【トライブレポート紹介53】投資系新サービス・新規事業開発のヒント(近トレプレナー)

SEEDATAは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。

トライブレポートの詳細と読み方については、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。

近年、日本においても企業に就職する選択肢を取らず、自らの実現したいことのため在学中または卒業後に起業する学生が登場し始めています。大手企業の採用担当者からも、優秀な新卒を採用するのに、今いちばんのライバルは「学生起業」だという声も上がっているほどです。

テクノロジーの発達により、パソコン1台あれば、プログラミングを学習して、一人でもWebサイトやアプリを開発できる時代であり、生まれたときからデジタル環境に触れてきたミレニアル世代以降の若者たちにとって、「学生起業」は大手企業に就職するよりも、自分らしいライフスタイルを送る上での有効な手段として捉えています。投資家たちからは協力が得られやすく、失うものは少ないため大きな事業にも挑戦しやすいというメリットも多く、身近な選択肢になってきているといえるでしょう。

今回は学生起業の中でも、これまで多くの起業家を輩出している近畿大学の学生に着目し、すでに起業をしている学生および、起業予定の学生を「近トレプレナー」(近畿大学のアントレプレナー)と名付け、近畿大学の学生における起業家精神のこれからについて分析しました。

まず大きな社会背景として、政府や教育機関による学生起業の後押しがあります。

経済産業省が中高生の起業家教育に乗り出したり、学生起業を積極的に支援する大学が増加するなど、着々と学生が企業しやすい環境づくりは進んでいます。

また、民間、行政でも起業家を支援するサービスや施設が数多く登場し、将来起業を考えている人が集まるシェアハウスや、起業家向けの相談サービスが全国に展開するなど、起業家同士のつながりも作りやすくなっています。

起業家を支援するサービス・施設の増加に伴い、ビジネスコンテストの種類も多様化の傾向があり、大学発や行政発、企業発など、多岐に及び、優勝したら賞金がもらえるだけではなく、その業界の先駆者がメンターとして伴走してくれる特典がついている場合あります。

アカデミックシアター

東大阪キャンパスのシンボルであるアカデミックシアターは「今までにない大学の図書館スペースをつくる」をコンセプトに、『千夜千冊』で有名な知の巨人・松岡正剛氏監修のもと、2017年4月に誕生。累計7万冊の蔵書や24時間利用な自習室などを有し、ACT(アクト)と呼ばれる42のガラス張りの小部屋では、学生たちが主役となって社会の課題解決に取り組むプロジェクトと空間として用意されており、学生起業家にとって有益な様々な情報提供やイベントの開催を行なっている。

2018年4月に開設1周年を迎えたアカデミックシアターは、1年間で述べ約132万人が訪れ、30を超えるプロジェクト、80を超える関連イベントが実施された。シリコンバレー生まれの起業家育成プログラム「LeanLaunchPad」を開催した「起業家人材育成プロジェクト」や、博報堂/博報堂プロダクツと連携し、企業のプロモーション活動の推進に向けた提案を行う「P-Factoryプロジェクト」など、イベントは多岐に渡り、今後もますます目が離せない。(2019年3月時点)

アカデミックシアターに来ることによりアイデアが生まれたり、起業家でなくても企業の商品開発や、なにかを販売できるようなインキュベーション施設に変えていきたいという思いのもと、現在はSEEDATAが年3回アイデア発想ワークショップを行うなどしています。

近トレプレナーは、近大発の起業家をさらに増やすための施策として、すでに起業している人や起業しようとしている近大学生のインタビューデータを分析し、起業に悩む学生の考え方や行動の手助けとなるような内容を目指したレポートです。

近大サミット

日本経済の中枢で活躍する近畿大学出身のリーダー達が集い、目指すべき目標に向かう姿を共に描き、共有する。さらには、次世代のリーダーを担う近大生が日本経済を学び、新たな日本社会に向けたビジョン創出を目的としたサミットである。具体的には以下4つの内容がサミット内で行われる

