【トライブレポート紹介37】中食サービス・新商品開発のヒント(ノンディッシャー)

はじめに~トライブレポートとは

SEEDATAは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。

トライブレポートの詳細と読み方については、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。

トライブレポートの読み方

食業界の大きな動きとして、共働きや忙しいワーキングマザーの増加で、自炊ではなく、出来合いのものを食べる中食という領域が増加していることがあげられます。

コンビニやスーパーなどでも、半調理品を含め中食が増えていることはみなさんご存知のとおりだと思いますが、中食の増加により、実際に生活者の食卓がどのように変化しているかをあらためてみておく必要があると感じました。

SEEDATAでは、単身世帯の若い人たちをデスクリサーチしていた際、カットサラダを皿に移さずそのまま袋にドレッシングを入れ振って食べるという「お皿を使わない」人たちがいることに着目しました。

かつて食器は食べ物の衛生状態を守り、かつそこに芸術をもたらして食事の舞台を作り上げる重要な存在でしたが、最近ではフライパンで作った食べ物を皿に移すことなくそのまま食べたり、コンビニで買った中食を袋のまま食べるという人びとが現れています。

SEEDATAでは彼らを「ノンディッシャー」と定義し、彼らが家庭の中でどのような生活行動を行っているかを調査しました。彼らの価値観を知ることで、そもそも食のパッケージの在り方を見直し、家の中で食べるものだからこその商品開発に活かせるはずです。

ノンディッシャーは容器開発や食卓の中での廃棄まで含めた消費の未来をみているレポートです。彼らはどちらかというとトライブというよりリードユーザーに近い存在といえるでしょう。

プラスチックの容器に入った中食を「何故いちいち皿に移さなければいけないのか」という疑問に対し、「移すことが当たり前」という考え方もある一方で、トライブの人たち「もはやその必要はない」という一歩先の先進的な考え方を持っています。

今回のセグメントはそれぞれ家事や料理への関わり方という意味でのアプローチ違いです。

効率重視ノンディッシャー

料理を含め、家事を行うことに対して抵抗感がないノンディッシャー。料理過程及び食後の片付けなどを徹底的に効率化させている。

バランスノンディッシャー

家で摂る食事と家以外で摂る食事、それぞれ別々の役割を持たせ、目的に応じて食事の摂り方を区別しているノンディッシャー。

ジェニックノンディッシャー

食事の際に皿を利用せず、鍋やフライパンなどの調理器具に食べ物を入れた状態で盛り付け具合を写真映えさせようとしているノンディッシャー。

この調査から出てきた重要なキー・トレンドは、買ってきて自宅やオフィスなどの室内で食べる際に「匂いを基準にして食材を選ぶようになる」というものです。

バランスノンディッシャーのインタビューで「コンビニのお弁当を買ってきて食べるとモノによっては部屋に匂いが残るイメージがあります」という特徴的なコメントがありました。

この発言は見方を変えると調査しなくとも誰もが知っている当然のことです。ただ、トライブリサーチのおもしろい点は、中食が増えてきたときに、今のままの容器や食べ方でよいのかという問題意識が前提にあるので、コンビニのお弁当を買ってきて食べることと、モノによっては部屋に匂いがつくというところに、何かあるのではないかと気がつくことができることです。

これはまさに典型的なアブダクション(参照記事:新規事業で破壊的イノベーションを生み出すために必要なアブダクションの手法とは?)のよい例です。実務的な説明ですが、アブダクションは「そうかもしれないし、そうでないかもしれない。でも確かめてみる余地はある」という推論なので、一般の人なら「そうだよね」で終わってしまうところにヒントを得て、「今後はにおいを基準にして食材などが選ばれるようになるのではないか」という気づきがありました。

ただし、一般的に店舗でおでんなどを売る場合は店内に匂わせることを意識しています。つまり、購入してもらうまでは匂いがあった方がメリットがあることのほうが多いものの、その後室内で食べる場合はにおいが出てくることはむしろ足枷になるかもしれません。

現在の中食は、基本的にその場で購入してもらうことを第一に考えて作られていますが、今後はもう少し、部屋の中に持ち帰ったときに生活者は何を困りごとやジョブ(=片付けなければならない仕事)として捉えているのかを意識してデザインする必要があるでしょう。

この場合、「中食としてお弁当を買ってきた際に部屋に匂いをつけてはならない」というジョブが考えられます。これは実は無意識に消費者が片付けたいと考えているジョブですが、今現在は片付けられないジョブです。

こういったところから、中食の容器だけでなく食材を温めたときの反応まで考えられればイノベーションが起きる可能性があるでしょう。

温めたときや食べる際だけではなく、捨てたあとの匂いに対する問題もあります。

日本は空調管理設備が充実したことで公共空間は無臭化し、室内も空気清浄機やエアコン、ルームミストやファブリックミストなどの効果もあって、食後の容器や生ゴミから発生する「違和感のある匂い」に対して、極度に敏感になっていると考えられます。

この「違和感のある匂い」をひとつの競争軸にすることで、開発者の方々にとってはおもしろい展開があるのではないでしょうか。

また、もう一点、もっとシンプルなビジネスチャンスの話をすると、今の中食のパッケージは捨てにくいという問題があります。

汁や匂いがあって洗わないで捨てると匂いのもとになってしまうため、今後は処分まで見据えたパッケージデザインをした会社が支持されていくのではないでしょうか。

中食はまだまだ屋内で食べるものなので、買う、処分するという消費者行動の大事なところまで見据えましょう。

容器開発に関してはまだまだ成長分野でチャンスがあるため、容器、中身を含め、中食を作ってみたい方は流通業でも食品加工会社の方でも、SEEDATAに一度ご相談ください。何故ならSEEDATAが得意とするエスノグラフィーが効果的だからです。店頭で売ったあと、自社の商品がどうなっているのかをしっかりみていかなければ、店頭で購入してもらうということと、使って捨てて満足してもらうことを両立するものは作れません。



記事ではこれ以上は紹介できませんが、他にもトライブレポートにはおもしろい機会領域が数多く掲載されているため、お問い合わせの際は、まずは気になるトライブレポート名と「〇〇ビジネスをやっています」ということをお伝えしていただければ、我々がトライブレポートをもとにビジネスアイデアをいくつかご提案し、コンサルティングさせていただきます。

あとは皆さんの会社がすでに持っているリソースと掛け合わせて、新規事業の場合はビジネスモデルを変える、または新商品・新サービスを生み出すなど、それぞれの課題に対応いたします。

たとえば、新商品を作りたいという会社の場合、SEEDATAが提携している会社とこのトライブが世の中に何万人いるかを調査し、その人たちにテストマーケティングしてみて伸ばしていくことも可能です。また、サービス開発の場合もプロトタイプを作ることができますし、ビジネスモデルの場合でも、ビジネスモデルに関する検証された知識を手に入れるPoB(Proof of Business)のプロセスに入ることも可能です。

SEEDATAへのお問合せはこちらから(コンタクトフォームに移動します)。

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宮井 弘之
Written by
宮井 弘之(Miyai Hiroyuki)
SEEDATA 代表