【トライブレポート紹介51】eスポーツ・2.5次元型エンタメ系サービスのアイデア開発のヒント(eスポシューマー)

はじめに~トライブレポートとは

SEEDATAは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。

トライブレポートの詳細と読み方については、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。

近年、オンラインゲームの普及によって、人・集団同士でつながり一緒にプレ イするゲーム体験が拡張し、これまで以上に集団化してきています。その変化をeスポーツをコアに楽しむユーザーのインタビューを元に調査しました。

<ゲーム体験の変化>

これまでのゲーム体験は、友人と自宅のようなオフラインの場で1対1の対戦をすることが一般的でした。しかし、eスポーツの登場により、インターネットを通じて知らない人と対戦したり、プロスポーツ選手のような形で本格的に練習して自分の身体のコンディションをととのえながらゲームをプレイする人たちが登場してきました。また、オンライン上 で単に人と対戦をするだけでなく、自身の戦略的思考を用いて、集団を組織しながらゲームを楽しむ人々まで出てくるようになりました。

こうしたゲーム体験の変化をエンターテイメントとして捉え、今後の遊び・エンタメ領域に関わる変化をどう捉えるかということを明らかにすることが本リサーチのゴールとなります。

<そもそもeスポーツとは?>

eスポーツとは、一般的には電子機器を用いておこなわれる娯楽やゲームをスポーツと捉えた際の名称です。狭義では、オンライン上で不特定多数でおこなうゲームを指す場合もります。

例えば、2017年に登場した「PUBG」は、100人が最後のひとりになるまで同じステージで戦うようなバトルロワイヤルゲームとして人気を博しています。プレイヤーはオンライン上で音声機能を使って3、4人くらいと会話しながら不特定多数と対戦したり、その3、4人も自分の知らない人とチームを組んだりするなど、eスポーツの世界では知らない人ともエンターテイメントを楽しむという状況が生まれてきています。

<eスポーツの登場による視聴体験の変化>

eスポーツを理解する上で抑えておくべき点は、視聴体験という観点です。eスポーツは自身がプレイして楽しむという人もいれば、一方でネット配信で配信されたものを見て楽しむ人も存在します。

eスポーツの配信はリアルタイムプレイなのでドラマのようにストーリーがあるわけではなく、どちらかというとNG集のような感覚で見たり、自分の技術を上げるためにプロのプレイを見て、自分のスキルに還元するという見方をしたりしています。

eスポーツはもはやお互いにプレイをし合うだけのものではなく、第三者として観戦して楽しめるという視点が増えているのも、eスポーツのエンタメとしての拡張のひとつの要素といえるでしょう。

<調査対象者>

デスクリサーチを実施すると、ARを用いてゲームを楽しむ人だけでなく、オンライン上での遊びをオフラインにまで拡張してゲームを消費するなど、新たなゲームの楽しみ方や消費形態が生まれてきていることがわかりました。

そこで、eスポーツを起点に新しい遊び方を消費を実践している 「eスポシューマー」と呼ばれる生活者の行動および意識にみられるエンターテイメント=遊びの拡張を起点に、調査対象者を探索しました。

単純にeスポーツが好きというだけではなく、オフラインの大会に参加したり、オンラインゲームをオフラインで追体験したりするなど、オンラインに限定されない遊び方をしている人びとに着目しています。

たとえば、FPSというガンゲームをオンラインでプレイしたあと、オフラインでサバイバルゲームに移行するという風に、オンラインもオフラインもどちらもプレイするというようなスタイルです。

オンラインだけであれば気軽におこなえるので、可処分時間をどう過ごすかという方向にいきがちですが、追体験ゲーマーを調査することで、オンラインならでは楽しみ方とオフラインならではの楽しみ方という風に、リアルとオンラインの楽しみ方の質の違いを分析できるのではないかと考えました。

また、今回セグメントでも分類して調査していますが、AR、VRゲームが流行っている中で、自分の身体能力をベースとしてゲームをプレイする人たちも登場しています。

単純に2次元空間ではなく、三次元空間を用いながら自分の体全体でゲームを体験するスポーツとeスポーツの中間にあるエンタメも出始めています。

<インタビュー対象者のセグメント>

このように、一言でeスポーツといってもオンライン、オフラインという観点でみるとセグメントを分類することが可能です。今回のセグメントは、一般的なPC、またはスマホといったデバイスを用いてオンラインゲームをおこなうという行動に対しての特徴的な行動で分類しています。

追体験ゲーマー

オンラインからオフラインに場を拡張しながら楽しむ人たち。ゲームで培った技術や体験をリアルな場で実践して楽しんでいる。

パラレルゲーマー

同じカテゴリ内、たとえば銃ゲームの異なるタイトルを同時並行でプレイし、時間でタイトルを切り分けている人たち。

彼らはゲームタイトルを単純にゲーム性というルールの違いだけではなく、「このタイトルはこういうコミュニティだから自分のプレイスタイルも攻めより守りでいこう」など、自分の役割やキャラもコミュニティごとに切り替えるものと捉えている。

身体拡張ゲーマー

女性とARゲーマの中で身体能力をベースとした体験をしたいと考えている人たち。

スポーツと違い身体能力が高ければ勝てるというものではない、反射神経だったり、たとえば身長が高ければ有利なスポーツはありますが、身長が低い女性のほうが有利に働くような

