【トライブレポート紹介⑥】スポーツ系新規事業、新商品・新サービス開発のヒント(スポ・シューマー)

はじめに~トライブレポートとは

SEEDATAは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。

トライブレポートの詳細と読み方については、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。

トライブレポートの読み方

ウェアラブルデバイスを体につけることを拒むスポ・シューマー

近年、人びとの体を動かすことに対する関心は急激に高まっています。趣味としてマラソンやトライアスロンに挑戦する人、スポーツ選手も通うジムに行き、プロ顔負けのトレーニングをして強靭な肉体を手にいれる人。そんな人びとをトライブという観点から捉え直したのが「スポ・シューマー」です。

スポ・シューマーは、最近の健康ブームやランブームのような流行と相互に関連はしつつも微妙に異なり、彼らは単に健康になりたいのでもなく、友と走る楽しさを分け合いたいのでもなく、純粋に自らを鍛え、各々のスポーツで限界に挑戦することに喜びを感じているのです。決してプロの競争に参加するわけではなく、趣味や余暇の範疇ではありますが、彼らも確かにアスリートであり、それゆえにアスリートと同様の消費行動を取っています。

2020年には東京オリンピックを控え、スポーツへの関心は高まる中で、このスポ・シューマーは数ある消費トライブの中でも非常に量的な成長が見込めるもののひとつです。

前回のドクターシューマーの調査でアスリートが出てきたことから、健康ビジネスや、スポーツ系の新規事業や新商品・新サービス開発のヒントとなる先進的な人として、アスリートレベルの消費者を調査してみることになりました。

価値観としては「ほぼアスリート的な考え方をもっている消費者」で、競技で生計を立てているわけではないのに、考え方はプロスポーツ選手のような人たちを捉えています。

また、行動としては、職業は普通のサラリーマンでありながら、日々のライフサイクルの中心がスポーツになっている人。普段は働いているけれど、人生の中心はスポーツをすることやその競技に出ることにあるという人びとです。

スポ・シューマーのセグメントはアブローチの違いでおもに2種類に分類されます。

まず、マラソンやトライアスロンなどのタイムや長い距離走るヘビーアスリート

次にボディビルやベンチプレスなどで体を鍛えるウェイトトレーニングを行うヘビートレーナー

また、比較のために、皇居ランやウォーキングなどを楽しむファンランナーでどう違うのかを調査しました。

ちなみにヘビーアスリートにとってはフルマラソンを走ることはもはや大したことではなく、トライアスロンは普通、マラソンならサブスリー(3時間以内でフルマラソン完走すること)、トライアスロンでは、世界一過酷といわれるアイアンマンレースをやってるような人たちです。

また、ヘビートレーナーはゴールドジムなどに通い、もりもりプロテイン飲んでいるような人たちです。

この調査からわかった興味深い点をご紹介すると、我々は当初、彼らを調査すればウェアラブルデバイスをつけて自分の体をトラッキングしたりすることの意味やデザインのヒントがわかると思っていたのですが、実際ウェアラブルデバイスをつけるのはスポ・シューマーではなく、ファンランナーの人たちでした。

一方、スポ・シューマーたちには「簡単なウェアラブルデバイスを右手につけるだけで、ボディバランスが崩れるから嫌だ」という価値観があったのです。

スポ・シューマーは自分の主観的な身体感覚をとても重要視しており、僅か1、2gの違いでも感じ取れるような繊細なボディバランスを持ち、客観的に計測されても今の自分の感覚と違うのであればむしろ混乱する要素でしかありません。今後技術が進歩していけば違うかもしれませんが、現状のスポ・シューマーにはウェアラブルデバイスをつけることができないという結論になったのは、とてもおもしろい調査結果といえるでしょう。

彼らが求めていたのはむしろ「自分の感覚を数値化できる」という体験です。タイム、脈拍などを客観的な数字で測られるのは嫌だけれど、たとえば「今日は体がちょっと重い」という自分の主観的な感覚を数値化し、毎日数字で把握したいというニーズがあることがわかりました。

これは、たとえば「今日は体が疲れてる」と思ったら「何%くらい乳酸が溜まっているから」など、自分の主観を説明できる数字が欲しいという意味です。しかし、目に見えず、感覚的にしか把握できていない部分の数値化というデザインは、現在はあまりありません。

最近、睡眠ビジネスや健康ビジネスではトラッキングという計測サービスのデザインが流行っていますが、これらはつい客観的な指標を与えがちです。一方で、ユーザーが求めているものは自分の主観的な感覚の数値化なので、ここをうまくデザインしていくことが今後のスポーツ系の新規事業や新商品・新サービス開発の大きなヒントになっていくでしょう。

もうひとつ、スポ・シューマーから導き出されたものに「熟練層は独自理論にもたどり着く」という価値観があります。

独自理論は今後も生まれ続けるので、スポーツ系のビジネスをやっている人が意識すべきことは、彼らは「全員にあてはまる解は嫌がる」ということ。ポイントは、みんなほとんど同じでもいいけれど、それぞれの独自理論を成立させるようなサービスデザインです。

現在、SEEDATAが支援しているベンチャーも、当初手につけるウェアラブルデバイスを開発していましたが、このキートレンドから人体に装着しない形でできないかアドバイスをしたところ、おもしろい新商品ができています。このように、ウェアラブルデバイスを人体につけずスポーツマンをサポートすると考えると、発想は広がっていきます。

また、このトレンドのアーリーウォーニングサインとしては、現在テニスラケットの持ち手にIOTデバイスをつけ、どういう風なテニスプレイをしたかを見える化するという商品があります。これも「今日はあたりが悪い」「今日はうまくいかない」という主観を数値化するというデザインのひとつといえるでしょう。

このトライブの考え方が広がり、人びとが自分の感覚に繊細になればなるほど、デバイスをつけるという行為はされなくなっていくはずです。

以上のことから、現在スポーツデバイスや健康デバイスを開発している方は、人体につけるという考えからは脱却し、今後はいかに人体につけないかを考えることが必要になるでしょう。

もちろん、スポーツ系に留まらず、健康系、睡眠系の新規事業や新商品・新サービス開発でも、この考え方を新しいヒントとして応用できるはずです。

記事ではこれ以上はご紹介できませんが、ほかにもトライブレポートにはおもしろい機会領域が数多く掲載されており、スポーツ系のビジネスであれば、このトライブレポートひとつで新規事業や新サービスに展開できるはずなので、ぜひSEEDATAへお問い合わせください。

お問い合わせの際は、まずは気になるトライブレポート名と「〇〇ビジネスをやっています」ということをお伝えしていただければ、我々がトライブレポートをもとにビジネスアイデアをいくつかご提案し、コンサルティングいたします。

あとは皆さんの会社がすでに持っているリソースと掛け合わせて、新規事業の場合はビジネスモデルを変える、または新商品を・新サービスを生み出すなど、それぞれの課題に対応いたします。

たとえば、新商品を作りたいという会社の場合、SEEDATAが提携している会社とこのトライブが世の中に何万人いるかを調査し、その人たちにテストマーケティングしてみて伸ばしていくことも可能です。また、サービス開発の場合もプロトタイプを作ることができますし、ビジネスモデルの場合でも、ビジネスモデルに関する検証された知識を手に入れるPoB(Proof of Business)のプロセスに入ることも可能です。

SEEDATAへのお問合せはこちらから(コンタクトフォームに移動します)。

 

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宮井 弘之
Written by
宮井 弘之(Miyai Hiroyuki)
SEEDATA 代表