、日本ではそれを上回るスピードでフリー ランスが増えていることが明らかになった。米国のフリーランスは「収入」をモチベーションに上げるこ とが多い一方、日本では、45%の人が「自由」な働き方を求めてフリーランスになっているという結果と なった。その一方で53%の人がフリーランスになることへの障壁として「収入の不安定さ」「社会的信用のなさ」を挙げている。

これは私の見立てですが、国民のコンテクストとして「信用し合いやすい」という見えない次元での強みが日本人にはあるため、シェアリングエコノミーは日本人と相性がいいといえます。もちろん中には悪い人もいますが、裏切りも少なく、日本語が話せて、同じような教育水準で、道徳観も似ている。こういった背景から、もっとシェアリングエコノミービジネスを日本の大企業はやるべきというのが私の意見です。

今回の4つのセグメントは新規事業を考えるうえで非常に重要です。「人系のシェアやスキルのシェアがきているからなんとなくやろう」では、すでにマスになっている分野なので勝つことはできません。そのときに一言でマイクロワーカーにはどんな人たちがいるかを理解しておくことが重要です。自分の隙間時間を使って働きたいという価値観は同じですが、アプローチは以下のように異なります。

スキマワーカー

自分の予定のスキマ時間を活用してバイトする大学生が中心。 遊ぶ予定が急遽キャンセルになった時に、バイトを探して働く人など、急な予定の変更でバイトをいれる人たち。 時間を埋めたい・充実させたいという思いがある、比較的充実した生活を送る人たち。

スタディワーカー

お金稼ぎが目的ではなく、 いろんな世界を知りたいという好奇心からバイトを探す大学生が中心。「単発バイト検索アプリ」では、同じようなバイトを繰り返すのではなく、毎回異なる仕事を探してはバイトしている。

また、スタディワーカーの発展で、転職の職探しのきっかけを作りたいという人もいる。

コインワーカー

小金稼ぎのために「単発バイト検索アプリ」をしている大学生が中心。当月の稼ぎが少ないため、帳尻合わせのために小金を稼いでいる。 継続して活用するのではなく、 お金が足りず小金が必要なタイミングで活用している。

セカンドワーカー

企業で働きながらも、副業的に 「単発バイト検索アプリ」を利用する社会人たち。 会社からバレないように副収入を得るために「単発バイト検索アプリ」を利用している。週末や就業時間以外の時間で働いている。

大学生に今顕著に現れているのは、バイトやマイクロワーカーだけの話ではなく、「あまり先の予定を入れたくない」という価値観です。つまり、いくらでも短期間に仕事や用事を入れることができるのに、「何故1カ月も先のシフトが決まっているのか」というのが彼らの義憤になり、これまでのような働き方の仕組みがそぐわなくなっているのです。

そのため、「固定バイトが嫌だ」という若者は増加しています。その一方で、SNSが発達して「気分が乗ったときにやりたい」というような人たちが出てきているのは興味深い点といえるでしょう。

今、アルバイトに人が集まらないのは「単純作業が嫌だから」と企業の人は勘違いしていますが、彼らは「単純作業をするタイミングが固定されていることが嫌」なのです。このことをシェアリングエコノミービジネスを担当する企業の担当者は理解しておきましょう。

また、スタディワーカーの大学生と話していると、座学に対する評価が低いということが分かります。実地を行ったり、プロジェクト型やワークショップ型だったり、体験を伴うものこそが学びなのだということは、これまでプロ女子などのレポートでも何度も出てきているトレンドですが、「それが単発のバイトで知れたらいい」と、エンタメとして単発バイトを考えている傾向もあります。

もうひとつは、ワークライフバランス女子にも見られましたが、社会全体の傾向として「予定が空いていると不安」という人が存在します。ある種の「リアルが充実していなければいけない」という強迫観念が「空いているスケジュールを埋めなければいけない」というジョブに刺さっている場合もあります。

さらに、「固定バイトの人間関係が面倒くさい」という今の時代ならではの価値観があります。SEEDATAでは「ポップアップ化」と呼んでいますが、人間関係もポップアップ化してきていて、固定されている人間関係よりも、その日その時だけの関係が求められています。

このように、若者にとって旧来型のアルバイトにはメリットがほとんどなくなっていき、シェアリングエコノミー系のサービスに奪われていくのではないでしょうか。

以上のようにさまざまなニーズがあるため、ひとことでスキルやシェアのビジネスをやりたいといっても、その人たちが抱えているジョブやモチベーションをはっきりさせなければ、初期採用者を見誤ってうまくいきません。