条件もあったりして、「身体能力の差はパラメーター」といっています。

ひとつの個性としてその人たちの体を捉える、背が低ければ小回りがきくという風に

このように身体能力の差をテクノロジーで乗り越えて楽しむという風に、条件をフラットにしてゲームを楽しむ人たち。

<インタビューの中でわかったeスポーツの特徴的な楽しみ方は何か?>

身体拡張ゲーマーの特徴的な発言は「ARでプレイしていると自分自身がコントローラーになって自分を操作しているような感覚になってくる」というものです。

たとえば今回調査した方がプレイしていた「HADO」というゲームでは、ARキットと腕にもガジェットをつけ、フィールド上で腕からビームを出して相手を倒すことができます。

このように自分自身を操作することに対してのおもしろさや、三次元の自分をバーチャル上に投影しながら「自分の能力を拡張している感覚」に醍醐味を感じていることがわかりました。「自分が動いてはいるが、客観的に自分自身を操作しながら勝負をすることが特別に感じる」というのは実に興味深い考え方といえるでしょう。

また、eスポーツ全体の特徴として、対人のほうが圧倒的におもしろいという意見が多くありました。では、AIではなく対人にしか存在しないものは何なのかということを深掘りするため、「AI対戦と対人戦のどちらがいいですか?」という質問をしました。あるトライブからは「AIで対戦するときには行動の予測ができるからこそ、自分が極めたい特定のスキルを専門に覚えるためにAIと戦っている」という回答がありました。

一方対人戦には、一戦一戦行動の予測ができない点におもしろみを感じるとのことで、だからこそ自分で相手はこういう行動するのではないかと予測=戦略を立てるのです。予測できない中で相手の行動を予測してそれにあわせて行動してぴたっとはまった瞬間がすごく楽しいし興奮する瞬間だといいます。

これはスポーツとも共通することですが、eスポーツはどちらかというとゲームのテクニックやスキルを競うゲームと思われがちですが、スキルではなく、どちらが相手の思考を上回ったかというような思考の優劣を決めることが、ゲームとして消費されているのは非常にユニークな発見でした。

<インタビューから発見したインサイトの一例>

ここで、このリサーチから得られた大きなインサイトをひとつご紹介します。

ゲーム性といわれているものは「世界観」に置き換えられます。この世界観をゼロから自分で作っていくのではなく、「ある程度決められた制約的な環境の中で、自分が限定的に創造したい、その中で戦略といったクリエイティビティを楽しみたい」というインサイトを発見しました。

つまり、ユーザーがゼロから世界観を作るのではなく、ゲーム提供側が世界観そのものをプレゼントし、その中で彼らなりの工夫で楽しむことができるようなエンターテイメントの設計は非常に重要になっていくでしょう。

たとえば、すでに出ているゲームの中では「マインクラフト」などが好例です。ある程度ルールは決まっていますが、自分で集めた素材で何を作るかや、人の作った家を壊すなど、どういうプレイスタイルで楽しむかは自由です。

マインクラフトをゼロから作るのではなく、マインクラフトという環境下の中で自分の行動を決めたり何を作るか決めたりする遊び方は、今後一般の生活者にも広がっていくでしょう。

もうひとつは「スーパーマリオメーカー」です。ゲームの基本ルール自体は変わりませんが、ステージをどう作るかは自由で創造性があるため、プレイするよりゲームの環境を作るほうが楽しいという人たちに刺さっているのです。

一方、何かを作るではなく思考や戦略という部分でプレイする人たちが存在するため、今後は作り手側とプレイ側、双方で創造していくゲームにさらになる需要が出てくるのではないでしょうか。

既存のゲームは作り手起点で考えられているものが一般的ですが、今後の生活者の求めるものとして、プレイヤーの自由度を高めていくことは主流になっていくでしょう。

このインサイトはゲーム業界だけにとどまらず、たとえばアプリやサービスを提供する会社や、どんな要素を含めば継続要素があるのかなど、体験をデザインしているような会社であれば活用することが可能です。

記事ではこれ以上はご紹介できませんが、ほかにもトライブレポートにはおもしろい機会領域が数多く掲載されているため、お問い合わせの際は、まずは気になるトライブレポート名と「〇〇ビジネスをやっています」ということをお伝えしていただければ、我々がトライブレポートをもとにビジネスアイデアをいくつかご提案し、コンサルティングさせていただきます。

あとは皆さんの会社がすでに持っているリソースと掛け合わせて、新規事業の場合はビジネスモデルを変える、または新商品・新サービスを生み出すなど、それぞれの課題に対応いたします。

たとえば、新商品を作りたいという会社の場合、SEEDATAが提携している会社とこのトライブが世の中に何万人いるかを調査し、その人たちにテストマーケティングしてみて伸ばしていくことも可能です。また、サービス開発の場合もプロトタイプを作ることができますし、ビジネスモデルの場合でも、ビジネスモデルに関する検証された知識を手に入れるPoB(Proof of Business)のプロセスに入ることも可能です。

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郷間大資
Written by
郷間大資(Gouma)
チーフアナリスト