1.各分野で活躍する近畿大学卒業生が勤める企業の事例と課題を共有し、世界で戦うための知恵を結集する事

2.先人や異領域から学び、新たな時代を拓くリーダーとしての視座を養う事

3.次世代によりいい社会を託すために、企業が果たすべき役割を議論する事

4.次世代の人材育成に向けた、知恵を結集し、近畿大学在学生が日本経済を学び、新たな日本社会に向けたビジョンを生み出す事

今回のセグメントは、近トレプレナーと近トレプレナー予備軍の2種類です。

近トレプレナーのある対象者は、薬学部8年生の際薬剤師の資格を取る傍ら起業を目指していました。関西にとどまっては得られる情報は限られていると感じ、自ら大学を休学し、上京してさまざまな企業でインターンをして学ぶことで、現在は薬剤師として薬事法や効能などの知識を活かしながら、学生を集めて商品開発のアイデア発想を支援する会社を立ち上げています。

彼らのインタビューから、起業に踏み切ったきっかけとして、「小さい形でもいいので自分のサービスが人に役立った」と感じられることが重要であることが分かりました。インタビューの中で、サービスのない段階でも、自分のアイデア話し、人力でやったら喜ばれたというような、人の役に立ったという小さな体験があったから、「サービス化する価値がある」と起業に踏み出すことができたといいます。

また、もうひとつの特徴として「とりあえず行動する」という行動の指針があげられます。

近トレプレナーたちは、じっくりと時間をかけて考えるよりも、とりあえず行動することを大切にしています。これは起業家の意思決定プロセスを研究した『エフェクチュエーション』の中でも書かれている概念で、彼らはそれを知らず知らずのうちに実践しているのです。

起業して、まず行動する中で自分が何をすべきか学んでいったほうが効率がいいと考えているのが、近トレプレナーや近トレプレナー予備軍の特徴といえるでしょう。

われわれはこの調査結果から、今後起業を後押しするために大学に求められるものは、大学内で彼らの立ち上げたサービスの受容性調査をはかれたり、アイデアについて調査できるパネルなどのインフラ設備であり、小さな成功体験を重ねられる環境をデザインしていくことが重要だと考えました。

また、彼らの大きな憤りとして「大学に留学の相談はできるのに起業の相談ができない」という点があげられます。留学の相談をすれば4年で卒業できるようにカリキュラムの組み方を教えてくれるのに、起業ではそれができる環境がないため、トライブたちは起業するために1年で無理やり80単位とるなどの極端な行動をとっています。しかしこれでは潜在的起業家予備軍は起業にたどり着くことができません。

これは近畿大学に限ったことではないため、今後は学生起業家を増やしたい大学は、インフラ設備とともにカリキュラム相談窓口を作ることが求められてくるでしょう。

さらに、一般の学生にとって起業がそもそものキャリアの選択肢にならないのは、就活イベントはあるのにスタ活(スタートアップ活動=起業活動)イベントがないことがあげられます。

今後起業がひとつの職業選択になっていくのであれば、大学側が就職同様に将来の進路を検討できるよう、就職活動と同時期に情報収集されるべきです。

トライブのよう自ら行動はできない、潜在的起業家予備軍に対して情報感度を高め、選択肢を広げてあげることで、起業がより一般層にまで普及していくのではないでしょうか。

記事ではこれ以上はご紹介できませんが、ほかにもトライブレポートにはおもしろい機会領域が数多く掲載されているため、お問い合わせの際は、まずは気になるトライブレポート名と「〇〇ビジネスをやっています」ということをお伝えしていただければ、我々がトライブレポートをもとにビジネスアイデアをいくつかご提案し、コンサルティングさせていただきます。

あとは皆さんの会社がすでに持っているリソースと掛け合わせて、新規事業の場合はビジネスモデルを変える、または新商品・新サービスを生み出すなど、それぞれの課題に対応いたします。

たとえば、新商品を作りたいという会社の場合、SEEDATAが提携している会社とこのトライブが世の中に何万人いるかを調査し、その人たちにテストマーケティングしてみて伸ばしていくことも可能です。また、サービス開発の場合もプロトタイプを作ることができますし、ビジネスモデルの場合でも、ビジネスモデルに関する検証された知識を手に入れるPoB(Proof of Business)のプロセスに入ることも可能です。

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