繰り返しになりますが、「単純労働が嫌なわけではなく、人間関係や時間が固定されるのが嫌」だということを理解していなければ、アルバイト採用には苦労します。また、シェアで働いている時間をトータルすると、毎日予定を埋めている人はたくさんいるため、「少ししか働きたくない」わけではないということも重要です。

「何故時間や人間関係が固定されなければならないのか」という点に義憤を感じているということをトレンドとして意識してください。

今回は10年後くらいに起きるであろう、社会変化仮設をご紹介します。

今後も、いい意味で「人間関係や働くタイミングを固定したくない」という人たちは増えていきます。オンライン学習なども発展し、浅く広くさまざまなスキルを持ったり、その中でスキルを見つけて高めたりすることができますが、実は個人がスキルを持てるか持てないかということは、昔も今もさほど変わりません。

それよりも、これからの社会において重要なことは、「誰がどんなスキルや興味をもっているかがお互いに分かる」ということです。今まではそれが分からなかったために固定化して育てていましたが、それが分かるようになるということ、厳密にいうとその状態こそがスキルホルダーが増えるということなのです。

つまり、スキルを持っているだけではなく、自分の持っているスキルを相手に伝えられる環境が整って初めて、その人はスキルホルダーといえます。当然、昔からスキルを持った人はいましたが、そのスキルを正確に人に伝えられるようになったということが変化であり、そこに対してのコストも下がってきています。

固定されなくなると、自分でチョイスすることになり、チョイスするということは自分で選び自分のスキルで行うということで、心理学的には自己効力感(セルフエフィカシー)が高まります。そうすると、基本的に「過労」という意識は減少していきます。マクロで見るとそういう人たちが増えていくと心理学的にはいえます。

さらにそれを支えるロボットやAIが進展していくと、長い時間苦痛を伴うものはだんだんロボットやコンピューターに代替される社会が近づき、この2つが合わさったとき、いつしか過労という概念が喪失する可能性があります。

現在の働き方改革は根本には過労死や自殺をなくしたいというゴールがありますが、そういうものをなくしたいという前提そのものが消えてしまう可能性があるのです。

そうなると、人々の働き方は何によって改革されるか、「そもそも働き方とはなんだろう」と相当曖昧になっていくでしょう。政策立案などに関わる人は、将来的に過労意識という概念が喪失するかもしれないということを踏まえたうえで制度設計をしていくことで、日本は先進的な国になるでしょう。この未来がいつ頃くるかを適切に見極めて、そこに投資するのが政策立案者の役割ですので、タイミングの見極めやシナリオ制作をSEEDATAにぜひ依頼ください。

SEEDATAでは、働き方の未来に関しては10年スパンで見据え終わっています。

マイクロワーカーのような働き方が広がっていくと、遊びと仕事と休息がブレンドされていきます。それにより、日頃あまりお金使わなくてもよくなったりすれば、省エネモードであまり稼がず過ごし、逆にがっつりお金が必要になればたくさん働いたりすることも可能になっていくでしょう。それはこれまでの過労とは全然違うはずです。そのような社会が近いうちにやってくるということを今のうちに提言しておきます。

記事ではこれ以上はご紹介できませんが、ほかにもトライブレポートにはおもしろい機会領域が数多く掲載されているため、お問い合わせの際は、まずは気になるトライブレポート名と「〇〇ビジネスをやっています」ということをお伝えしていただければ、我々がトライブレポートをもとにビジネスアイデアをいくつかご提案し、コンサルティングさせていただきます。

あとは皆さんの会社がすでに持っているリソースと掛け合わせて、新規事業の場合はビジネスモデルを変える、または新商品・新サービスを生み出すなど、それぞれの課題に対応いたします。

たとえば、新商品を作りたいという会社の場合、SEEDATAが提携している会社とこのトライブが世の中に何万人いるかを調査し、その人たちにテストマーケティングしてみて伸ばしていくことも可能です。また、サービス開発の場合もプロトタイプを作ることができますし、ビジネスモデルの場合でも、ビジネスモデルに関する検証された知識を手に入れるPoB(Proof of Business)のプロセスに入ることも可能です。

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宮井 弘之
Written by
宮井 弘之(Miyai Hiroyuki)
SEEDATA 代表